兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

最近の記事

「 静寂 」

目を、耳を澄ましてみる 色とりどりの小人の演奏会 時計が針を刻むように 気付いて、と 音を立て始めるのがわかった いままで気にも留めなかった 彼らの息づかい それはまるで 彼らには彼らの 定めた、 六十秒があるようにも思えて 時計を失ったら 僕らも その日暮らしのばか騒ぎ、に きっと 夢中で取り掛かれる 仲間はずれなんて、いない 一生を

    • 「 余喘 」

      そうか、今日は 生理現象から たまたま入ったトイレ、ただのトイレ そんな なんの変哲もない日常の 顔前にあるトビラにもたれて 足りなさになく日 オトを見失った、無数の慟哭に生かされて まぶたを閉じては置いてゆく 強くてニューゲームとはならぬのに 今日の亡骸を抱いて、明日のお前は歩き出す 私は、 夜のうちに かばんの空間〈アキマ〉を ありったけの言葉で ごまかすのだ 先送りのワルさも 言葉の無力さも 知りながら もっとも忌み嫌う 足を挫くもの いっしょを歩いてみるか

      • 「 日々 」

        鏡にうつる お髭ひとつ 生長する命を踏みつぶして 今日も、生活がはじまる 誕生を祝福できないこと、 死は事実になりさがったこと 洗面台に振り返るだけで 当たり前じゃないか、と囁かれる 今日の僕は誰の何を奪ったのか それすら定かではないけれど 人の迷惑、なんて言葉 生きるためには言えなくなった いただきますと、ごちそうさま おはようと、おやすみ なくしてしまった 生活のおと

        • 「 またね 」

          齢二十を超えて 疎遠になって あなたの元気でね、という 言葉選びに さよならの重みを感じた

        「 静寂 」

          「 灰のなかで 」

          誰も彼もが踊っている 熱といっしょに踊ってる 燃え尽きるまでの一瞬を 逃れようもない抗いようもない 生まれたときから そう決まっていたのだ いや 熱のない暗がりを 確かめたくはないから そう決めたのだったか 灰のなかを夢にみる 線香花火のような 星を追うのではなく、 ただひとつの燻る宝物を 持っていられたのなら、と いまはまだ 熱のなかで

          「 灰のなかで 」

          「 ひかり 」

          誰かひとりに 倚りかからぬ夜がほしい 醒めたさめた 朝がくる あの、陽だまりに眩るまでは なければ、を手放して いきたここち

          「 ひかり 」