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2/3-4 T.M.MUSIC オーディションショーのススメ

 いつもお世話になっております。Ryotaです。

 今年はライブレポや新曲特集以外に違うことやってみたいな~ということで、近々予定されている要チェックな公演をFieldism流に取り上げてみようという試みをやってみます。不定期なので今回はナンバリングしませんが、反響があったらシリーズ化しようと思ってます。

 記念すべき第一回は、Marina氏が主催する日本のプロモーターT.M.Musicのオーディションショーをピックアップします。
気になる方は下記から予約 & 投票方法もご確認ください。

 T.M.Musicが何ぞや?っていうのは本人のnoteを読んでもらうのが一番早いんでここでは語りませんが、上半期だけでもten56., Blessthefall, Escape The Fateなど海外の名だたるメタルコア/ポストハードコア/デスコアバンドを日本に招聘するのはすでに皆もご存じかと思います。

 今回のオーディションは、下半期に予定されている来日公演のサポートアクトの選出の意味合いが込められており、Marina氏が音源/書類審査を経て10組を選出、そこから各日5組ライブを行い、当日足を運んだオーディエンスの投票によってウィナーを決める…という形式です。わかりやすく言えばCrystal Lakeが一時期やってた ''THE ROAD TO TRUE NORTH''が近いと思います。

 noteやXの公式アカウント見ればわかると思いますがMarina氏がなぜこのオーディションを開催したか、それは「若手のバンドにもチャンスや繋がりを与えたい」っていう気持ちが強いんだと思います。これは今まで自分がやってきた企画 (特にBuried Alive)でもそうなんですが、やっぱり今活躍しているバンドにもっとスポットライトが当たる土壌を作っていきたいと思っているしそういうスタンスを提示するプロモーターやイベンターには全力でリスペクトしているわけで、彼女が組んだ今回のオーディションにもそういう強い思いを感じました。

 実際にMarina氏は昨年の9月にBuried Alive IIIに来ていただき、今の日本のヘヴィミュージックシーンの最前線で戦っているバンドを観たことで彼らが持っている可能性を見出していただけたっていうのは自分の中でもかなり嬉しかったので、それに報いるべく誠に勝手ながらこうして筆を取って出演する各バンドの魅力について語っていきたいと思います。残念ながら筆者は当日赴くことはできませんが、足を運ばれる方には是非各出演者の魅力を知ったうえで投票に臨んでほしいなと思ってます。

 今回筆者にとって思い入れのあるバンドが多すぎるので、なるべくフラットな目線で紹介していきます。
※出演順は当日くじ引きで決まるので、出演順で羅列しているわけではないことあらかじめご了承ください。

2/3

As Alliance (沖縄)

 まずは沖縄発メタルコアバンドAs Allianceから紹介していきましょう。子2013年結成と、今回の出演アクトの中では最もキャリアが長い部類に入ると思います。主に2010年代のRise Recordsあたりのバンドからの影響を感じる、TsugumaのシャウトとBrandonのクリーンが合わさったツインボーカル体制が織りなすドラマティックなポストハードコア/メタルコアサウンドは、バンドの「日本から世界へ」をリアルに体現しており、10年以上のキャリアの中で中国・台湾・香港・マカオなどのアジアツアー/大規模フェスへの出演を果たした実績もあります。

 今回のラインナップ、特に1日目はEDMやヒップホップなど電子音楽の要素を自分たちのサウンドに落とし込んだサウンドを武器にするバンドが多いんですが、このバンドに関しては10年以上のキャリアで積み重ねてきた実績とパフォーマンスでストレートに正統派モダンメタルコア/ポストハードコアをオーディエンスにぶつけてくる所が見どころじゃないかなと感じています。昨年リリースされたシングル3作はメジャーレーベルからリリースされており、もういつでも世界に飛び出せるよう準備万端なのが伺えます。


Called by Mercury (東京)

 Called by Mercuryはおそらく1日目のラインナップにおけるダークホースでしょう。まだ音源もデビューシングル ''ACID'' だけのうえ、初ライブも先日行われたばかりながら、書類/音源選考を勝ち上がっているあたり相応のポテンシャルがあることが伺えますがそれもそのはず。このバンドにはハードスタイル/レイブシーンで活躍している現役のクラブDJのGASTON、過去にデスコアNigella, ダウンテンポWEDGE//BRINGERで海外バンドの来日ツアーを何度もサポートした経験のあるGt. Kentaが在籍しています(最初のBuried AliveではW//Bにも出演していただいたことがあり、今でも恩義を感じています)。

 筆者も今回の記事を書くにあたってデビューシングルを聴かせていただいたのですが、メタルコアとレイブミュージックを融合させた ''Rave Core'' を標榜している通り、上記に限らずロック/メタル/EDM/ヒップホップなど幅広いバックグラウンドからインスパイアされつつも単なる付け焼刃というか「こんな感じが好きなんでしょ」っていう印象がないクリエイティブな一面をのぞかせています。結成当初から海外での活動も視野に入れていると公言しているので今後どう化けるか注目です。


Invert Hourglass (新潟)

 新潟を拠点に活動しているメタルコアバンドInvert Hourglass。前身のCurse of my hands時代から無機質で近未来的な雰囲気を醸し出すソリッドなサウンドと、ダークな雰囲気を持つアンビエント/ダンスミュージック影響下のエレクトロサウンドを武器に活躍してきましたが、2021年に現Vo. Yukiの加入と現名義に改名して以来そのサウンドは進化。直近でリリースされた ''Peacebreak'' ''Blind'' はこれまで以上にEDMの要素を取り入れたサウンドは安直なチャラさ/薄さを感じさせない絶妙なバランスで、バンドが築き上げてきたシリアスで冷ややかなサウンドに幅を持たせています。

 この1~2年の精力的なライブ活動と音源からもバンドとしても大きく成長している様子で、昨年Buried Alive IIIに出演してもらった時も対バン相手からは「凄いやりにくかった」と言われるほどそのパフォーマンスには定評があります。フロントマンYukiのローミッドの破壊力あるシャウトは音源の時点でもうカッコいいんですが、ライブではその端麗な容姿も相まって圧倒的な存在感を放ちます。進化し続ける''NIIGATA CITY CORE STYLES''、その名を世界に知らしめるきっかけを作れるのか注目です。


In Denial (東京)

 東京を拠点に活動しているプログレッシブメタルコアバンドIn Denial、2021年にex.Fade In Solitude/Agony of TortureのギタリストであるRiku & 昨年Cryptopsyのサポートアクトにも選出されたメロデスDesolate SphereのVo. Kentによって始動したプロジェクトから始まり、昨年にGt. Gomi (ex-FRCTS), Dr. Haruki, Ba. Takeru (Eternal Hostage) の3人の加入によりバンドとしての活動も開始するとともに、プロジェクトを立ち上げた二人にとって「自分たちの最適解」「コンポーザーとして一つの終着点」と語る渾身のデビューEP ''La Fin Du Jour (=旅路の果て)''をリリースしました。

 このバンドの特筆すべきところは圧倒的な演奏技術から織りなすサウンドとDesolate Sphereのそれとはまた違ったKentのボーカルワークでしょう。前者はFade In Solitudeの時からもそうでしたが、プログレ・テクデスを軸にした流麗なリードとヘヴィなリフの対比を際立たせたRikuのソングライティング、そしてそんなテクニカルな楽曲を演奏する各楽器隊には言葉が出ません。後者はグロウルだけでなくクリーンやメロシャウトなど展開によって使い分ける多彩な表現が楽曲のドラマ性を数段階引き上げています。

SIGHTBACKS (東京)

 1日目最後のバンド紹介は東京発メタルコアバンドSIGHTBACKS。トレンドの最先端を行くエキセントリックなメタルコアサウンド、特にサイバーパンクっぽいエレクトロアレンジやジェットコースター級の予測困難かつ独創的な展開に富んだアプローチは、まだ始動してから2年ちょっとながらも精力的なライブ活動も相まって徐々に存在感を発揮しています。また、昨年にはBroken By The Scream主催フェス ''FEST OF EXTREME 2023'' のオープニングアクトに抜擢されたり、東京を飛び出し大阪や仙台にも初遠征を果たしたりと活躍の場を広げています。

 昨年Buried Alive IIIに出演していただいたときやっと初めてライブ観れたんですが、上述した予測できない展開だけでなく、Vo. SOTAはじめ各メンバーの良い意味で気取ってない/力まないながらも、その場の雰囲気を自分らのフィールドに持っていく、オーディエンスを常にワクワクさせるようなエネルギッシュなライブスタイルにも注目してほしいかなと思ってます。来月には2nd EP ''MISSINGLINK'' のリリース & 2/11にはレコ発も控えているので華を添えられるか様子を見てみましょう。


2/4

ALIOTH (東京)

 2日目は東京発メタルコアバンドALIOTHから。2019年に前身のBlackgazeとして始動し、2021年に現在の名義に改名 & デビューシングル ''Fearless'' をリリース。Crystal Lake,The Ghost Insideを始め国内外のメタルコア/ハードコアから影響を受けたタフでソリッドなサウンドを武器に精力的なライブ活動で着々と実力を積み重ね、昨年には盟友のメロディックメタルコアABLAZE IN VEINSとのスプリット ''Our Sanctuary at Daybreak'' を引っ提げて東名阪ツアーを敢行したりMAKE MY DAY主催の''SCREAM OUT LOUD FEST 2023''のO.Aを務めたりと、躍進の一年となりました。

 彼らも昨年秋にBuried Alive IIIに出演していただいたことを始め、実際に何度もライブを目の当たりにしていますが、特筆すべきは一回一回のライブに対するパッション。前者で言えばVo. TELを始め各メンバーのオーディエンスの熱意に「もっと来いよ」と真正面から向き合うようなライブパフォーマンス、最新作 ''The Morsque'' に代表されるヘヴィなリフワークとブレイクダウンを伴った凶悪なメタルコアサウンドに負けない存在感を放っており、現在進行形でライブバンドとして進化し続けています。


Avoid Silence. (東京)

 「静寂を避け、そして打破る」をモットーに東京を拠点に活動しているツインボーカルメタルコアAvoid Silence.ですが、唯一もともと関西のバンドで、UNIONSBreathe My Wordsなど数世代前のメタルコア/ポストハードコアシーンを盛り上げていたバンドを輩出した神戸出身です。実は同じく神戸出身でツインボーカルバンドとして活躍しているPartyPeakよりも始動時期は1年早く(2018年始動、PartyPeakは2019年)、コロナ禍諸々があり一時活動を休止していましたが、2022年に東京に拠点を移して活動再開。以来精力的なライブ活動を行い着々に注目を集めています。

 まだ筆者は彼らのライブを観たことがないんですが、デビューシングル ''Dark Horse'' は時折ジャジーなフレーズを取り入れた耽美なドラマティックなメタルコア路線と思いきや、最新作の ''F'A'T'E'' ではCrossfaithあたりを彷彿とさせるエレクトロサウンドを取り入れてモダンなアプローチに傾倒したりと(方向性を探ってる部分はあるかもしれませんが)バンドとしての引き出しの多彩さは関西出身ゆえか良い意味で ''闇鍋感'' が出ていて見過ごせない部分かなと思います。


FROSTBITE (福岡)

2日目においてダークホースになりえるのは福岡発メタルコアバンドFROSTBITE。昨年の2月に出した初音源 ''Flo's Scales'' 含め音源はまだシングル2枚だけながらも、主にAlpha Wolf~Dealer, PROMPTSあたりを彷彿とさせるワーミーとモッシュグルーヴ連発系ニューメタルコアスタイルと冷たいハードスタイル/ベースミュージック調のEDMアレンジでダークな雰囲気を前面に押し出しています。選出はなりませんでしたが昨年Buried Alive IIIの公募枠に立候補いただいた経緯もあり、筆者個人としても相当なポテンシャルを秘めているバンドとしてチェックしています。

Paledusk眩暈SIRENEvilgloomなどを見ても福岡のラウドロック/メタルコアはエレクトロ/シンセアレンジの取り入れ方に皆独創性があり、それはこのバンドも例外ではないかなと感じています。初めての九州外でのライブがまさかの海外の名だたるバンドと共演できる機会を賭けたオーディションという事実に筆者もびっくりしていますが、昨年フルアルバムをリリースして以来一足早く海外アクトとの共演を実現させている同郷のEvilgloomに続くことができるのか、この日が今後の試金石になるでしょう。


InFix (厚木)

 「辺境の地」神奈川・厚木発メタルコアバンドInFix、今回のアクトの中ではAs Allianceと同じく最もキャリアが長い部類に入ります。同郷の夕闇に誘いし漆黒の天使たちmildrageと近しい時期に始動し、一貫してソリッドなメタルコアサウンドを提示してきました。2022年に長らくバンドを支えていたVo. yu-ma & Dr. Naoが脱退し大きな転換期を迎えたものの、昨年の春にCrystal Lakeの新Vo.オーディションに参加していたHakkiを迎えすぐに活動を再開、メロディックメタルコア・ニューメタルコアなど吸収しモダンメタルコアサウンドにさらなる磨きがかかります。

 筆者にとっても前体制の時から交流のあるバンドで知り合ってからもうかれこれ5年くらい経つのですが、年々音源とライブともにブラッシュアップされているのを感じます。特に新しく加入したVo. Hakki、彼にとってバンドに加入したのはInFixが初めてだそうですが、嘘だろ…と疑うほど別格のボーカルワークをカマしてくれます。先日大阪で行われたライブを観に行きましたが、関西県外から遊びに来たであろうファンの方も結構いた様子でした。今年はバンドにとっても勝負の年になるのは間違いないと思います。


LIKE A KID (東京)

 最後は ''ALTERNATIVE NU EMO'' を提示するLIKE A KID。バンドとしての始動は2020年と比較的新しいながらも、Vo. Kentoがex-Alternations, Gt. Kimuraがex-UNBLEED, Gt. HikaruがEternal Hostageと各メンバーそれぞれがこのバンドと方向性の違うジャンルのバンドで活躍している(or していた)経歴があります。エモ/スクリーモ/ポップパンク/オルタナを始めとしたさまざまな要素を内包しながらも2020年代にアップデートした、洗練としたサウンドの中にどこか懐かしさも感じるキャッチーなメロディ/アレンジの奥深さは唯一無二かなと思います。

 筆者は昨年の夏にポップパンク/オルタナ/ハードコアなどクロスオーバーさせた ''N.L.N.S'' に出演いただいた際初めてライブを観たんですが、各メンバーの豊富な経験値から成る安定したパフォーマンスもさることながら、端麗な容姿に秘めた熱いハートをむき出しにしたKentoの華のあるショーマンシップは多くのオーディエンスを惹きつける魅力があり、筆者も感銘を受けて帰ったのを今でも覚えています。昨年はフルアルバム ''POV'' をリリースしツアーも完遂した彼ら、2024年は更なる躍進に期待がかかります。


末筆

 というわけで、オーディションショーに出演する10組をざっと紹介してみました。過去の自分の企画に出てもらったバンドもそうでないバンドも、何かしらの思い入れや魅力を皆持っているので個人的に「このバンドに勝ってほしい」って言うのは正直無理だなと。その場にいれば「その日一番良いライブしたバンド」に投票するんですが…

 当日公演に足を運ばれるオーディエンスには、この記事を一度チェックして出演する各バンドの魅力が伝わってくれると嬉しいし、なるべくフラットな目線でぜひ楽しんでいただけると幸いです。筆者はどのバンドが選ばれるか、結果発表が今から楽しみで仕方ありません。

ということで特集はここまで、お読みいただきありがとうございました。気に入ったら是非自分のnoteやXのアカウントをフォローしてもらえると幸いです。あと感想やシェアして広めてもらえると励みになります。

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