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アーサー・コナン・ドイル北極日記6月10日

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6月10日木曜日

我々はクジラがどこにいるか確かめるために一生懸命努力し続けている。汽走で少し進んでエクリプス号とともに氷山に繋留した。甲板から1羽のミツユビカモメ[訳注1]と1羽のアビを撃った。最初の獲物を拾い上げながらさらに2羽のアビを撃った。ウミツバメを狙って鉛を投げつけて紐を翼に絡ませて捕獲して楽しんだ。まるで南アメリカの「ボーラ[訳注2]」のようだ。ところで先日、ローチを撃った時、ボートの乗組員の叫びと私の怒号にもかかわらず、大きなモーリー[訳注3]が落ちるローチを引っさらって行こうとしたので、私はボートの足掛けを投げて追い払おうとした。

ジョン・トマス
多くの知人に惜しまれながら6月8日に亡くなる

彼は正しい思想と高邁な精神を持つクリオネであり、その優れた精神的活動と身体的完全さで同胞の巻貝の中で最も目立っていた。彼は、原生動物であるという理由で小さな仲間たちを決して見下したりしなかったが、自分が棘皮動物、もしくは体節動物という高等動物に属すると誇らしく主張していた。彼は彼らが水管系[訳注4]を持っていないからといって決して嘲笑ったり、自分の二重の神経節を誇ったりしなかった。彼は穏健で謙譲な細胞質の塊であり、もっと高等だと主張する動物よりも分厚い豚肉を1日に平らげることができた。幼い時に彼は両親をクジラに呑まれて失ったので、彼が持つ教養は彼自身の勤勉さと観察力によるものである。すべての生きとし生ける物が行く道を進む彼の分子に平安があらんことを。

訳注

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