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◆ 話のネタ ◆ No.19『新入社員研修 刈り上げ族六甲山縦走:銀行』

 約40年前、A銀行へ入行した時の1ヵ月の新入社員研修について、お話しましょう。 学卒同期が約165人、高卒同期約70人でした。(その3年後高卒の採用は、なくなりました) 4月1日から、当時関西にあった研修所で実施されました。
 
 先輩から『銀行員は、身だしなみが大事、特に髪型は、重要。新人研修中は、それを肝に銘じるために、思い切り刈り上げている。 なので、入行直前に床屋で思い切り刈り上げてもらわないと、初日の髪型チェックでダメ出しされ、再度床屋に行くことになる』とアドバイスを受けていました。
 
 私は、3月末に、なじみの床屋に行き主旨を説明、思い切り刈り上げてもらいました。 散髪が終わった時に、ビックリするぐらい刈り上げられていたのですが、なんせ尋常でないA銀行のことなので 
『もう少し、刈り上げてもらえませんか?』と大将にお願いしたところ
『え~え~これ以上刈り上げると、見苦しすぎてとても見てられませんよ!』と言われたので、安心して入行式に臨みました。
 
 学卒は、4クラスあり、正講師、サブ講師の2人一組で各クラスを担当するようになっていました。 私は、講師の姿を見た途端、戦慄が走りました。
 
全員がこの世で見たこともないくらい後頭部を高く刈り上げ青々と光っているではないですか・・・・確かに、ひどく見苦しい!・・・しかも、相手に威圧感を与える異常な雰囲気が漂っている・・・・
 
 『うわぁ~』と思ったものの、床屋の大将の『これ以上は、無理です!』の言葉を思い出し早速始まった髪型検査を冷静に受けれました。 しかし、講師が私の後頭部を見た途端『やりなおし!』となってしまいました。 
 
ほぼ全員がその日の夕方、近所の床屋送りになりました。 なかには、情報を正確に掴んでいる奴がおり『どのように刈り上げてもやり直しさせられるので、最初から床屋に行かない方がいい』というアドバイスで、ボサボサ髪で入行した同期もいました。
 
 その日の夕方、研修所そばの床屋は、大行列でしたが、バリカンで後頭部を刈り上げ、シャンプー&ドライヤーで、お一人さま千円、7分で終了でした。 この床屋さん、恒例行事のようで、3人で満面の笑みを浮かべながら手際よく “刈り上げ族” を作っていったのでした。
 
 新人研修中は、3つの寮に分かれ、私は、T寮で、一部屋4人で過ごすことになりました。 西出身が2名、東出身が2名で、私が西の地方大学、他は、九大、一ツ橋、東大でした。 

 A銀行は、入社試験がなく面接のみでした。 でもよく考えたら、
約165人中、東大、京大、阪大、神戸大、名大、北大、九大の旧帝国大学と早稲田と慶応で半数を超えていました。 但し面接は、私だけでも7回あり最期は、副頭取でした。
 
 1ヵ月の研修では、様々なイベントが盛りだくさんあり生涯心に残る研修となりました。

 その中の一つに ”六甲山縦走” というのがあり、朝4時に叩き起こされ、 宝塚から入山し15時過ぎに新神戸に下山する全40kmを歩くというとんでもない行軍がありました。(冬の八甲田山では、ないものの・・・)
 
 登るのは、大変でしたが、全員で登るのでまだ耐えられたのですが、登山知識がない為、足の爪をきちんと切ってなく、下山の時に爪が靴に当たっており、両足の親指の爪は、内出血で真っ黒になり死んでいました。
 
今だったら、土曜日の15時過ぎに “ジャージ姿の後頭部刈り上げ族235人” が新神戸に一斉に下山してきたら、間違いなく警察に通報されるだろうと思います。
 
 業務習得研修では、札勘(お札を数える)の練習があると先輩から聞いていたB君が入行前に練習していて、だれもお札を扇のように広げれないのに、B君ひとり見事に扇のように広げてみせたのでした。

クラス全員が『お、お、すげ~え~』と羨望の眼差しで見つめ、B君も得意満面でした。 が、しかし お札は、右から数えるので、右から順番に左が上に重なる扇の形にならないといけないのですが、逆になっており、単にへんな癖がついているだけという結末となりました。 残念!
 
 そういう私も、小3の算数の時間、算盤が不得意で、算盤の宿題をひっ算でしていたありさまでした。 当時、銀行でも算盤は、必須だったので、
入行前に算盤初心者用の練習帳を買ってきて、二けたの足し算の練習をしました。 
『まぁ、これで、算盤は、ある程度こなせるだろう・・・』
と高をくくっておりました。
 
 算盤用の伝票が配られ、順番に10枚の伝票の足し算開始となり
『スタート』の合図で伝票の1ページ目をめくって目が点になりました。
そこには・・・・・
 
 
 
 ¥102,769,477―   2枚目が ¥34,223,009- 3枚目が ¥988,654,321- という状態でした。 そのまま、算盤を入れていくと小数点以下にまでなってしまい、伝票1枚も算盤をおくことができませんでした。  
挙句のはてに、4枚目は、弐億壱千参拾五万九千弐百拾壱円と読むことも
できない伝票でした。 が~ん 銀行舐めとった・・・・
 
  <後編に続く・・・来週金曜日に発信予定>

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