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ビジネスと合理的配慮

以前、職場主催の研修に聴覚障がいのある方が参加されたことがあります。個人ではなくて職場=会社として提供すべき合理的配慮の範囲について考えた話。


研修は、日本語が母語話者で、「一般的に」見える・聞こえる人を対象にしていました。接客の研修ということもあり、考え方が遅れている分野でもあったかもしれません。レジュメやスライド的なものはなく、参考資料を配布するのみ。

取り急ぎ決めたことは、講師の方にマスクではなくフェイスシールドで対応していただくこと。

上司へ個人的に提案したのは、パソコンノートテイクの経験があるので自分が勤務外のボランティアとして参加すること。それから、事前に紙資料を用意すること。

どうします?と上司に相談したら、そこまでやらなくていいのでは(笑)、みたいな反応だったのが地味にショックでした。 ご本人からは日々の生活は読唇で何とかしていると申し出があったので、上司としては、それなら大体わかるんでしょという認識だったようです。

これが「負担のない範囲」か…。想いとビジネスを両立させることの難しさを感じました。1担当で決裁権もないので。

さらに、それはないだろうと思ったのが、字幕のない30分もある映像も一緒に見てほしいと。

結構食い下がって、最初その研修の会場に行って様子を見る許可は何とか得ました。また、別の先輩に相談して、改めてご本人は果たしてどこまで求めているのか(既に諦めていると思っていたけれど)聞いてもらえることになりました。

結果、私のできることは何もなかった。その方と一緒に受講されるという支援者が現れ、資料の指差しだったり手元の筆談だったりで必要事項の補完をしていただいたからです。

自分が仕事で提供している内容がバリアばかりだったことに愕然とすると共に、やれないことに目が向いてしまいました。でも、こういう目線の人がいる間に、少しずつでも気づいて改善していきたいとも思います。

後日談ですが、ご時世的に集合研修ではなく動画を見ていただく研修に切り替えることになりました。大事なところだけではなく全編字幕付きを依頼したのはここだけの話。







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