ビリー_ザ_キッド_真実の生涯

ビリー・ザ・キッド、真実の生涯―第22章

キッドの最も大胆不敵な冒険—めちゃくちゃになった遺体の上で自由を獲得—30秒で血塗れの2度の殺人—36発の散弾を執行官補佐に撃ち込む—町の住人すべてを遠ざける—恐怖に麻痺した住民—キッドはリンカンの牢獄を誰にも邪魔されずに去る—再び、逃亡者に

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1881年4月28日夜、オリンジャーは他のすべての囚人を連れて通りを横切って食事に行った。キッドを見張るために護衛の部屋にベルが残された。我々はキッドから聞いた話と建物周辺で働いていたドイツ人のガイス氏から得た断片的な情報でオリンジャーが出て行った直後の出来事に関する事実を見定めたい。状況、徴候、ガイス氏から得られた情報、そして、キッドの告白からすると、以下のようにだいたいまとめられるようだ。

ベルは階段を下りて裏の馬囲いまで連れて行くようにキッドに頼まれた。彼らが戻って来た時、ベルはキッドに少し前を進ませた。キッドが踊り場に足をかけた時、ベルから姿が見えなくなった。キッドは身軽に音もなく跳ねて階段の上に到達して右を向き、武器庫として使われていた部屋の扉に肩を押し当てて(鍵がかけられていたが強く押せば開くと知られていた)、中に入って六連発銃を掴んで階段の上に戻った。その時、ベルはちょうど踊り場、12段下に差し掛かったところで発砲した。ベルは振り向くと馬囲いへ走り出て小さな門に向かった。彼はそこにたどり着く前に倒れて死んだ。キッドはホールの南端の窓に向かって走って、ベルが倒れたのを確認すると、手枷を抜いて遺体に投げつけて「ざまあみろ、こいつもくれてやるぜ」と叫んだ。それからキッドは私[ギャレット]の事務所に駆け込むと、二連銃のショットガンを手にとった。この銃は非常にすばらしい後装銃であり、オリンジャーのものだった。今朝、彼はキッドの前でその銃に各弾倉に十八裂鹿玉[狩猟用の大粒の散弾]を込めてながら「一発でも散弾を喰らえばそいつはえらい目に遭うだろうな」と言っていた。それからキッドは護衛の部屋に入って庭に開けた東側の窓の前に立った。

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