見出し画像

【バイエルン考察】ファンも悩むサネの評価

爆発的なスピードと鋭い左足を武器にバイエルンの主力として活躍するレロイ・サネ
ファンの間で評価が割れる理由について探っていこう。


欧州王者バイエルンに加入

2020年7月3日5年契約でバイエルンに加入したサネ。同年、集中開催となったチャンピオンズリーグの優勝を目撃し、強い憧れと希望を持って望んだ新シーズンは決して彼にとって順風満帆とは言えなかった。前シーズンのプレシーズンマッチで左膝前十字靭帯断裂で全休し、故障明けのシーズンであることや、コロナ禍であることから移籍金は大方の見方よりも遥かに安い4900万ユーロであったが、前評判の高さやチームレジェンドのアリエンロッベンの背番号10を引き継いだ(コウチーニョを挟む)ことから彼に対する期待は非常に大きかった。
開幕戦の古巣シャルケ戦こそ活躍したものの、20/21シーズンの前半戦は彼にとっては厳しい時となった。ゴールに絡むことができず、スピードや得意の左足を活かすシーンは数えられるほど、期待には応える活躍とは言えなかった。年が明けたシーズン後半戦、徐々にパフォーマンスを向上させるも印象的な活躍を見せることは出来なかった。

ウィングのイメージが一転

指揮官がナーゲルスマンに変わった21/22シーズンは序盤こそ苦戦したものの、中央にポジションを取ることで一気にブレイク、ついに本領発揮かと思われたが、年を明けると急激にパフォーマンスが低下し、低調なプレーを繰り返した。モチベーションの低下を指摘されることも多々あった。
22/23シーズンも序盤は印象的な活躍が続いた。CLではインテル戦、バルセロナ戦とゴールを奪って全勝でのグループステージ突破に大きく貢献し、好調を印象づかせた。しかしやはり年が明けると本来のパフォーマンスとは程遠いプレーが続きベンチを温めるシーンが多くなった。さらに、CLベスト8のシティ戦1stレグの試合後には当時チームメイトのマネと口論になった。手を出したのはマネだが、サネもマネに対して一線を超える発言をしたともいわれている。

監督が代わって新シーズン

22/23シーズンの途中から監督がトゥヘルに代わった。トゥヘルはコマンとサネのウィングを重宝し、サネは再びウィングとしてのプレーをするようになった。スピードを生かしてのプレーが復活し、デアクラシカーでは大活躍であった。それ以降もゴールを決めるシーンが増え、復活を印象付けたまま、シーズンを終えた。
シーズンオフにケインが加入すると23/24シーズンはサネ-ケインホットラインが誕生し、アシストを量産するようになった。しかし、それも束の間、24年になるとチームの低迷もあるが、ゴールに絡むシーンが限りなく少なくなってしまった。そしてCLベスト16ラツィオ戦2ndレグを迎えようとしている。

フルシーズンは保たないのか

ここまで振り返るとフルシーズンで集中を保つのは難しいように思える。特に直近3シーズンは今季も含め、パフォーマンスの落差が顕著である。確かにシーズン序盤のモチベーションを維持するのは難しいであろうが、どうしてここまで落ち込むのか。筆者に考えられるのは二通りだ。

冬が苦手?

年明けから調子を落とすことを踏まえるとシンプルだが、これも一つの要因だろう。寒さによって調子を落とす選手は少なくはない。一度落とした調子を取り戻すのは非常に難しく、春にかけて調子を戻せないままシーズンを終える選手だっている。

CLを意識しすぎ?

本命はこっちだ。2月になるとCLが再開し、いよいよ佳境を迎える。もちろんヨーロッパのコンペティションはレベルが高く、対戦相手もリーグ戦より強くなることが多い。ミッドウィークにあるため中3日になることや長距離移動を要することが多々あるため、多くのチームはCLに照準を合わせ、その前後の試合はフルメンバーを出さないことや、選手も温存することが多い。これはサネに限った話ではなくバイエルン全体にも言えることだが、CL前後の試合のパフォーマンスがあまりにも悪い。リーグ戦で出し切れとは言わないが、リーグ戦のパフォーマンスが悪いとそれがCLでも出るのが結局なところだ。一昔前はリーグは負けてもCLは取るということは多々見られた。しかしそれはヨーロッパのコンペティション価値の価値が今よりもずっと低い時の話だ。近年はCLの価値はもはやリーグ戦よりも高く位置づけされることもあり、レベルも格段に高くなっている。そのため近年の傾向ではその年の完成度最も高いチームがCLを獲得する。すなわちそれはCLのみならずリーグ戦や国内のカップ戦を通してレベルの高いチームが勝利するということだ。リーグ戦で手を抜いても勝てるコンペティションではなくなったしまったのだ。
また、そもそもブンデスで手を抜いてCLに本気を出すというのは、ウルトラスや熱狂的なファンに対しては失礼な話である。彼らは今もドイツ内での成績を重視しており、CLはあくまでボーナス程度の位置づけだ。ブンデスで手を抜くのはそんな方々への裏切りともいえるだろう。

筆者の評価

そんなサネだが、筆者はどう見ているのか。正直なところ迷いどころである。ノリに乗った彼を止めるのは世界最高峰の守備陣でも難しいだろう。だが、調子の悪い彼はリーグ最下位のチームでも簡単に止められてしまう。
良い時と悪い時の違いはオフボールに現れる。
良い時は抜け出しの動きが増えるためフリーでボールを受けることが多い。
一方、悪い時は足元で受ける場面が多く、そのためロストも多くなる。
攻撃時のみではない。守備でも相手に寄せる動きやロスト後の守備への切り替えすべてのオフオールで彼の好不調は顕著に出る。
ただここまで好不調の波が激しいと主戦力にするにはあまりにも低稼働すぎるのではないかとも思うので移籍に関しては全く持ってない話ではないとは考えてはいる。今夏新体制初陣のバイエルンのフロントがどう出るか見ものである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?