イクスピアリで鑑賞。ポール・フェイグ監督は女性版ゴーストバスターズとSPYをみてます。ネタバレ注意。

感想：マカロンにシャンパンかと思いきやストロングゼロ

あらすじ：NY郊外に住むシングルマザーのステファニーは、同じクラスに息子を通わせるエミリーと親しくなる。事故で夫を失い、保険金を切り崩しながら子育てをしている気立ての良いステファニーと、スランプに陥っている作家の夫との仲もむつまじく、華やかなファッション業界で働くどこかミステリアスなエミリー。2人は何もかも対照的だったが、お互いの秘密を打ち解けあうほど親密になっていく。そんなある日、エミリーが突然失踪してしまい、ステファニーは彼女の行方を追うが……。映画.comより

スリラー？ミステリー？ブラックコメディ？いえいえ、これはフェイグ定食です。ふらりはいった欧風レストランで席に着くなり「今日は、何が食べたい気分ですか？」って聞かれたので、銀髪眼鏡アラカンダンディシェフにおまかせしたら、喫茶店の大盛りナポリタンみたいなのがでてきました。ちょ待てよ。意外とお上品な味で悔しい…。だって主演がアナ・ケンドリックスにブレイク・ライブリーですよ。煮ても焼いても腐っても美味しいに決まってるじゃないですか！

エンディングはフランス・ギャルの名曲　Laisse tomber les filles　
セルジュ・ゲンズブール作曲とは罪深い。邦題「娘たちにかまわないで」とは実は意味が異なり「恋人を振るとか捨てるとか」ていう意味らしい

冒頭からクソオシャな60年代フレンチポップスが大音量でかかり、ひとくせもふたくせもあるフェイグ監督のチェシャ猫笑いが画面にみえるようです。事前に海外レビューを巡回してたら、酷評多かったんですよね。ブレイクが旦那ライアン・レイノルズと共演していた、グリーンランタンを引き合いにだすのも多かった。グリーンランタンの悪口はやめるんだ…

It has a pitch of "gone girl "and "girl on the train", trashy guilty pleasure seeing juicy mysterious Anna Kendrick..

ダーシー・ベルのサスペンスミステリー小説「ささやかな頼み」が原作。未読です。美女の失踪、嫉妬や羨望、女の友情と利害、秘密と過去などキーワードがてんこ盛りなのですが、そのあたりはまったく頭に残らなかった。ファッションショーは見ごたえあり。

あたいをみて！とばかりに七変化するエミリー様

主要人物はエミリー、隣人のステファニー、エミリーの夫（名前忘れた）子どもたちはほぼ蚊帳の外。エミリーさん、突然行方くらまして、暗躍して、死体偽装して旦那と保険金山分けするぜ！っていう粗々なプラン立てていたのですが、YouTuberステファニーに見破られあっさりお縄に。エミリーの偽装死をあばくステファニーの私立探偵っぷりが行き当たりばったりで、これじゃ警察もすぐ見抜くのでは…？アナケンa.k.aステファニー、とにかくうさんくさい！ああいう普通の顔してちょっとおせっかいでお人好しでドジっ子聖人ぽいタイプが、やればできる闇の申し子なんですよ。怖いね。

ブレイクさん演じるエミリーはハスキーボイスが最高です。最高です。ブラザーファッカー！ってケツ叩くとこも最高です（3回目）エミリー宅はNY郊外とはいえ、金かかってるな！って感じの建物でした。アメリカは金持ちになるとシースルー構造のお家に住みがち。自宅でせこせこ執筆作業をする夫も（名前忘れた）だいぶクソ野郎で、前回パーフェクツハズバンドを演じていた「クレイジーリッチ！」から真逆にすっ飛んでて爆笑。売れない小説家とファッション業界PRの夫婦って現実味があっていい。ヘンリー・ゴールディング兄貴、今後の活躍に期待しています。

顔がいい。身体もマッチョでロンドン訛り。いじりがいがある

原作を知らないのですが、ちょっと次元がずれればユリシーズなウェットになりそうなのにフェイグ監督があらごしざく切りにするからあんなオチに…最後の逮捕劇なんてギャグでしょ。しかも運転してるのお前かよ！ほのかに期待してた百合エッセンスなぞ1ミリも見当たらないけど、笑っちゃったので許す。キスシーン？あんなのは想定内です。

エミリーが自宅で作るマティーニの作り方、テキトーでいいよね！キングスマンの「マティーニを。ウォッカでなくジンで。ヴェルモットは入れず瓶を見ながら10秒ステアだ」を思い出た。センスの数だけ本物があるのです。

英語版のキャッチコピーが「Can you keep a secret?」なので見た後はずっと宇多田ヒカルを聞いてました。アカデミー賞の話題でチェックすべき作品たくさんありますが、ちょっと重めの映画はな～という方、頭ふやけて見られるのでオススメします。