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ビリー・ザ・キッド、真実の生涯―第7章

グアダループ山地の冒険—メスカレロ・アパッチ族、再び—血塗れの努力—甲高い叫び—断崖絶壁を登る—奇跡的な逃亡

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彼は筋骨たくましい手を信じて、頂に無傷で立った[訳注:ウォルター・スコットの作品の引用]。

キッドがメシラを再訪した時、ジェシー・エヴァンズと仲間達からペコス川沿いのセブン・リバーズで急いで合流するように伝える手紙が届いていた。しかし、彼らは近道を選ばないように警告した。いつもならグアダループ山脈を通る道は通行可能だが、今はアパッチ族でいっぱいであり、もし領域が侵害されたと知ればきっと怒るだろう。彼らは、トゥラローサとリンカンの広場をつなぐ郵便配達が使う経路を使うようにビリーに勧めた。危険な冒険の香を嗅ぎ付けて、そして、憎悪の的であるインディアンと遭遇することを期待してキッドは、最も危ない経路で目的地に向かうことにした。セグーラは無謀な冒険をさせまいと何とかビリーを説得しようとしたが無駄だった。セグーラはビリーと同行せずに別れ、それが最後となった。

キッドは、危険にともに立ち向かってくれる勇敢な相棒が必要だった。そして、トム・オキーフという若い男を見つけた。彼はだいたいキッドと同じ年頃だったが、冒険についてほとんど何も知らなかった。ラス・クルーセスで2人は旅の準備を始めた。

キッドは葦毛の馬を預けて指示を出せばすぐに送ってもらえるように手配した。普通のメキシコの軽馬は[平地なら]駿足で息切れしなかったが、山地では疲労してしまう恐れがあった。だからキッドとオキーフは、2頭の半野生馬を調達してエル・パソに向かい、さらにメキシコのラバを購入して食料と毛布を載せた。2人の17歳の少年は、インディアンの領域を横断する200マイル[約320キロメートル]の旅に出発した。そこは最も老練で勇敢な斥候でさえ避けたいと思うような場所だった。

山地の中での2日目の夜、彼らは深い峡谷の入り口でキャンプした。日が昇ってからキッドは探索に出掛けた。彼は峡谷を登って北西にいくつか高い頂があるのを確認した。そこで正確な方位を確認するために頂の一つを計測しようとその方向に何とか進もうと考えた。彼は、正午までに帰るとトムに言った。彼は1時間ちょっとで戻ってきてインディアンの痕跡を見つけたと伝えた。それはまだ3時間も経っていないものだ。地勢に加えて水が延々と地面に滴り落ちているのを見ると、きっとインディアンはまた水を汲みに来るだろう。

「奴らに後をつけられたくないな。むしろ俺が奴らをしばらく追ってやろう」とビリーは言った。

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