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北の衝撃〜オショロコマを求めて〜

北海道初の釣行へ

 某年某月、私は北海道へ引っ越してから初の渓流釣行へと出発する運びとなった。それまでは小樽港でのナイトロックしか釣りらしい釣りはしていなかったが、渓流でのルアーフィッシングが本業(?)の私は我慢ができず、釣りをきっかけに知り合った知人を半ば無理やり渓流釣行へと連れ出した。

 しかし、困ったことに釣具のほとんどを実家に置いてきてしまっていたため、当日までに急いで釣具一式を揃えることとなってしまった。とにかく、安く・早く揃えられる釣具を調べ、ネットショップ等で注文。なんとか当日に間に合った。よかった・・・。

 こんなワタワタしていて、本当に大丈夫か?多少疑問に思いながらも、当日未明、久方ぶりの渓流へと車を走らせた。

初のヒット

 北海道初の渓流は、大きな本流から少し外れた支流からスタートとなった。ここにはニジマスがいるらしい。とりあえず魚に会いたいと、はやる気持ちを抑えながら入渓した。

 さて、橋の下には目ぼしいポイントが連続している。水量も多すぎず、丁度いい。同行者は下流を打ってくると言うので、遠慮なく先行させてもらった。先発ルアーは、SupremoのMOFE50ss。地元の渓流で、何かとお世話になったルアーだ。信頼は十分。

 早速ポイントの反転流にルアーを投入し、中層をフワフワとアクションすると、いきなり魚が飛び出してきた!!しかし、うまく針にかからずにフックアウトしてしまった。「ん?ニジマスの川って聞いていたけれど、あの追い方はイワナっぽいぞ?」

 あの魚の正体はなんだったのか、真相を確かめるべく、一段上のポイントにルアーを投入。すると、またもや直ぐに魚の反応が!アップストリームではルアーを追いきれない様子であったので、ダウンストリームでアプローチすると念願のHIT!!

北海道初のヒットは可愛らしいサイズのオショロコマであった

 蓋を開けてみれば、その魚はニジマスでもエゾイワナでもなく、オショロコマ!
本州にはいないトラウトなので、北海道での目標の一つであった。いきなり達成してしまったが・・・。

 サイズは小さいが、オショロコマは大きくなりにくいとの話も聞く。北海道でのトラウト歴の長い同行者も、可愛いサイズしか見ないとのこと。それならば、この子でも大満足!!北海道トラウト生活の最高のスタートとなった。

枝沢へ

 初ヒットからしばらく同じ川を釣り上がるも、何度かニジマスと思しき魚をバラすだけで終わってしまった。そこで、その川には見切りをつけ、前もって目星をつけていた枝沢へ移動することに。

 その沢への道はほとんど廃道になっていた。なんとか獣道を辿って入渓。こちらも水量も渓相も悪くない。先ほどの川よりは規模の小さい沢なので、ルアーはルアースタジオヤマトのYuiro50sに変更。必殺ルアーである。これは釣れちゃうでしょう!!

 そんな妄想をしつつ、目ぼしいポイントにルアーをキャストしているといきなりヒット!しかもデカイ!私も、同行者も、「でかい!」と叫んでしまっていた。一瞥する感じだと、尺近い。緊張しながらも慎重にやり取りをしていると、キャッチ目前で無念のバラシ・・・。「この川に、あのサイズがいる」その事実だけが残る形となった。

そして大物と出会う

 尺クラスのバラシから程なくして、少し開けたプールに到達。ここでも、流れの淀み・反転流にルアーを投入してフワフワ・・・・。「ゴンッ!!」大きなアタリ。しなるロッド。これもデカい魚だ。

オショロコマ独特の幼い顔がキュートな個体

 そして釣り上がったのは、27cmはあろうかというオショロコマ。20cmあればいいサイズと聞いていたオショロコマ。これは良型だ。谷の魚らしく、濃い体色の個体であった。

 この一匹で更に大満足。同行者に先行させていただいていたので、ここで先頭交代。ホクホクしながら、フライマンである同行者の釣りを眺めていた。

 しかし、なかなか同行者のドライフライに魚が出ない。魚がいない訳はなかろうと、後追いでルアーを投入すると・・・。

31cm、尺超えのオショロコマが潜んでいた

 やっぱりいた!お次は尺超えのオショロコマである。まさか、北海道初の渓流釣行がこんなことになるなんて。考えもしなかった。驚きと興奮で手が震える。

 どうやら、魚の目線が水面に向いていないようだ。ぼちぼち虫は飛んでいるので、同行者のフライに出ても良さそうなものなのだが。ルアーへの反応の方が圧倒的に良い状況であった。違う釣り方の人と川に入ると、このようなことが度々起こる。全てはお魚の機嫌次第。

(追記)
 その後分かったことだが、オショロコマがフライに反応せずルアーに好反応だったのにはハッキリとした理由があった。

更なる出会い

 その後も、ポイントがある度に25cm程度の良型オショロコマが反応を示してくれた。「お腹いっぱいです!」と、再び同行者に先頭を譲る。

 しかし、どうにもフライへの反応が鈍い。同行者は見切りを早くして、ランガンのような形で水面を意識している魚を探していく。

 後追いの私は、ドライフライでは探りきれない水深のポイントを、丹念にチェックしていくことに。そして、なんの気なしにとあるプールを探っていると・・・。

 「ドン・・・」と鈍いアタリ。重い。5fのロッドが弧を描き、ドラグがズルズル出されていく。

 「え?何者?コイ??」と困惑していると、ユラッと巨大な魚体が視認できた。尺超えは確実であろう。一つ下のプールに走られるも、なんとか魚を制御し・・・

まさに、衝撃の出会いであった

 キャッチ!!40cmオーバーの巨大オショロコマであった。色は薄いが、確かにオショロコマの顔をしている。「ヌシ」と呼ぶに相応しい貫禄だ。

 尺オショロでも大興奮だったが、そんな記憶も吹っ飛ぶほどの衝撃。言葉にならない感動である。バッグが濡れるとか、そんな些細なことを気にしていられない。弱らないように、水の中で写真を撮影し無事リリース。

 こうして、私の北海道渓流初釣行は幕を閉じた。

森の宝

 全く、北海道の渓流のポテンシャルには驚かされた。ニジマスやブラウンなどの外来魚のイメージが強い北海道の渓流であるが、在来種の残る川も確かに存在している。

 彼らは、森の宝であると言っていいだろう。見た目の美しさも宝玉のようである。彼らが、北海道の山奥で確かに生き延びているという事実だけでも、自然への尊敬の念が生まれる。

 我々釣り人は、彼らの生活にお邪魔させていただいているに過ぎない。

使用ルアー
Supremo
 MOFE 50ss

ルアースタジオヤマト
 Yuiro 50s
 瓢 55s

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