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【ドイツ事情】ドイツ語で俳句(飛びこんだ蛙は何匹?) #418

※ 音声はコチラ↓ stand.fm で平日の毎朝7時に配信しています。

Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。


毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。


先週の第413回では「ものづくり大国」の調理器具というテーマでお話しました。


今日は「ドイツ語で俳句(飛びこんだ蛙は何匹?)」というテーマでお話します。


日本独自の文芸であり、世界で一番短い詩といえば「俳句」ですが、ドイツでも俳句は作られているんですよ。


国際俳句協会によりますと、「20世紀初頭に欧米に紹介されて以来、俳句は各国に普及し、いまや世界中で俳句が愛好されて」いるとのことです。


日本の文化に親しんでもらえるのは嬉しいことですよね。

ドイツの方々がどのような俳句を作られるのか、想像できますでしょうか?

今日はドイツ俳句協会誌の中から2句、紹介しますね。

一つ目は Birgit Schaldach-Helmlechner さんの 

fassadenlächeln ...
auf dem empfangstresen
welkende tulpen

という句です。

併記されている日本語訳は

見せかけの笑顔...
受付デスクの上に
しおれたチューリップ

となっています。


二つ目は Angelica Seithe さんの   

sein Wort
ein Steinwurf ins Wasser
Wellenringe

という句です。

併記されている日本語訳は

彼の言葉
水に投げ入れられた石
波の輪

となっています。


ドイツ語の俳句をよんで気づくのは、日本語と違い、ドイツ語では単数か複数かを決める必要があることです。

一つ目の句に出てきたチューリップは複数形 Tulpen でした。
二つ目の句に出てきた投石(投げ入れられた石)は単数形 ein Steinwurf でした。


松尾芭蕉の有名な句「古池や蛙飛びこむ水の音」の「蛙」は何匹だと思われますか?

ちなみに、大学で私が担当している、あるドイツ語クラスで聞いてみたところ22人中20人が1匹で2人が2~3匹と答えました。

皆さんの中でも1匹だと思う人が多いと思いますが、複数だという解釈もあります。


このように自由に想像できる余地が残されている日本語との違いに改めて気づかされます。


皆さんはどのような感想を持たれたでしょう?


それでは、このあとも素敵な1日を!
Einen schönen Tag noch!
Tschüs!


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