『双葉杏、初めてのお酒』

二十歳になった双葉杏さんがプロデューサーとお酒を飲む話です。

AI小説作成サービス『AIのべりすと』さんの力を借りて、二次創作SSを書いてみました。
奇数センテンスは私が書き、偶数センテンスは『AIのべりすと』の自動生成(+合わないところは若干の添削)で作りました。
以下の留意事項があります。
・ナイアードさんは、小説を書く能力がないばかりか、小学校時代に作文の授業で1行も書かずに逃げ出し、先生を泣かせた経歴があるくらい、文章力の無さに定評があります。
・ナイアードさんは、双葉杏の副担当プロデューサーなのでキャラの解像度はそれなりですが、完璧ではないので解釈違いなどありましてもご容赦ください。
・ナイアードさんは、下戸なのでアルコール摂取エアプ勢です。飲酒描写の正確さにも目をつぶってください。

1.

「杏もアルコールが飲める年になったんだなぁ」
「お陰様でね」

今日、二十歳になったこのぐうたらアイドルは、ニヒルな笑いを浮かべつつ、飲み屋のメニューをながめていた。

デビューから三年。『ニートアイドル』というヤケクソな方向性で売り出した彼女は、気がつけばあっという間にうちのプロダクションの稼ぎ頭になっていた。
今日は誕生日祝いと日頃の慰労を兼ねて、食事を奢りに来たのである。 1

「さて、何にしようかなぁ…………とりあえず生中」
「もうちょっと雰囲気あるやつにしなよ……」
「いいじゃん別に」

店員さんを呼び止め注文する。 2

「えーっと……ビールとあと適当につまみ系お願いします」
「ご飯は? 杏の誕生日祝いのこと忘れてない?」
「大丈夫。簡単なコース料理は先に頼んである。それより……」

彼女の方を見てニヤッと笑い、聞いた。

「最初に飲むお酒は何にするんだ?」 3
「あー……それかぁ……。実は迷ってるんだよねぇ」
「ほう、杏にしちゃ珍しいじゃないか」
「いやさ、あんまり強くなさそうだし、こういう機会でもないと飲まないだろうしさ。だから、どれを最初にするか悩んでるんだよね」 4

そう言って、彼女は腕組みしてうんうん唸ってみせた。

「やっぱ最初はビールじゃないか? それとも飲みやすいカクテルがいいか? どれにしろ、それで乾杯するんだからな、早く決めてくれ」
「そうだねえ……」

メニューをしばらく舐めるように見ていた杏はついに、注文を決めた。 5

「じゃあさ、最初は日本酒にしようと思うんだけどどう思う?」

……正直予想していなかった選択に驚き、「うーむ……」と考え込んでしまう。
まあ強い酒を頼むわけでもないし、いいかな……と思い始めた時だった。ふとある考えが浮かぶ。そしてその発想のままに彼女に聞いてみる。 6

「温度は? 熱燗って選択肢もあるぞ」
「えー? 今、九月だよ?」
「それが、そういう飲み方もあるらしいんだよ。まあ、店員さんに聞くのが一番いいんだけどな……ということで店員さん、こいつ初めて酒飲むんですけど、どういう飲み方がいいと思います?」 7

すると、呼び止めた若い男性の店員さんが答えてくれた。

「まずはぬるめのお湯割りがオススメですね。でも常温くらいの温度で飲んでいただいても構いませんよ。後、女性の方なら甘口がよろしいかもしれませんね」
「へぇ~。そうならこの甘口って書いてるやつを、常温でお願いします」 8

注文は決まった。
酒が来たら乾杯だ。
あの双葉杏が酔っ払ったら、どんな感じになるんだろう。密かにそういう楽しみがあった。
なんだかんだいって、彼女との会話は楽しい。いい飲み会になるだろうな……と俺は心の中で期待しているのだった。 9

2.

「お待たせしました。こちらが生中です」
「ありがとうございます」

店員さんから飲み物を受け取り、俺達は乾杯した。

「杏二十歳の誕生日おめでとう! 乾杯!」
「はい、乾杯。ありがとねプロデューサー」

杏はガラスに注がれた透明な液体を、しばらく匂いを嗅いだり、小指を突っ込みなめたりして様子をみていたが…… 10
心を決して、一気に飲んだ! 11
ゴクゴクッという音とともに、白い喉元が動く。

「ぷはぁ…………」
「どうだ? 初めてのお酒は」
「んー、よくわかんないや」

そりゃそうだろう。 12
しかし表情を見る限り、苦い顔はしていない。甘口ということもあって、飲みやすかったのだろう。

「そういや、きらりは来れなくて残念だったな」
「撮影の仕事が夜までかかるってんじゃ、しょうがないでしょ」

諸星きらり。杏とのコンビで人気を博した彼女も、三年の間にモデルやら、女優やら、色々な可能性を追求し、仕事の幅も広がっていた。 13

「もうそろそろ引退かぁ」
「何言ってんだ。まだまだこれからだろ」
「杏の体力が続くなら、だけどね」
「杏がしんどい時は、俺が助けてやるさ」
「…………」
「なんだよ、その目は」 14
「さんざっぱら、年中無休で働かせといて、よく言うよねー」
「いや……休みはちゃんとやってるだろ……あれ? ちゃんとやってるよな?」
「どこがさ。こないだも『臨時で入ってくれー、一人来れなくなったー』って……」
「……いや悪かったって。あ、ほら、前菜が来たぞ」

話の流れがまずい方向に向かってたので、料理が運ばれてきたタイミングで話題をそらすことにした。 15

「お、うまそう」
「いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」

この店はコース形式で料理が出てくるのだが、最初に出てきたのは、鯛のカルパッチョとタコとトマトのマリネだった。

「んー、美味しい」 16
「確かに。甘みもあっていい食感だ」

しばらく、鯛を口に運びつつ談笑が続いた。

「そういえば、初めての飲酒でアルコールの影響はどうだ? 気持ち悪くなったりはしてないか?」 17
「全然平気だよ。むしろ頭ぽわぽわして、気分が良くなってきたかも。それにしても、なんか今日は優しいね、プロデューサー」
「え?」
「いつもなら、そんなこと聞かないじゃん。何か企んでる?」 18

鋭い奴め。まあ普通に心配はしてるんだが、それはそれとして緊急で次の企画の話がある。
だが、今は仕事の話をする時間じゃない。

「気をつけろよ。まだ自分の酒の強さとか把握してないんだから。全然酔わないと思ってどんどん飲んでると、急に気持ち悪くなったりするからな」 19
「大丈夫だって。杏は多分そんなに弱くないし、もしそうなったとしても……ね?」
「ね? ってなんだよ」
「介抱してくれるでしょ?」
「…………まあ、そうだな。俺がいる限りは安心だ」 20
「うんうん。頼りにしてるよプロデューサー♪」

アルコールが回ってきて、少しずつハイになってるのか? と思いつつ、杏なら自分を制御できなくなるほどの無茶はしないだろう、という信頼感もあった。
そうこうしているうちに、次の料理がやってくる。しばらく他愛ない会話が続いた。酒もすすみ、お互いにいい感じに酔いが回ってきた。気持ちよい、夜だった。 21

3.

メインディッシュのステーキがやってきた。

「おお……! これ結構おっきいね」
「ああ、いい焼き加減だな。じゃあ切り分けるから、待っててくれ」

ナイフとフォークを使い、肉を切り分けていく。

「はい、杏」
「本当に今日は優しいねプロデューサー。やっぱりなんかあった?」 22

別になにもないぞー。強いて言うなら、杏と酒飲みながら話してるっていうこのシチュエーションが楽しいだけだ。
……そう思ったものの、何かそれを口に出すのも照れくさい気がして、黙ってほほえんだまま杏の顔をじっと見つめていた。 23

「…………」
「…………」

すると杏は、少しだけ恥ずかしそうに目を逸らした。

「…………な、なんだよ。じろじろ見んなよ」
「あ、悪い。つい」
「…………」
「…………」 24

なんだか変な雰囲気になってきた。あわてて別の話題を振ることにする。

「そ、そういや仕事は順調か? 特に困ったこととかないか?」 25
「んー、別に。今度のドラマも、主役ってわけじゃないけど、そこそこ重要な役だし、割と出番多いかも」
「そうなのか」
「でも、プロデューサーが杏のこと見ててくれるから、平気」
「そうか」 26
「だから、いつも通り、後ろでドーンと構えて、見守ってくれればいいんだよ」

……ビックリした。一瞬、杏が見た目よりすごく大きく見えた。
そして心なしか、顔が上気してるようにも見える。
俺もだいぶ酒が回って、気持ちよくなっていた。
今なら、いつも思っているけど、口に出せないようなことが、話せるような気がした。

「……杏はさ、すごいよ」 27

自然に出た言葉だった。そのあとの言葉も流れるように。

「え?」

きょとんとした表情の杏を見つつ俺は続けた。 28

「なんだかんだいって、求められた仕事にキチンと応えてるじゃないか。自分に何が求められているか理解して、自分ができることをできる範囲で、一生懸命やってる。だからみんな、そんな双葉杏が好きなんじゃないかな」 29
「…………」
「もちろん、俺も含めて」
「…………」

杏のほっぺたが赤くなってるように見えたのは、多分酒のせいだ。 30
俺の顔もすごく火照っていたが、それも酒のせいに違いない。
そうだ、酒のせいにして普段言えない気持ちを伝えよう。それが酒の魔力なんだから。 31

「杏がいて、助かったことたくさんあるよ。俺一人だったら、ここまでうまくプロデュースできなかったと思う。それに、杏のそばにいると、安心するんだ」
「……うん」
「杏が頑張ってくれればくれるほど、俺も頑張ろうって思える。そんな杏の顔を思い浮かべると、元気が出てくるんだ」 32

話してるうちに、頭がふわふわしてくる。意識が飛んでしまう前に、伝えなければ。

「一生、お前のプロデュースをさせてくれ。杏が嫌ならいいけど、できたらお前の姿をずっとそばで見ていたいんだ」 33
「…………」
「杏は、俺にとって大切な人だから」
「……それって……」
「これからも、よろしくな」
「…………」
「…………」
「……プロデューサー……うん、いいよ。杏も、プロデューサーのこと好きだし」

「…………」
「…………プロデューサー?」 34
「…………(こくっ)」
「…………?」
「…………(ぐー、すぴー……)」
「いや、このタイミングで寝るんかい!」 35

4.

「おおう!?」

ハッとして、目が覚めた。
目の前には、杏がいた。

「あ、杏さん?」
「なに?」
「なんで膝枕?」
「え? あー、なんか、酔って寝ちゃったみたいだから、ここなら安全かなーって」 36
「う……済まないな、本当は俺が、杏が潰れないか注意して見る立場だったのに……」
「あとはさ、もうすぐ閉店だって」 37
「え、本当か。じゃあ早く出ないとまずいな」
「だね」
「杏は大丈夫か? 歩けるか?」
「うん。まあなんとか」
「よし、じゃあさっさと会計して出るぞ」
「りょーかい」 38

レジで精算を行いつつ、杏に言う。

「今日は誘ったの俺だし、俺の奢りでいいよな?」 39
「えー、悪いよ。杏も半分出すよ」
「いや、杏は誕生日プレゼントってことで」
「あ、そういえばそうだったね」
「だから遠慮すんなよ。俺が無理言って連れてきたんだから」
「わかった。ありがと。ところで……」 40

酒が残っているのか、赤い顔でおずおずと、小声で聞いてきた。

「さっき寝る前に……話したこと、覚えてる?」 41
「えっと……ごめん、実は途中からほとんど憶えてない」

そう言った瞬間、ガッカリしているようなホッとしているような表情を見せた後、

「やっぱりか。そうだと思ったよ」 42

はーっ、とため息をついた。どうやら俺は、結構大事なことを言っていたらしい。
なんかえらく恥ずかしいことを口走った気がするんだが、なんだったっけ……だめだ、まだ頭が上手く働かない。

そういえば。

「初めてのアルコールはどうだった?」 43
「んー、思ったより悪くなかったかな。ちょっとフワフワするけど」
「そうか、それはよかった。でも、酒は飲み過ぎないようにな」
「わかってるよ」
「あと、仕事に支障が出るようなら、控えた方がいいと思う」 44
「……プロデューサーも、飲みすぎて羽目外さないでね。今日みたいにさ」
「いや、悪かったって」
「……まあ、普段聞けない本心が聞けるのは、悪くないけどね」

と、杏は思わせぶりなニヤッとした笑みを浮かべた。 45

「?」
「なんでもなーい」
「そうか?」
「うん。ほら、早く行くよ」
「ああ」

杏は先に店の外に出て、俺を待っていた。
俺は店を出て、空を見上げた。 46
雲一つ無い夜空に、星が瞬いているのがかすかに見えた。

「ああ、そうだ杏」

かしこまって、杏の正面に立つ。

「なに?」
「改めて、二十歳おめでとう。これからもよろしくな」 47

杏は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。

「うん、こちらこそよろしく。プロデューサー」

杏は、俺の差し出した手を、しっかりと握った。

「それじゃ、帰ろうか」
「うん」

俺たちは、並んで歩き始めた。 48

「…………」
「…………」
なにかくすぐったいような、こそばゆいような、そんな空気だった。
でも、このくらいの温度が今の俺たちにはちょうどよいのかもしれない。そんな事を思いながら、夜の街を二人で歩くのだった。(了) 49


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