今日もお読み頂きありがとうございます♡

今日は「妊娠中の浮腫」について記事にしました！

妊娠経験のない方だと「妊娠中の浮腫？？」と
ピンときにくいかもしれませんが、

妊婦さんってとっても浮腫みやすい。

それも原因がいくつかあって、
妊娠中の生理学的な変化で起こるものもあれば
見逃せない危険な浮腫もあります。

妊婦さんと関わることがある方はそういう
リスク管理の面でも知っておいて欲しい
情報があるのでぜひ読んでいただきたいですー！！

浮腫とは

＜正常な状態＞

動脈側から間質内に細胞外液が移動し、間質に栄養や酸素を送る。
間質内の老廃物も細胞外液により静脈側やリンパ管に移動する。

水の移動に関する主な力は、血管内圧、血漿膠質浸透圧。
血管内圧は血管内の水分を間質に移動させる。

図解すると…

動脈 ⇆ 間質
静脈 ⇆ 間質

⇆ が血管内圧と血漿膠質浸透圧。
このバランスが崩れることで浮腫になる。

＜浮腫が起こるのは＞

浮腫は、間質に細胞外液が貯留して起こります。

細胞外液が貯留する原因は、
動脈→間質への細胞外液の増加
静脈・リンパ管の細胞外液の貯留
など。

妊娠中にどうして浮腫になりやすい？

妊娠中は、非妊娠時と比べて循環血液総量が40%増加している状態です。それに加え、血液中の血漿成分の割合が増加するため、生理的な水血症状態になります。

要するに、水分が多くてサラサラな状態ということ。

この状態だと、動脈から間質へ送られる細胞外液が増加するので浮腫になってしまいます。

その他にも、

• エストロゲン、アルドステロンが増加し、毛細血管透過圧が亢進する

• 尿細管のナトリウム、水分の再吸収の増加

• 子宮増大に伴う骨盤内静脈の圧迫による静脈内圧上昇

も妊娠中に浮腫が起こりやすい原因とされています。

危険な浮腫

妊娠中の浮腫は

正常妊婦の35%
高血圧合併妊婦の70%
妊娠高血圧症90%

の割合で見られるというデータがあります。

妊娠中の高血圧症候群は、高血圧だけでなく母体の臓器障害などが発生し、母体死亡、周産期死亡の主な原因となります。

全妊婦の10%という高くない割合で発症するので「妊婦の浮腫はあるある」と思わず注意が必要です。

浮腫の予防

前述した通り、危険な浮腫もあるため注意が必要ですが、下肢だけ浮腫が起こっている状態はそれほど珍しくはありません。
下肢に限局した浮腫は、血流障害で静脈内に血液が溜まった状態（うっ血）であることが多いので予防が可能です。

筋ポンプ作用を使う

筋ポンプ作用とは、
筋の収縮：静脈が圧迫され心臓に血液を押し戻す
筋の弛緩：血液が流れ込み再充満する
の繰り返しで循環が改善しうっ血状態が改善すること。

この筋ポンプ作用を促すために
めっちゃシンプルですが
足の底背屈運動を指導します。

子宮による圧迫を減らす

妊娠中の下肢の浮腫は
子宮増大に伴う骨盤内静脈の圧迫による静脈内圧上昇
が原因になることが多いです。

左側臥位での安静を促すことで
下大静脈への圧迫がなくなり
浮腫が軽減することもあります。

それに加えて、
心臓より下肢を挙上させることで
重力によるうっ血の改善を促します。

下肢のマッサージ

軽擦法、揉捻法などを使用し
皮膚への触圧覚刺激の入力を行います。

この刺激により静脈環流を促します。

この時気をつけたいのが
下肢の血栓。

妊娠中は静脈血栓症が好発し、
深部静脈血栓症（DVT）やそれに起因する
肺血栓塞栓症（PTE）が死亡原因となり得ます。

ホーマンズ兆候の確認を行ってからの
介入がベストです。

今日は、妊娠中に多い浮腫と
そのアプローチについて書きました！

アプローチは
安静側臥位、マッサージ、足底背屈運動
とシンプルなものばかりですが

浮腫が起こる機序や原因を
知っておくことは

妊婦さんのリスク管理を行う上で
とっても大事なので

ぜひ覚えておいてくださいね♡

＜参考文献＞

• 病気がみえるvol.10 産科

• 妊婦マッサージ

• 助産雑誌 july 2017 vol.7 no.7

今日もここまでお読みいただき
ありがとうございましたー！！！！

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ライター:徳嶋美希