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7月24日の大気圧の下で

月と金星が近づく時にだけ
空を見上げるのではなく
未曾有の苦境のさなかにだけ
結託するのではなく
生誕の記念日にだけ
祝福するのではなく
忘れ得ぬ喪失の日にだけ
両の手を合わせるのではなく

それが最期になるとも知らぬまま
書き綴った最後の一行にまで
生き様を表したあの人のように
ほとばしるままに生きる

機など待たず
かろうじて終焉を免れているだけの
紙一重の今の中を
取り繕わず、ほとばしるままに

生まれながらにして10tの圧に耐え
そして立ち上がり、歩んできた者が
今さら何を恐れる 今さら何を躊躇う

最後の一行を生き続ける
ほとばしるままに

機など待たず
重さを忘れてしまった
大気圧の下で

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