就活生よ、Vorkersと食べログを一緒にするな!

就活生なら誰もが知っている、企業の働いている人の口コミをまとめてレーティングした情報サイト、Vorkers
各社の働いている人からの評判がランキングで見れたり、各個人の口コミを見れるということから、一見、「会社版食べログ」といってもいいように見える。

実際には、就活中の筆者(大学院生)もよくお世話になるが、重要なことは、Vorkersは食べログのように使ってはならないということである。
すなわち、Vorkersには「Vorkersの口コミの読み方」があり、単純にレーティングの点数を比較するようなことは絶対に避けるべき、ということである。(むしろ点数はほとんど参考にならない、といっても過言ではない。)

以下に、3つの食べログとの違いをまとめる。

口コミの多くは"会社を辞めた人"が書いている

Vorkersの口コミの多くは会社を辞めた人、もしくは退職を検討している人が書いている
なぜなら、バリバリ現役で楽しく働いている人は、Vorkersのようなサイトに自分の会社の評判を書き込む必要性もないし、暇もない。
(もちろん、就活マーケティング戦略として、人事部から現役社員に対していい口コミを書き込むような指示が出ている場合は別だが。)

そして、当然にして、会社を辞めた人もしくは辞めたい人は、その会社に対してネガティブな印象を持っている割合が高い。
つまり、Vorkersの口コミ内容は必ずしも”働いている人の評判”を映し出したものではないのである。

素人の口コミで埋め尽くされている

当然ながら、Vorkersに口コミを投稿するような人も、ほとんど1社ないし数社しか勤めたことがない、企業の評価においては素人である。
これは、プロの審査員が審査を行うミシュランガイドや、多くは一般人であっても皆、自分の人生で訪れた数百のお店との比較で口コミを書き込む食べログとの最大の違いである。

どうして、1社しか勤めたことがないのに、その会社が3.5点だと決められるんですか??

つまりVorkersの点数にはミシュランのような絶対的な尺度など当然なく、ましてや食べログにある他社との比較すらない、完全に独りよがりで決められた点数である。

それでも、その会社の良さと主観で決められた点数に一定の相関がありそうなものだ。だが、忘れてはいけないのは、その主観の持ち主が退職者もしくは退職を検討している人々であること。そのため、中には全く会社の問題ではない口コミも多数見受けられる。(特に「退職検討理由」の項目は顕著)

上司との折り合いが悪かったので退職しました。

これはどの会社にも起こり得ることである。たまたま、自分の直属の上司とのソリが合わなかったのかもしれないが、それで会社を低評価にされても困るよな、という印象である。

自分の将来像がイメージ出来なかった。入社前に抱いていたイメージと違った。

これは明らかにミスマッチであり、入社前の企業研究と自己分析不足が招いた結果であり、これもこの会社特有の問題ではない。

コア事業以外の事務作業のアウトソーシングを進めており、仕事が無くなりそうだから。
(経理、男性、退社済み)

あえて経歴を書いたのには理由がある。たしかにこの書き込みは参考になるところがあるが、むしろこれからAI化が進む時代において、誰にでもできる事務作業に年収1000万円のおじさんを充てがう必要はなく、個人的には素晴らしい経営判断だと感じている。

点数が高い=働きやすい会社ではない。

ついつい、点数が高い会社は優れた会社であるように感じがちであるが、実はそうではない。ここがVorkersを見る上で最も注意しなければいけない点であろう。

食べログの場合、もちろん人によって好みはあるにせよ、概ね高得点を獲得している店は美味しいといえる。なぜなら、味覚というものは、人種や民族により好みが分かれるせよ、大体みな同様の価値尺度を持っているからである。人によって美味しさの尺度が真逆だ、なんてことは起こりえない。

しかし、その会社をいいと思うかは、個人の好みにかなり依存する。ある人にとっては天国のように感じる会社であっても、ある人にとっては地獄のようである、ということは往々にして起こり得る。

例えば昨年夏に、P&Gという会社の1dayインターンシップに参加した。P&GといえばVorkersの評価は4.62。ミシュランで行ったら三ツ星の最高級店ということになる。だが、社員の方々を見ていて感じたのは、確かにこのカルチャーが好きな人には最高の会社だろうけど、自分には合わないな、ということ。
穿った見方をすれば、熱狂的なカルチャーを持つ会社ほど、そこにマッチする人々にとっては最高の会社になるし、その人達に口コミを書かせたら、ミシュラン三ツ星店のような高得点が叩き出されるのである。でも残念ながら、誰もが良いと感じるとは限らない。

一方で、例えば、いま所属している研究室で私は大変楽しく研究生活を送っている。私にとっては最高の研究室だが、学科では著しく人気がない。研究室版のVorkersなんてものが仮にあったとしたら、恐らく2.0ぐらいだろう。理由は簡単。割とブラック気質なところがあるからだ。ガツガツ研究したくない、まったり楽しく研究室生活を送りたい学生にとっては最悪の研究室だろう。

要は、自分にとって居心地が良いかというのは、他人のレビューからは全く判断できない、ということだ。


結局のところ、情報をどう活かすのか、が問われる問題であり、以上のことを踏まえた上で、Vorkersなどの就職メディアを自分の将来の職場探しのためにうまく活用していくべきである、ということである。

決して、自分の第一志望の会社のVorkersの評価が低いので、腹いせに書いた、というわけではないことをご理解いただきたい。


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