まっすぐを見れば、もっと大切なことが見えてきた

私の好きなバンドの1つに「フジファブリック」というバンドがいる。
昨年、デビュー15周年を迎え、代表曲に「若者のすべて」「夜明けのBEAT」等がある。
私は1度だけ彼らを推すのをやめようとした時期があったのだが、これで最後にしようとしていたliveで彼らに救われた(ツアーだったので、正確には「そのツアーが終わったらファンを離れようとした」である)時の話をしようと思う。

出会いは2013年、新曲として流れていた「フラッシュダンス」のMVをCSで見たことだった。
それまで彼らについて知っていたことは、バンド名、志村正彦という天才がいたこと、代表曲である「若者のすべて」が多くのアーティストにカバーされていることだけだった。

それから、TVやラジオを通じ、最新情報や新曲を見聴き、2016年2月に本格的に応援しはじめた。
曲は勿論、彼らのことも知り、liveにも足を運ぶうち、歌声のまっすぐさや演奏技術の高さを五感で感じ、Twitterで知り合った方と興奮や感動を共有するようになった。

2018年冬、ファンを離れようとした。
この頃の私は、他のフォロワー様に比べて温度差を感じていた。
別に誰のせいでもないし、彼らが何か悪いことをしたり、やったことが気に食わなかったり、嫌いになった訳でもないので、原因は分からなかった。
それでも私は、熱意と関心を持てない自分に「何故ファンをやってるのか?」「このままファン続けてて良いのか?」「他の方と同じように熱く愛せない自分なんかが愛して良い資格なんてあるのか?」と漠然とした疑問を持った。
フォロワー様全員のフォローを外そうとしたが、前述通り誰のせいでもないし、フォロワー様にも申し訳ないのでそれは流石にやめた。
もっと酷い所まで行くと、これまで購入したグッズをすべて廃棄しようとした(実際には捨てなかった)。
ただ、TVの録画に残っていた番組はすべて消去した。
今思えば、嫌いになった訳じゃないけど、愛せなかったのかもしれない。

しかし私は、彼らから「一時的に逃げた」。彼らの話題から目を背けるように。
その方向にあったのは、テレビ朝日の人気ドラマ「科捜研の女」だ。
元々、この作品が好きで、リアルタイムでも見ていたが、フォロワー様がほぼほぼいなかった。
以前から気になっていた方を次々とフォローして、放送時にはTwitterでの実況で凄く盛り上がった。

一方で、フジファブリックはツアーがはじまっていた。
私も当選して、行こうと決めた。
が、このツアーで彼らからは離れることにしよう。私はそう決めていた。

しかし、彼らに救われた。
ツアー終盤の六本木公演で演奏したスワンの「真っすぐをむけばもっと難しく考えないで」に、こんな私でもファンを続けてて良いんだ、愛することを難しく考えることはなかったんだと励まされ、追加公演だったお台場公演でのバウムクーヘンの「大切に出来ずごめんね 僕の心は不器用だな」は、今の私の想いを代弁してくれた気がした。

そして、ファンも1人の人間なので、ファンの数だけ愛する形も多様なこと、周りと比べず、自分の許容範囲で楽しんで、推しを推し続けることを学んだ私は今も応援し続け、15周年という年を盛大に祝えて純粋に嬉しかった。
そして去る2019年10月20日、はるばる福島からメンバー全員の夢である「大阪城ホールでのlive」(元々は、ボーカル&ギターの山内さんが大阪出身で、先述の夢を語ったが、いつからか、メンバー全員の夢になっていた)が、実現する瞬間の立会人になった。

15周年を超え、その先へ向かう彼らの目には何が映っているのか――。
現在のコロナ渦でツアーも途中で中止になり、夏フェスやイベントもなくなり、表立った活動が困難となっているが、遙か彼方まで続く旅路を今日も強く凛と歩き続ける彼らを、無理せずに大いに楽しんで応援し続けられたら良い。