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歴史マンガ「天の果て地の限り」でわが子の知的好奇心を刺激してみた。

中1の娘トラは、社会科の飛鳥時代に苦戦しているらしい。
自称歴女を名乗る割に、
「似た名前の天皇がコロコロ変わってガチでややこしい!」
と叫ぶあたりは、戦国武将や新選組にしか興味がないというミーハー歴女あるある。

昨年秋に受検した全統小も、古墳時代や飛鳥時代から出題された部分が全滅で、社会の点数は悲惨だった。

飛鳥時代(昭和生まれの私は大和時代で習った記憶がある)というと、なんともロマン溢れる時代ではないか。
私が中学生の頃は「日出処の天子」や「天上の虹」といった古代モノの歴史マンガが大人気で、授業で作品の登場人物が出てくるたびオタク寄りな女子達がざわついたものだ。(日出処の天子が元祖BLだったのもある。)

中でも特に私が好きだったのは、万葉歌人、額田王(作中では額田女王と表記)の生涯を描いた「天の果て地の限り」。
歴史マンガを数多く手がける大和和紀さんの作品なのだが、元々彼女の大ファンだった私は、この作品で一気に古代ロマンの虜になった。

久しぶりにこの作品を思い出した私は、トラにも読ませようと思い立ち本棚を探してみた。
しかし独身時代に買い集めたマンガはほとんどヤフオクで売り払ってしまっており、この作品は残っていない。
そこで2007年に再出版された文庫版を買い直し、実に40年ぶりの再会を果たした。

さっそく読んでみると、有名な和歌がストーリーに巧みに絡められていて、非常に感慨深いものがある。

熟田津にきたつに 船乗ふなのりせむと 月待てば しほもかなひぬ 今はでな
あかねさす 紫野むらさきの行き 標野しめの行き 野守のもりは見ずや 君が袖振る
紫草むらさきの にほへるいもを 憎くあらば 人妻ひとづまに 我恋われこひめやも

ところがトラに読ませたところ、
「えーまじやばっ! なんでコロっと男を乗り換えるのー?」
とか
「姉妹で同じ人と結婚するってありえないー!」
と、ミもフタも無いご意見(-_-メ)

もっとも中学時代の私も、今と同じように感銘を受けたかどうかは定かではない。
それでも、今のトラよりはよほど響いていたと思うのだが・・・。

そんなわけで、またしてもわが子との感性のズレに落胆した私だが、それが時代や育ち方の違いのせいなのか、それとも本質的な違いなのか、はたまた成長が緩やかなだけなのかは知る由もない。
これもわが子の個性と受け止めねばと自省しつつも、好奇心があれば楽しく会得できる雑学を、すべて"勉強"として暗記せねばならない苦労を思うと、無念でならないのも本心なのである。

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