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「英語は10000時間でモノになる」

「英語は10000時間でモノになる」(橋本大也 技術評論社)

デジタルハリウッド大学教授、翻訳者で英検1級の著者による。今どきの英語の勉強法の本。ものすごい読書家で、お勧めの洋書が以下のサイトでいっぱい紹介されている。
ブクロジア:英語で本を10000時間読むブログ

AI時代の新しいツールを使った勉強法も数多く紹介しており、非常に面白かった。

多読教材を使う
多読とは、やさしい本からはじめてだんだんレベルを上げていくことで英語を身につける学習法です。
この方法の普及を推進しているNPO法人多言語多読(https://tadoku.org/)によれば、次のルールがあります。
・わからない単語があっても辞書は引かない
・わからない場所は飛ばす
・面白くない本は飛ばす
(57ページ)

私は読書中、原則として辞書を引かないのですが、スラングかなと思った時だけは、特例として辞書引きを解禁して、ネットを検索しています。辞書には載っていないことが多いので、Googleで単語+meaningやdefinitionで検索するか、Urban Dictionaryのようなスラング辞書を使います。
Urban Dictionary
(80-81ページ)

 ノンフィクションの読み方の基本は速読です。
 「精読できないのに、速読できるわけがない」
 そう思いますか? 案外、そうでもないのです。速読は精読が困難な部分を飛ばすことですから、要領よくやればだれでも可能です。
 このエクササイズを試してみてください。私はこの作業を10回くらい繰り返したら、読書スピードが顕著に上がりました。

 (1)未読で興味がある内容の洋書を用意する
 (2)1時間でその本を要約する(日本語で結構です)
 (3)その本を人に勧めるスピーチをする(83ページ)

 最初の1年間は、本を完全に理解できるとは思わないことです。それが学校教育の精読、和訳の学習と大きく違うところです。今はわからなくていい。続けてさえいれば、1年後、2年後にはわかります。最初のうちは「半分くらい理解できた」と思えるなら、適切な本のレベルを読んでいます。(89ページ)

 私は月に10冊以上の洋書を購入しますが、その10倍くらいの数の本の購入を検討しています。面白そうな本の情報をキャッチしたら、とりあえずGoodreads(後述)のWant to Readに登録してコミュニティの評価を確認し、メタ書評サイトのBook Marks (https://bookmarks.reviews/)で主要書評サイトにおける専門家の評価を確認します。アマゾンの立ち読み機能を使って英語の難易度も確認します。(107ページ)

 欧米では多数のブッククラブが存在しており、情報の発信源になっています。毎月おすすめ本を格安で買える会員組織が基本ですが、多くはInstagram、Facebook、Twitterを運営しており、正式に入会せずとも紹介を見ることができます。ブッククラブは、女性向けの本が充実しています。
・リースのブッククラブ

映画女優であるリース・ウィザースプーンが始めた、大人気のブッククラブ。
・Between Two Booksブッククラブ

本の売れ行きを左右するビッグネームのサイトもチェックすると話題の本が見つかります。(110-111ページ)

地域の「多読の集まり」
(111ページ)

読書家・SNS

ビル・ゲイツ

TikTokのBooktok

(114ページ)

欧米の有名書店
バーンズアンドノーブル

シティライツ

Strand

Shakespeare and Company

Powell

(115ページ)

 私の読書の供はGoodreadsです。Goodreadsは、世界最大の本の読者SNSです。

 Goodreadsがなければ、私の英語読書はここまで続いていません。洋書の最大の情報源であり、読書継続のインセンティブの源でもあります。(117ページ)

 ここでは、2023年2月に公開されたマイクロソフトのBingのチャット機能を例にして、AIをどう使ったらいいかを解説します。
・Bing

 同様のことが、ほかのAIでもできます。
・ChatGPT

Perplexity.ai

https://www.perplexity.ai/

 こうしたAIは日々進化し、サービスも増えていきますが、読書をする人間がどんな質問をしたらいいかは変わらないはずです。(126-127ページ)

 自分の単語力を知りたい人は、次のサイトで測ることができます。
・Weblio語彙力診断テスト

(146ページ)

 ボキャビル用のアプリは数十種類あります。人気ランキング上位のものは、どれもよくできています。学習目的と好みから好きなものを選べばいいと思いますが、私が一番よく使ったアプリはiKnowでした。コース設定や例文が大人の再学習に最適です。脳科学にもとづく学習プログラムで、最適なタイミングで、最適な単語を学習することができます。(151ページ)
iKnow

 コミュニケーションと瞬発力を鍛えたいならTOEIC、本や新聞を読んだり文章を書きたいなら英検がおすすめです。(154ページ)

 TOEICでは、まず単語の暗記が何より重要です。ありがたいことに、TOEICの問題に出てくる単語は限られています。単語の暗記を頑張ると、知らない単語は1つも出てこないという状態にすることができます。(154-155ページ)

 英検1級は、TOEICと違って傾向と対策が立てにくいように思います。私が3回の受験、1年半で合格できたのは、大量の読書のおかげでした。英検1級の問題は、単語の難易度が高いことで有名です。私も、最初の受験では面喰いました。ハイレベルの単語が連発していました。
(中略)
 英検1級の問題には、細かな文法を問うものはほとんどありません。長文の内容を正確に理解できているかが問われます。単語については、完全に理解できていなくても、なんとなくわかる単語がいっぱいあれば、問題には答えられます。これは、知らない単語を飛ばして読んでいる読書とまったく同じでした。(156ページ)

 語彙力を高めるためにおすすめの本が、"Instant Word Power"。読んでいるうちにみるみる血となり肉となる感覚を味わえました。著者のノーマン・ルイスは有名な英文法の先生で、"Instant Word Power"は連発したベストセラーの中の1冊です。(157ページ)
Instant Word Power

Word Power Made Easy

Thirty Days to Better English

単語を調べる7つの方法
(6) Youglishを使う
外国人の名前の発音、スラングの発音など、発音記号が辞書にない単語では特に役立ちます。
・Youglish

(165ページ)

おすすめのオーディオブック5選
(1) The Buddha in the Attic
Julie Otsuka

(2) Tangier Love Story --- Jane Bowles, Paul Bowles, and Me
Carol Ardman


(3) The Great American Read: The Book of Books --- Explore America's 100 Best-Loved Novels
PBS

(4) The Anthropocene Reviewed --- Essays on a Human-Centered Planet
John Green

(5) English Grammar Boot Camp
Anne Curzan

(176-178ページ)

Audibleは、オフィシャルのポッドキャストチャンネルAudictedを運営しています。audio(オーディオ)と
addicted(中毒)を組み合わせた造語です。
・Audicted

(179ページ)

YouTubeには書評の動画が大量にあります。私は普段、特定のユーチューバーを追っているわけではなく、YouTubeで"book review"で検索して書評番組を探しています。たとえば、こんなチャンネルを見ています。自分の好きなチャンネルを5つくらい見つけましょう。

Eric Karl Anderson

emmie

Vlog Brothers

GenXGrownUp

TED

(182-183ページ)

 私は年間に100冊以上の英語の本を読みますが、読むたびに書評を英語で書いています。あまりやっている人がいない学習法だと思いますが、書評執筆は英語の上達に非常に効果があります。私が短期間で英語が上達したのは、英語で書評を書く習慣のおかげです。
(中略)
 そして、こうした文章をGoodreadsやSNSにアップすると、海外の読者、時には著者自身とも直接つながることができます。私はこれで海外の作家や本好きの友達を何人も作り、リアルで会うこともできました。(196-197ページ)

 英語の書評を読もう
New York Times
Washington Post
Wall Street Journal
Financial Times
New Yorker
Goodreads
Bookmarks
(203-205ページ)

 私が英語を使って仕事をするうえで使わない日がないくらい便利な校正ツールがGrammarlyです。
・Grammarly

(205-206ページ)

 自分で書いた英文を洗練させたいと思ったら、人工知能が書き直し方を教えてくれるQuillbotを使いましょう。パラフレーズ(言い換え)の案を提示してくれます。
・Quillbot

https://quillbot.com/

(209ページ)

 録音ファイルをテキストに書きおこしてくれる、Otterというサービスがあります。自分で話した英語の録音をアップロードすると、通じる英語かどうか、発音の確認ができます。
 リアルタイムに発音を確認するには、Googleドキュメントの音声入力が便利です。おすすめの発音練習は、読書をする際にGoogleドキュメントを立ち上げ、音声入力モードにしておいて朗読する方法です。英語をうまく発音できているかのチェックに有効です。もちろん、スマホの音声入力を使ってもいいですね。(224ページ)

 オンライン英会話を始めるなら、カリスマ英語講師の安河内哲也氏の「英語が話せるようになりたければ、今すぐオンライン英会話をやりなさい!」(NHK出版 刊)を読んでからやるのがおすすめです。(234ページ)

 この本に書いた内容から、英語漬け10000時間の達成に向けて、大切なポイントを3つ整理しておきます。
(1)わからなくても先に進んでいい
(2)興味のあることだけに取り組む
(3)日本語を封印する時間を増やす
(242ページ)

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