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【バイエルン考察】第18節ブレーメン戦を考える

*この記事は一部筆者の主観を含みます。

現地ミュンヘン1月21日
ブンデスリーガ第18節バイエルン対ブレーメン@アリアンツアレーナ
シーズン折返しのゲーム、バイエルンは首位レヴァークーゼンとの勝ち点4差(1ゲーム未消化)のバイエルンは勝利が必要な試合だった。

先にレヴァークーゼンが試合を終え、アディショナルタイムで劇的勝ち越しゴールを決めて勝利をおさめているため暫定の勝ち点差は7まで広がっている中でキックオフの笛は鳴った。

早い時間帯からボールを持って試合を支配したのはバイエルンだった。60%近いボール保持率で揺さぶりをかけながら先制のチャンスを伺っていた。しかし、得点には至らない。
後半、先手を取ったのはブレーメンだった。後半59分にヴァイザーがデイビスと入れ替わってフリーになり、ミドルシュートを突き刺した。ここからバイエルンは攻勢をかけることになるが、ゴール及ばず、0-1で敗戦となった。

決定機という決定機がなく、ただひたすらにボールを持つ(むしろ持たされたというべきか)展開になった。ホームゲームでの無得点は19-20シーズンのライプツィヒ戦以来となった。

試合開始前、筆者が疑問思ったのは人選だ。中盤2枚がキミッヒとゲレイロ。シュトゥットガルト戦以降トゥヘルはゲレイロを先発に置く試合が続いてきた。パヴロヴィッチが先発の試合では相性の良さを見せていたが、相方がキミッヒではアンバランスさが目立つ中でこの日も先発になった。
キミッヒとゲレイロの組み合わせの問題点は2人の距離感にある。
例えば組み立ての際、ゴレツカはディフェンスラインまで降りるキミッヒのサポートに入る。
押し込んでいる際はキミッヒが高い位置にいるときは、ゴレツカは下がりめの位置にポジションを取り、キミッヒが低い位置にいるときはゴレツカはエリア内まで入り込む。
ゴレツカはキミッヒの動きに対してカバーする動きを取るの非常に上手い。ゴレツカの強みはそこにある。自分のポジショニングで中盤のバランスを取れることができるのはバイエルンではゴレツカだけである。
ゲレイロはそうはいかない。先発する試合では存在感に乏しく、試合を大きく動かす活躍を見せたのは第6節のライプツィヒ戦くらいといったところだ。
この人選は吉と出るか凶と出るか見ものであった。

前半、ボールを持つ展開の中でムシアラのロストが目立つ。結果的には取り消しになったが、ムシアラのロストからネットを揺らされた。今季のムシアラはこのようなシーンが目立つ。ムシアラのチームでの存在感が増した裏付けでもあるが、そもそも彼の適正は本当に中央なのだろうか?
彼は左サイドハーフで起用し、デイビスと連携をとる方が輝けるのではないだろうか。
そうすれば、攻撃に厚みが増してカウンターのリスクも避けられるはずだ。

前半の攻撃に決定打が出なかったのはそれだけではない。両ウィングがスピードに乗れなかったことは今期のバイエルンの強みを消すに値した。特に左ウィングのサネはスピードを生かした抜け出しからアシストや得点を量産している。それができなかったのは、ブレーメンのリトリート戦術にある。当然、引いた相手に対してスピードで抜け出すのは難しい。コマンにしても同じである。右利きウィンガーが右に配置されてスピードで抜けないのはやはりやりづらかっただろう。両者ともカットインでのプレーも得意なので、それが入れ替われば大きく変わると筆者は見ていた。

後半、大きな変更はなく始まった。後半もやはり前線では手詰まり感が否めなかった。中途半端なポゼッションからのロストは相手のカウンターを誘発し、それにおびえて踏み出せない展開が続く。
昨季の終盤を思い出すような形だ。それは目的が不明なポゼッションで攻めあぐねて攻撃がマンネリ化し、不用意なロストからの失点を予感させた。筆者の予感は的中し、追う展開となった。

64分ようやくトゥヘルが動く。キミッヒ、ゲレイロ、デイビスに変えてミュラー、ゴレツカ、テルが入る。サネが右に移動し攻撃のリズムが少しずつとれるようになった。やはり引いた相手にサネは右のほうが良かっただろう。

テルに2回決定機が訪れたが、キーパーの好セーブも相まって点には至らなかった。ただ、テルのプレーは短い中でも素晴らしかった。狭いスペースの中で細かいタッチからのシュートはPSGのエンバペを彷彿させた。
この日のバイエルンの選手の中で最も闘志に溢れていただろう。この男は今後ウィングとして起用されるのか、それともトップを任されるのか重要な選択になるかもしれない。

試合終了
首位と勝ち点差7となり、未消化の1試合と直接対決を合わせても逆転できなくなってしまった。
今期のレヴァークーゼンを考えると、優勝争いは絶望的といっていいだろう。

どうしてこのような事態を招いてしまったのだろうか。
責任の多くは指揮官であるトーマス・トゥヘルにあるだろう。
ミュラー、ゴレツカのベンチは中盤の安定感を損ない、中途半端なカウンタープレスははまらずに連続した攻撃ができない。
デイビスに守備的な役割を多く負わせるのは適正外だ。
目的を感じられないポゼッションからは得点のにおいを感じない。
ハーフタイムで修正がない。
敗戦の責任を選手に押し付ける。
もちろん選手にも情熱の掛けたるところも感じられる部分は多かった。しかし、それを管理するのも指揮官の役目なはずだ。
これが1つ悪循環の始まりにならなければいいが、、、

まだシーズン後半が始まったばかりのところで課題が見えたのはむしろ運が良かっただろう。
2月からはチャンピオンズリーグも始まる。
ラツィオは今季不調だが、ブレーメンのような戦いをされたら果たして崩すことができるだろうか。

現地1月24日未消化の第13節ユニオン・ベルリン戦
求められるのは勝利のみである。少しでもレヴァークーゼンとの差を縮めることが出来るのか。注目である。

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