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キャンプが今治里山スタジアムでできる特別感。FC今治&アーバンリサーチ共創イベント「TINY GARDEN FESTIVAL」

2023年10月8日(日)〜9日(月)の2日間に渡り、株式会社アーバンリサーチが運営するキャンプイベント「TINY GARDEN FESTIVAL」を今治里山スタジアムにて開催しました。"小さな庭先で繰り広げられるガーデンパーティー"をコンセプトに、スタジアム内でのテント泊や飲食、ワークショップなどのコンテンツを提供し、キャンプサイトのチケットは完売。今治里山スタジアムが掲げる「365日の賑わいづくり」の一環として、好評をいただいた今回のイベントについて、弊社執行役員・中島啓太と、アーバンリサーチ担当・金井龍生に裏側の話を聞きました。


「すごいをシェアするパートナー」アーバンリサーチとの、サッカーの枠を超えた取り組み

――「TINY GARDEN FESTIVAL」が開催された経緯を教えてください

金井:FC今治のパートナーである株式会社アーバンリサーチ様は「すごいをシェアする」という企業理念があり、「面白い取り組みを一緒にやってみましょう」という思いが双方にあってスタートしたのがきっかけです。これまでも、試合日に夢スタで洋服を回収するエコステーションといった取り組みや、子ども向けワークショップを共に開催したりなど、サッカーの枠を超えた取り組みを一緒に行ってきた経緯がありました。
アーバンリサーチさんはアパレル販売が主な事業んですが、長野県の蓼科で「TINY GARDEN FESTIVAL」というキャンプイベントもずっと開催していているんです。今年でちょうど10周年を迎えるという節目の年でもあり、中島と僕の二人で蓼科の山の中まで「TINY GARDEN FESTIVAL」を見に行かせていただいたんです。
それがすごく素敵だなと感動して……。決して派手なイベントではないんですが、"小さな庭先で繰り広げられるガーデンパーティー"をコンセプトに、小さいながらも時間に縛られるわけでもなく、テント泊を楽しんだり、飲食やワークショップなどを楽しんだり、ゆったりと心地よい空間が広がっていました。
そこで、僕らも今治里山スタジアムで「365日の賑わいづくり」にチャレンジしていくにあたって、アーバンリサーチさんと一緒に「TINY GARDEN FESTIVAL」を今治でやれないかとアイデアベースで提案させていただいたんです。そうしたら、先方も「じゃあ一緒にやってみようか」と言ってくださって。

キャンプに、焚き火に、選手のシャワールームまで!? スタジアムが持つ非日常が価値に

中島:僕らはそのとき、ただ単純に今治でキャンプをやるという頭だったんですが、アーバンリサーチさんから今治里山スタジアムだからこそできるキャンプの価値を逆に教えていただいたんです。
先方の社長も含めてみんなと話してるときに「スタジアムでキャンプができたら、そもそもすごいよね」とか「スタジアムで焚き火もできたら、さらにすごいよね」とか「ピッチの上でみんなで走り回れたら、もっとすごいよね」といった意見が出てきたんです。
言われてみれば確かにすごいかもしれないけれど、僕らにはその発想はなかったんです。

金井:他にも、アーバンリサーチさんから「選手が使っているシャワーを、宿泊者の方も使えるようにしたら面白いんじゃない?」と提案していただいて。僕らにとっては「それって別に普通じゃない? そんなに大事なことなのかな?」と疑問に思っていたんですが、実際やってみたら、結果的に多くのお客様から「シャワーが良かった」「特別感があった」という声を本当に多くいただいたんです。
普段からここで働く自分たちでは気付かない、そういう視点に気付けたのは、アーバンリサーチさんと一緒に開催したからこそでした。

一番大切にした、“小さな庭先で繰り広げられるガーデンパーティ”のゆとりある世界観

――「TINY GARDEN FESTIVAL」が蓼科以外で開催するのは初と聞きました。当日へ向けた準備で大変なことはありませんでしたか?

金井:大変なことだらけでした(笑)。
アーバンリサーチさんには、彼らの持つブランドに出店いただいたり、彼らの人脈で蓼科のクラフトビール屋さんなどに出店のお声がけをいただたり。移動や人集めも大変だったと思います。
あと、僕らはピッチの開放などの調整事。サッカースタジアムでのピッチって、本当に神聖な場所なんです。選手が戦う場所で、普段は立ち入ることができない。
でも今回の「TINY GARDEN FESTIVAL」では、特別にピッチを使って宿泊者限定でランニングイベントも開催したんです。そうしたら、朝7時半からスタートという早朝にも関わらず100名ぐらいの方に参加してくださり大変好評をいただきました。
やったことのないことにチャレンジするという意味では、もちろんしんどいことはあるけれども、一方で楽しみも増えると感じました。

中島:僕が今回のイベントを実現するにあたって、一番難しくて一番大切にしなくてはいけないと感じたのは「TINY GARDEN FESTIVAL」のコンセプトである“小さな庭先で繰り広げられるガーデンパーティ”の世界観をどうやって実現するかということでした。
今治で開催されるイベントの多くは、派手で賑やかな楽しみを提供するケースが多いと思うんです。例えば「おんまく」などは、クライマックスの花火が終わった途端にサッと帰るような、大きな波に似ているイメージ。
一方で、文字通り同じ「賑わい」だとしても「TINY GARDEN FESTIVAL」は、ゆとりある上質な空間での賑わいなんです。あまりにぎやかな音楽ではなく、出店する食べ物も島でとれた果物で作ったスムージーだったり、北海道産の小麦を使ったドーナツだったり、庭で育てたミントで作ったモヒートだったり。モヒートは、彼(金井)が実際に作って販売もしたんですよ(笑)。
ゆとりある上質な空間。これをどう演出するかというのが難しかったですね。

今治里山スタジアムが目指す「365日の賑わいづくり」に繋がるワークショップ

――ワークショップや飲食のブースもたくさんありましたが、今回の店舗選定にあたり、意識した点はありましたか? 

中島:アーバンリサーチさんたちと話していたのは、やっぱり「地のもので上質なものがいい」と。例えば、島で育てた美味しいイチゴを、この綺麗な景色の中で食べたらすごくマッチするんじゃないかとか。
お客様の半分ぐらいは県外から来られたので、その方々が今治に行っていい思い出を持って帰れるようなお店を話し合って決めました。単純に飲食店が並ぶというよりは、“庭先のガーデンパーティー”というコンセプトに合う食材を提供するお店にご協力いただいた形です。
また当日は、環境やSDGsを意識したワークショップも多数開催しました。フェスティバルなのでみんなが楽しめるという観点はもちろん、それが環境や地球に対してすごくいいことなんだよ、ということをテーマにしたワークショップが多かったのも特徴でした。その中の一つが、アシックスさんと藤高タオルさんが共同で開催した、タオルの端材を使ったチャーム作りです。

金井:他にも、親子で参加できるワークショップとして、神山町の「神山まるごと高専」のプロジェクトに参加された建築家や大工さんたちと一緒に、ノコギリで丸太を切ったり、木の平均台を作ったりして今治里山スタジアム内にプレイパークを作ったんです。

中島:今もそのプレイパークは、里山サロンの裏手側に設置してあります。「TINY GARDEN FESTIVAL」の当日も盛り上がったけれども、そこで生まれたものは、今も子どもたちに楽しんでもらっている。結果的に、今治里山スタジアムが目指す「365日の賑わいづくり」に繋がるワークショップの一つでした。

スタジアムでできるアウトドアキャンプへの期待感から、チケットはSOLD OUT

――今回のキャンプサイトは18,000円と決して安くはなかったと思いますが、全て完売されそうですね?

金井:僕らもまさか完売したというのは、ちょっと驚いています。
お越しくださった方々に話を聞いてみると、東京や大阪など愛媛県外からお越しいただいた方が半数で、FC今治のファンでない方も多くいらっしゃいました。僕らとしても「え? そういう売れ方するの?」ってそれがまた新しい発見で。
なかには「TINY GARDEN FESTIVAL」のファンだから来てくださった方や、FC今治の存在を知らない方もいらっしゃいましたが、今回のイベントをきっかけに「今度サッカーも観に行ってみるね」と嬉しい言葉もいただきました。

中島:販売価格については、僕らもすごく悩んだポイントでした。
たとえ20,000円にしたところでこのイベントが黒字になることはないし、今回は収益を目的にしているわけではない。けれど、このイベントのユニークさや楽しさっていうものは、別に安売りしすぎる必要はないんじゃないかと話し合ってこの価格に決めました。結果的に完売したということは、期待していただいたからこそだと思っています。
庭先のガーデンパーティ、いつもと違う珍しさ、アウトドアキャンプをスタジアムでできるという特別感。この3つがちょうどハマる場所を作ることができ、社内でも「あれがまさに里山っぽいよね」と言われました。夜のあの空気感や装飾などもアーバンリサーチさんがこだわって作ってくださって、それがみなさんの満足度に繋がったんじゃないかなと思います。

小さくとも共助し合えるコミュニティを作り、今治里山スタジアムをみんなで育てていきたい

――今治里山スタジアムでの「365日の賑わいづくり」のために、今後チャレンジしていきたいことはありますか?

中島:数えきれないぐらいあります。
例えば、今回アシックスさんにも参加していただいたんですけれども、もっとランニングとか健康作りという意味で、より強いコミュニティをここから立ち上げたいなと思っています。毎日ここでランニングクラブの練習をやっても面白いと思っているんです。
他にも、現在スタジアム内にドッグランがあるんですが、ドッグコミュニティをもっと広げていきたいと思っています。
今治里山スタジアムは多様性を大事にするという考え方で運営しているので、まずは小さなことから始めて、小さなコミュニティをスタジアム内にたくさん作りたいと思っているんです。
一人ひとりがいろんな幸せを見つけられる場所になったり、そこで出会った顔の見える仲間が困っていたら助けたいと思えるような、そんな共助のコミュニティを作っていけたらいいですよね。

金井:僕は今回アーバンリサーチさんを担当して感じたんですが、今後、他のパートナー企業さんたちや一般の人たちなど色んな方々が連携して、みんなで今治里山スタジアムを育てていけたらいいと思うんです。
ここに来たら誰かと会える。試合の日は熱気に溢れて、そうでない日はここに来たら安らぎを感じることができる。そんな場所になったらいいなと思っています。

取材・文/村上亜耶
写真提供:株式会社アーバンリサーチ