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高校野球観戦記2023~選手権大会 慶応vs北陸~

8/11
選手権大会2回戦
慶応(神奈川)vs北陸(福井)
阪神甲子園球場
晴れ

投手
北陸:竹田→友広→川上
慶応:小宅→鈴木→松井
本塁打:友広(北陸)


【戦前】


 最終的に優勝し、この夏を沸かすことになる慶応。ただこの段階では優勝候補に推されるか推されないかというくらいで、近年神奈川勢が全国大会では目立った結果を残せていないこともあって、そこまで注目度が高いわけではなかった。次戦が広陵(広島)ということもあり、何とか初戦は勝って、その先は一戦必勝・・というのが神奈川の高校野球を応援するものの内心であった。神奈川、東京、遠くても関東圏の選手で構成と思っていたのだが、今は愛知とか関東外からの選手もいるのね。
(この違和感はこの先勝ち進むことで推薦入試の概要とかが色々明らかになって解消されることに)

 一方の北陸高校。秋の北信越を制し、明治神宮大会でも1勝を挙げ、堂々北信越地域の中心で躍動してきた高校。ユニフォームが白に赤字で個性的。複数の力のある投手を擁するも、エース、2番手がコンディション万全でないとの情報があり、その点が懸念。メンバーはほとんどが福井県出身で、中学時代福井選抜の選手も多くいるみたいだ。

球歴.com 慶応vs北陸の出場選手

【試合後の感想】

【慶応について】


神奈川大会をちゃんと見れておらず、報道されている情報での印象しかなったのですが1試合見て印象がかなり変わりました
・守備め-----っちゃ固い
・打撃は前評判通り振れてる、打球も速い。
 それ以上にコンパクトな振り、思い切りの良さ、選球眼、臭いところ&狙い外れたときの粘りが秀逸。分析班の存在や狙いの絞らせ方、選手個々の考察力の高さが伺えた
・優勝狙える力は十分ある(広陵や仙台育英に勝てるか、は五分五分)
 小宅選手以外の投手陣がカギになりそう
何より守備の固さがとても印象に残りました。神奈川は準決勝、決勝の厳しい戦いは人工芝の横浜スタジアムで行われるため、甲子園に来ると守備が乱れがち・・みたいなこともあったのですが、抜群の安定感でした。特に遊撃八木選手の球際の強さ、捕ってからの速さは個人的にとても印象に残りました。ここまで印象に残ったのは、大阪桐蔭の泉口選手以来です

【北陸について】


北陸はやはり投手の台所事情が厳しく、序盤で大量点を奪われ流れを作れませんでした。それでも雑なプレーはなく、好チームだったと思います。最終回は球場全体が北陸を応援するムードとなり、それに乗ってか、3年生宮脇選手、友廣選手の素晴らしいプレーが出て目頭が熱くなりました。これが甲子園の魅力、魔物なのかと身をもって体感。慶応はこのムードを体感したことが今後の財産になるかもしれません。

【清原選手と2世選手について】

 清原(父)選手が甲子園出たのは1985年が最後、40年近くたってるのに、ここまで歓声が上がるのはやはりそれだけ成績以上にインパクトのある記憶に残る存在だったのだなと感じました。
 一方、今大会でも履正社には元木大介選手のご子息がいたようだがベンチ入りがかなわず、地方大会にも多くの2世選手がいたようですが甲子園出場に届かずという事が示す通り、これだけ父が偉大で、2世選手が甲子園に来て、なおかつ試合に出ること自体が非常に杞憂稀なケースであることも実感。
 これに並ぶ歓声を生めそうなのは古くは長嶋茂雄―一茂親子、野村克也―勝則親子だったろうが、残念ながら二人とも甲子園出場はなし(プロになって1軍で出場だけでもすごい!!!)。
 じゃあこの先は??松井秀喜選手、田中将大投手、斎藤佑樹投手あたりのご子息か、あるいは清原勝児選手のご子息か・・。

【応援について】

 慶応の応援はすごかったです。母校愛の大きさ、そして何より巨大勢力なんだという事を身をもって体感しました。色々話題になっているのでこれ以上は触れません。
 一方で北陸も具体的な言葉に言い表せませんが素敵な応援をしており、最終回に球場を一つにしたのはアルプスの力が大きかったと思います。
学校の伝統、規模、地域性、選手のバックグラウンド等、多様性を感じさせられる一戦でした

【試合経過】

【前半】


 慶応は2年生エース小宅投手が先発、テンポよくストライク先行で投げ込んでいきます。とてもクレバーな印象。特にストレートのキレが素晴らしく、135-140kmなのですがそれ以上の速さを打者は感じていたのではないでしょうか。
 北陸も2年生竹田投手が先発。北陸エース友廣投手はやはり万全でないのか、ベンチからのスタートになりました。
 
 慶応はやはり大学仕込みの応援がすさまじく、周りの観客も試合そっちのけで特に序盤は応援に注目していました。
 
 試合は序盤から慶応が竹田投手に襲いかかり、毎回のように得点を重ねます。竹田投手も1回、2回は1点ずつで粘りますが、3回以降は持ちこたえられず、変わったエース友廣投手も流れを変えることはできませんでした。慶応打線は球の見極め、思い切り、コンタクトした時の打球の速さ、ミスショットの少なさがとても印象的でした。
 
 北陸も劣勢の中5回に何とか2アウト1,2塁のチャンスを作りますが、ここでも難しい打球を八木選手が軽快に処理し、ピンチの芽を摘みます。

【後半】


 前半で9-0と試合がほぼ決しましたが両校ともその後も雑なプレーがなく、この点差とは思えない締まったゲームでした。
 
 7回裏、慶応は清原選手が代打で出場、甲子園は大きな歓声に包まれました。フォームがそっくり!!、惜しくもいい当たりのレフトライナーに倒れますが、甲子園を沸かせます。
 
 9-0のまま9回裏、北陸の攻撃。慶応は2年生鈴木投手を挟んで、この回から右腕サイドスローの3年松井投手が登板します。先頭の平田選手がセンター前にはじき返すと、ここで千葉ロッテのチャンテが。するとバックネット裏まで手拍子がちらほら起こり始めます。(ここまで慶応アゲのムードしかなかったのに・・・)
 松井投手は苦しみながらも2アウトまでこぎつけますが、2,3塁の状況。北陸は3年生の代打宮脇選手を送ると、宮脇選手はレフト前に鋭い当たり、レフトが後ろにそらす間に3塁まで到達します。この時の3塁でのガッツポーズは痺れた。。
 続くは友廣選手、振りぬいた打球はレフトスタンドへ一直線。9-4とします。3年生で最後の夏、苦しんだ友廣選手に球場が打たせたホームランのように感じずにはいられませんでした。
 松井投手はその後も苦しみながらなんとか試合を締め、最終スコア9-4で慶応が3回戦にコマを進めました

終わり

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