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高まるビットコイン需要とCO2排出問題

ビットコインの取引量の増加

新たな調査により、2021 年中に Bitcoin ネットワークの年間取引量(取引数ではなく、取引に使用された金額)がアメリカン・エキスプレス(アメックス)やディスカバーといった有名なカードネットワークの取引量上回ったことが明らかになりました。

NYDIG Research Weekly レポートによると、Bitcoin は 2021 年中に 3 兆ドル相当の決済を処理し、アメリカン・エキスプレス(1 兆 3000 億ドル)やディスカバー(5000 億ドル)を上回ったと述べています(下図参照)。

NYDIG Research Weekly: Bitcoin Surpasses Amex in Annual Transaction Volume

2021 年 11 月、Blockdata のレポートでは、早ければ 2026 年までにビットコインのネットワークが Mastercard のネットワークで送金されるドル額に匹敵する可能性があると推定しています。また、ビットコインネットワークはすでに PayPal よりもドル換算で多くの量を処理していることも判明しました。

マイニングに消費される電力の問題

CoinShares が発表したレポートでは、Bitcoin(BTC)マイニングネットワークが 2021 年に 42 メガトン(1Mt = 100 万トン)の二酸化炭素を排出すると推定しています。この数字は、同年における世界の二酸化炭素の総排出量 49,360Mts の約 0.08% に相当します。CoinShares は、世界規模でのビットコインネットワークの効率性、エネルギー使用量、ハードウェア等に関する様々な試算を用いて、このような数字を導き出しました。そのため、実際のネットワークの二酸化炭素排出量を反映していない可能性があります。しかし、この報告書による全世界の二酸化炭素排出量の試算は、主に業界の数値と一致しています。

また、同報告書では、Bitcoin ネットワークの総電力消費量を 89 テラワット時(TWh)と推定していることに加えて、マイニング活動の約 60% が化石燃料に由来しています。この報告書の主張が正確であれば、Bitcoin の全体的な環境への影響は、世界的に見れば無視できないものであることを示しています。

まとめ

ビットコインに限らず暗号通貨の需要は高まっており、従来の機能を暗号通貨にシフトしたサービスも多くローンチされています。需要が拡大するにつれて無視できないことが、マイニングにかかる電力の問題です。

ビットコインのようにマイナーに高ハッシュレートを必要とする PoW とは異なり、ノードにステーキングされた通貨量に比例してマイニング成功確率が決定する PoS をベースとする暗号通貨も登場しており、今後はこちらにシフトしていくでしょう。

しかし、Bitcoin のようなすでに進行しているサービスの場合、マイニングプロトコルを変更するにはマイナー達の同意が必要です。この電力問題はマイニングプロトコルが変更されない限りずっと残っていくでしょう。

参考文献


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