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ビリー・ザ・キッド、真実の生涯―第10章

インディアン管理局での激闘—一騎当千—死闘—ディック・ブルーアーの死—キッドがビリー・マシューズと遭遇—リンカンの通りでブレイディ保安官とジョージ・ハインドマンを殺害

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リンカンに戻ったキッドは、日々、一連の戦争に深く関与しつつあるマクスウィーンの運命に自信を託した。マックスウィンは平和的な傾向の人物であったが、仲間が殺されたことによって復讐の情熱を抱くようになった。依然としてきっとはブルーアーの警護団の一員であったが、復讐への欲求はまだ満たされておらず、まだブルーアーはタンスタールの殺害犯を追っていた。

この悲劇の関係者の一人がロバーツという名前の元兵士である。メスカレロ・アパッチ・インディアン管理局近隣、リンカンの南40マイル(約64キロメートル)にあるサウス・フォークでロバーツが発見されたとキッドは聞いた。ロバーツはすばらしい射撃の腕前を持つ経験豊富な騎手であり、勇気と技能を兼ね備えていた。ブルーアーと一団はすぐに彼を逮捕しに向かった。彼らの手に落ちたモートンとベイカーの運命をありありと思い出せば、ロバーツも生きたまま連行されることはないだろうとキッドは知っていた。それはキッドを遠征に駆り立てる強い動機になった。彼が欲していたのは命であって捕虜ではなかった。

東側から一段が建物に近づいた時、ロバーツは西側から馬を駆け足で走らせてきた。ロバーツを見つけたキッドは、 ウィンチェスター銃を腿に置き、拍車を当てて彼にまっしぐらに向かって行った。その時、ブルーアーは降伏を要求した。ロバーツはキッドの動きに応じただけだった。キッドの肩に置かれたウィンチェスター銃が稲妻のように光って、銃声がキッドの耳を覆った。キッドは敵よりもすばやく、その狙いは正確であり、銃弾はロバーツの体を貫通して致命傷を負わせた。致命傷を負いながらもこの勇敢な男は降伏しようとせず、狩人たちに激しい反撃を浴びせた。銃弾の雨の中、彼は馬から降りて屋外便所に避難した。そして、そこから彼の短い命が続く限り、ライフル銃で死を操った。ロバーツは、その中で見つけたマットレスとシーツを使って脆弱な要塞の入り口にバリケードを築いた。そして、この防御物の中から彼は最後の戦いを行った。ロバーツの銃弾は敵が隠れている場所を掠めた。頭、足、もしくは腕が突き出ていればなんでもロバーツのライフル銃の標的になった。チャーリー・ボウダーが重傷を負ったが、体に巻き付けた弾薬ベルトに命を救われた。ここでディック・ブルーアーは死んだ。ブレイザー医師の製材所は、ロバーツが隠れている通りの向かい側にあった。製材所の正面では製材所で働く者たちが伏せていた。ブルーアーは、ロバーツに見えないように彼らに紛れて忍び寄って撃とうとした。ブルーアーが様子を窺おうと頭を起こすと、ロバーツの機敏な目はすぐにそれを捉えた。 ブルーアーの片方の目が剥き出しであった。それだけで十分であった。ウィンチェスター銃の銃弾が目を貫き、ブルーアーは製材所で働く者たちの中で死んで転がった。

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