見出し画像

(今更ながら)秋田で買ったふきのとうで「ばっけ味噌(ふきのとう味噌)」と「ふきのとうのオリーブオイル漬け」

3月からGWにかけてずっと外出・遠征続きの慌ただしい生活で、各地でご当地食材や季節の食材、美味しいもの等いろいろ書きたい話題に出会ったのだが、落ち着いて整理する余裕がなかった。
今後はいくらか余裕ができるので、これまでの分を少しずつまとめて行きたい。
今回は「ふきのとう」について。

私の育った秋田では、「ふき」は最も身近な植物のひとつだった。
なにぶん歩くと目に入る。道端でも、学校近くの土手でも、田んぼ脇でも。その辺に生えているのですぐ目に入るし、採ろうと思えばいつでも採れる。それ故人々はわざわざふきのとうを買ったりしない。2月下旬~4月半ばぐらいがふきのとうの時期。その時期に、好きな頃合いのを野原や川べり等で摘んで来るのだ。花が咲き切ったものは固くて美味しくないから誰も手を付けない。まだ蕾が開く前の、小さくて柔らかいのが食用に向く。選んで摘み、天ぷらにしたり、味噌と練り合わせたりする。

幼い頃の私はふきの葉の形や花の姿が好きで、お気に入りのをスコップで掘ってきて庭に植え替え、大事に育てたりした。
それくらいふきは好きでも、食材としてのふきのとうは苦手。山菜の味が全般苦手で、なんとか口にすることはできても「美味しい」とは思えなかった。

そんなふきのとう。
大人になり、少しずつ舌が変わってから各地で「ふきのとう(ばっけ)味噌」を何度か買って試したが駄目だった。第一には味付けが甘いから。保存目的ということもあり、道の駅や土産物店で売られているふきのとう味噌は大概ものすごく甘い。驚くほどの量の砂糖や水飴が使われているのだろう、味噌の味と甘さしか印象に残らない位のものが多い。
それなら自作すれば好みの味に近付けるかと、だいぶ前に何度か試してみたが、あく抜きの加減がうまく行かず、同じ秋田育ちで山菜が苦手ではない夫は「美味しい」と食べたが、作った私にはその美味しさがわからなかった。

あれから数年が経過。
今年は久々に春に秋田へ行く用事ができ、立ち寄った秋田市内のスーパーの「地元のおすすめ」コーナーにふきのとうが並んでいた。

なかなかの鮮度。当日採ったものが店頭に並んだのだと思う

ほんの少し色が変わりかけているが、新鮮で蕾の加減も色も良い。これなら美味しく調理できるのでは?と買って帰り、早速調理。

まずは黒っぽく変色している外側の葉を取り除いて洗い、重曹入りの湯で2~3分湯がき(すごい色が出る)、それから2~3時間水につけてあく抜き。あくが強い場合は茹でこぼしを何度か繰り返し、水にさらす時間も長くする。

秋田市内の街中では採れないもんなあ

今回はとにかく山菜が苦手な自分を基準に「あく抜き」にしつこく重点を置いた。ここで妥協すると、その後でどう調理しても美味しく感じないから。

重曹入りの湯で茹でた後、2時間ほど水にさらした後のを齧ってみると、思ったよりもだいぶ苦みは抜けていたが、あともう少しという気がするので再度湯がいて水に取った。
これでなんとか食べられる味になったので、水気を絞って細かく刻み、半分は試してみたかったオリーブオイル和え(マリネ)に。

ふきのとうを含む山菜は苦手と言い続けて来た私だが、全く食べられない訳ではないのでイタリアンとの相性の良さはよく知っている。
特にシンプルなペペロンチーノや香ばしく焼いたピッツァにすると美味しい。下処理済のふきのとうをオリーブオイルでマリネしておけば保存もきくし、苦みもいくらか和らぐ。
アンチョビやにんにくも合うと思うが、マリネの段階ではあくまで塩とオイルだけで和えておく。オイルで表面をしっかり覆い、空気が入らないようにすれば色も変わらず1ヶ月程度はもつ。

つくって3週間以上経ちますが、色鮮やかなままです

山菜好きな方ならこのままつまんだり、パンにのせたりしても美味しく感じられると思うが、苦手な私は「もうちょっと何か」した方が美味しく感じる。でもこの状態で保存するとアレンジがきいて便利。鰆やめかじきのソテーに合わせるグリーンソースの材料にしても、見た目も味も春らしくて良い。

そして最大の懸案だったばっけ味噌。
ふきのとうの苦手な部分を極力和らげつつ、持ち味は活かすために心掛けたことは
・好きな味の味噌を使う
・やや甘めの味にする
・梅を入れてくせを和らげる

の三点。
お気に入りの「むめや」さんの大変美味しい梅味噌をぜいたくに使い、さらに大粒の梅干しを一粒刻んで混ぜる。

「むめや」さんは近くだけど実店舗がないためイベントかオンラインで買います
この梅みそがもうとんでもなく美味しい、初めて食べた時感動しました

それと気に入って使っている信州味噌を梅味噌と同量、まろみを出すためみりん少々を加え、あく抜き後に水気を絞って刻んだふきのとうと練り合わせ、程よい味と固さになるまで木べらで混ぜつつじっくり加熱。

かなり水分を飛ばしたので、上の写真のパックの2/3程度がこれだけに

おお・・・これなら私でも美味しく感じる。
そのまま舐め味噌としても、豆腐やきゅうりに合わせても、おにぎりにしても良い。たけのこや厚揚げの田楽にも美味しかった。油っけのあるものと合いそうな味なので、パイシートにのせておつまみパイやタルトにしても美味しいのかも知れない。

過去の試行錯誤の歴史を知る夫は、何故また私が苦手なふきのとうを買って来たのか不思議がっていたが、食べてみて「なるほど」と唸った。「なるほど、梅もも(←私)がつくるとこうなるのか。美味しい。けどしっかりばっけの味もするね

そう。
おそらく私は、ふきのとうの味そのものがどうしても嫌いという訳ではないのだと思う。今回のようにしっかりあくを抜き、食べやすくすれば大丈夫。風味の一部はもしかしたら好きなのかも知れない。

齢を重ねるにつれ、ふきのとうとの付き合い方はまた変わって行くのだろうか。
できればもっと、仲良くなりたい。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

つくってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?