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Vol.16バイオメカニクス基礎用語 〜支持基底面と移動〜

みなさんこんにちは!サッカームーブメントデザイナーともちです。   

今回もバイオメカニクス基礎用語についてお話しさせていただきます。

まず、
バイオメカニクスとは
姿勢の調整や身体運動について、力学の観点から研究する学問のことです。

力学とは
物体(人、物)に、はたらく力とそれによって生じる運動を調べる学問で、中学理科、高校物理で習った「慣性の法則」「作用反作用の法則」などは力学の法則です。
最先端のバイオメカニクスの研究もこの力学の法則がベースとなっていて我々トレーナーにとって必須の知識となっています。もちろんムーブメントデザインにおいても、です!

今回は、支持基底面と移動、についてお話します。

まず、人が直立して静止している姿勢を、立位姿勢といいます。そして、立位姿勢において、床と接している接地面とそれに囲まれた範囲のことを、支持基底面(Base  Of  Support : BOS)といいます。

支持基底面が広くなるほど安定性は高まります。例えば立位姿勢では両足を密着させた状態よりも肩幅に足を広げた方が支持基底面が広がり安定性が高まります。押されるなどの外力が身体に加わったとき、さらに両足を広げ、重心を下げた方が、体がぐらつきにくいことは経験的にわかるかと思います。

歩行に不安のある人が杖を使ったりしますが、その場合の支持基底面は両足と杖が接地している点に囲まれた範囲が支持基底面となり、支持基底面が広がるため、より安定した状態を得ることができます。歩行に不安があっても杖を使わない人はいますが、そういった方は無意識に支持基底面を広げて立ち、歩いていることが多いです。

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今回は、立位姿勢のときの話をしていますが、もちろん、身体が地面や床に接していれば、座る、横になる、四つ這いなど、どんな体制でも支持基底面は存在します。

ここまでは支持基底面の広さと立位姿勢の安定についての話です。

ここからは支持基底面と移動について話します。

片足で立つ場合、地面に着いている片足の範囲が支持基底面になるので非常に不安定になります。これが歩く、走るなど、人が移動することに関しての基本的な考えです。

人など、物体が移動することは、その物体の重心を移動させることです。つまり、重心が移動することは、その物体の支持基底面の範囲から重心をその範囲の外へ移動させた不安定な状態であり、歩行や走るなどの動作は、その繰り返しで成り立っている、と言えます。

この理屈をスポーツ動作に当てはめることで、より効率の良い動作獲得に繋げることができます。

例えば、球技系競技におけるスタートダッシュ。

スタートダッシュは、身体を、重心を、少しでも相手よりも速く目的の方向へ進ませる、そのためにとても大切な手段です。

選手から、スタートの一歩目、二歩目を速くしたいのでスクワットやデッドリフトを一生懸命やれば良いか?といった質問を受けることがあります。筋力ありきでパフォーマンスアップを考えるとこうなります。間違ってはいませんが、重心をいかに速く移動させるか、ということを力学的観点から考えると、支持基底面内から、安定した重心をいかに速く逸脱させることができるか、つまり、重心が不安定な状態をいかに速く作ることができるか、といった発想になると思います。となると、筋力トレーニングではなく、どのように身体を使ったら良いか、と考えに至るでしょう。

人の移動は重心が安定した状態を不安定な状態にし、それを足が拾う、ことの繰り返しで成り立っています。

続く




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