大げさに目標を持っているわけでもない。昔の野心を引きずって、まだあるアルバイトへの抵抗を捨てきれず求人サイトを閉じた。

自分で稼げるようになりたい。
お金持ちになって動物保護の犬舎を建てたい。
もっとナイスボディになって綺麗になって素敵なかっこいい女性になりたい。

いろんなことを考えていた。
つい最近までのメモの内容がすべて誰かの物を見ているような気持になった。
結局手つかずのまま、それでも少しずつ実現したいことを達成するために行動する日々。
昔ほどの野心は消えていて、年末の掃除のときに大量にファイルに詰められていたメモや殴り書きを捨てる。

通信に通っている今、卒業試験の勉強をしなければいけないのに何とかなるかな。と今まで通り特に何もせず今日もお腹いっぱい食べ物だけはいっちょ前に食べる。
ダイエットをして、今年の三月までに痩せなければ私の仕事はないと言っても過言ではない。
就職したはずの娘は無職だったなんて言えるはずもなく、今日も余暇を楽しんでいるようにぼうっと生きていた。

こんなはずじゃなかったなどと思うことはないが、ただなんとなく余力を持て余している気がして、日払いのバイトを探していた。

アフィリエイトで稼ぐぞ！なんてことが簡単に実現するはずはなく、自分の閲覧で小銭が稼げても自分を欺くことはできず落胆した。

無職か、
てきとうに進学するくらいなら働いた方がいい。
どうせ大した大学には行けないんだから。
行けてもどうせ上を見て学歴コンプに悩まされるだけだろう。

就職か。
時給800円にも満たない給料でなんでロボットみたいに働かなきゃならないんだよ。受かる変わらない旅費にどれだけつぎ込めばいいんだよ。

提示された選択肢をすべて拒否した私に残ったのは、誰にも言えない興味のある職業だけだった。
きっと誰にも言わないし、誰にも言えない。
売れるかどうかにかかっているその職業は、モデルや芸能人ほどの野望ではない。
だが、デビューですべて決まるくらいむずかしい世界だ。

もしこれで売れなかったら、私は無職かニートになるだろう。

それでも生きていける気がしたから自暴自棄なのかわからないがとりあえずよかったと思う。
誰かに受け入れてもらおうだなんて傲慢なことはまだ脳裏の隅に少しだけあるが、それすらも幸せだと思った。

パンパンに膨らんだお腹。
口に何かを入れていないと、することがないから、そうやって暇が自分を追い込んでいたんだろう。

無駄なしょうもないプライドは捨てて、おこづかい稼ぎにバイトへ行こうと思う。
プライドだけ無駄に高い女が少しだけプライドを折ってどうにか生きていこうと思う話。

どうでもいい道端のゴミくらいどうでもいい存在でも、それでも私は生きていくことに何か希望を見出しているのだろう。