見出し画像

「クリエイティブの授業」

「クリエイティブの授業」(オースティン・クレオン 千葉敏生 実務教育出版)

絵を描く作家で、新聞記事の黒塗りで作った詩集の作者として知られる著者による、自身の創作活動を通じて学んだ教訓を「クリエイティブな人生を送る10のヒント」として紹介した本。

目次が良いまとめになっている。

1 アーティストのように盗め!
2 自分探しは後回し
3 自分の読みたい本を書こう
4 手を使おう
5 本業以外も大切に
6 いいものをつくって、みんなと共有
7 場所にこだわらない
8 他人には親切に(世界は小さな町だ)
9 平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
10 創造力は引き算だ

 できるまではできるフリ
 ドラマツルギーって言葉を知っているかい?この聞き慣れない
単語の意味は、400年ほど前、ウィリアム・シェイクスピアが喜劇
「お気に召すまま」の中で説明している。
 この世はすべて舞台だ
 男も女もみな役者にすぎない
 退場もあれば登場もある
 そして1人1人が一生に何役も演じる

 簡単に言えば、「できるまでは、できるフリをしろ」ってことさ。
 僕はこのフレーズが大好きだ。解釈は2通りある。
 1. なりたい自分になれるまで、そのフリをしろ。みんなが自分の思いどおりに見てくれるまで、その自分を演じろ。
 2. 実際に何かを作れるようになるまで、作っているフリをしろ。

 僕はどっちの解釈も好きだ。自分のしている仕事じゃなく、自分のしたい仕事の身支度をしなくちゃいけない。
そして、自分のしたい仕事を、すぐに始めなきゃいけない。(37-38ページ)

 作家のウィルソン・ミズナーは、「1人の作家をコピーするのは盗作だが、何人もの作家をコピーするのは研究だ」と言っている。かつて、漫画家のゲイリー・パンターがこんなことを言ったのを覚えている。「君がたった1人の影響しか受けていなければ、君は第2の○○と呼ばれるだろう。だが、100人から盗んでしまえば、"君はオリジナルだ!"と言われるのだ」

 コピーする作品を見つけるのはもう少し厄介だ。単にスタイルを盗んじゃいけない。スタイルの奥にある"考え方"を盗もう。君にとって大事なのは、ヒーローのように見えることじゃなくて、ヒーローのように見ることだ。(44ページ)

 "ぐずぐず"をエネルギーに変える
 僕が少ない人生経験で学んだことが1つある。本当にうまくいくのは"副業"のほうだということだ。僕の言う"副業"というのは、今まで気ままにやっていると思っていたこと、単なる遊びでやっていると思っていたことだ。本当に大切なのはそっちだ。魔法が起こるのはそのときなんだ。
 たくさんの仕事を同時進行させて、気ままに切り替えられるようにしておくといい。こっちの仕事に飽きたら、あっちの仕事へ。あっちに飽きたら、こっちへ。"ぐずぐず"をエネルギーに変えよう。(73ページ)

 自分を切り捨てない
 情熱を傾けられることが2つや3つあるのなら、それを1つに絞ることはない。捨てちゃだめだ。楽しみはすべて人生に残しておこう。僕にそう教えてくれたのは、劇作家のスティーヴン・トムリンソンだ。
 トムリンソンは、好きなことがたくさんあるなら、それぞれに時間を費やせばいいと言っている。「それぞれを相互作用させるんだ。すると、何かが起きはじめる」
 楽しみをいくつか切り捨てて、1つに絞ることはできる。でも、しばらくすると、切り落としたはずの手足がしくしくとうずきはじめる。(76-79ページ)

 必要なもの
・好奇心
・親切さ
・体力
・おどける余裕
(111ページ)

 ログブックをつける
 未来の出来事のチャートが必要なのと同じように、過去の出来事のチャートも必要だ。ログブックといっても、日記や日誌じゃなくてもいい。日々の行動を書き込む、ちょっとしたノートでいいんだ。どんな仕事をしたのか。どこで昼食を食べたのか。どんな映画を観たのか。それだけでいい。細かい日記をつけるよりずっとラクだ。それを何年も続けていると、こんな日常の記録だけでも、ずいぶんと役に立つのがわかる。ちょっとしたメモから、そのときの記憶がありありとよみがえってくるからだ。(137ページ)

 捨てるものを決める
 情報過多な現代社会で成功するのは、どんな人だろうか?それは、何を捨てるかを見極め、自分にとって本当に大事なものだけに集中できる人だろう。人は可能性が無限にあると、身動きが取れなくなる。何をしてもいいと言われると、足がすくんでしまうんだ。

 創造力のスランプを乗り越える簡単な方法がある---自分に制約を課すことだ。矛盾して聞こえるかもしれない。でも、創作では、制約は自由でもある。昼休み中に歌を1曲作る。1色だけで絵を描く。開業資金なしで会社を始める。iPhoneと数人の仲間だけで映画を撮る。余った部品だけで機械を作る。サボる言い訳をしちゃダメだ。今ある時間、スペース、材料だけで、何かを作ってみよう。今すぐに。(145ページ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?