※ミゲル・アントニオ・オテロ『ビリー・ザ・キッドの真実の姿』に関する詳細は「はじめに―コンテンツ紹介」でまとめています。

相反する見解や多様な意見がビリー・ザ・キッドや彼がリンカン郡戦争で果たした役割に関する最近の本で示されているので私は、その当時、生きていた人々から数年間かけて集めた目撃談をいくつか出版することにした。ウォルター・ノーブル・バーンズの『ザ・サガ・オブ・ ビリー・ザ・キッド』の出版は、キッドとその行動を常に覆い隠しているロマンスに新しい刺激を与え、1881年7月14日の夜にパット・ギャレットによってフォート・サムナーで実際にはビリーは殺されていないという伝説を復活させた。どのようにして殺害の偽装がおこなわれたのか、どのようにしてキッドがオールド・メキシコに逃れたのか、そして、キッドが離れた隠れ場所でどのようにまだ生きているのかなど伝説は様々な人々の手によって脚色されている。

私がすべての物事を一気に解決する証拠を見つけようと考えた時、私の良き友人であるカリフォルニア州サンタ・バーバラのマーシャル・ボンドと 彼の息子のマーシャル・ボンド・ジュニアが自動車でサンタ・フェまでやって来た。彼は私がビリー・ザ・キッドについて関心を抱いていると知ると、 昔、キッドが立ち寄っていた先に自動車で一緒に回ろうと彼はオテロ夫人と私に提案した。我々はすぐに同意した。リンカンとフォート・サムナーの近隣に住んでいて、キッドを個人的に知っていて、キッドが登場する出来事について知っている多くの人々と話せると考えたからである。ここで私はこの旅行に関する説明をおこない、その時、私がキッドリンカーン郡戦争について集めた情報について書き留めた覚書を逐語的に示す。

7月5日月曜日の朝、我々一行はサンタ・フェを出発した。道路は非常に良好な状態であり、176マイル[約280km]という距離にもかかわらず約6時間という非常に早い時間で我々はキャリゾゾの街(我々はそこをビリー・ザ・キッドの土地の玄関口にした)に到着した。その夜、我々はキャリゾゾで過ごし、ジョージ・L・バーバーと話す機会を得た。バーバーは高齢であったが、法曹としてまだ活躍していた。彼はリンカン郡戦争の間、リンカンに住んでいたが、 その時はまだ法曹に入っていなかった。 その当時、彼は主に調査に従事していたと私は思った。リンカン郡戦争の間、バーバーは中立的な態度を守るようにしていたので、どちらの派閥にも属さなかった。騒動が一段落した後、彼はマクスウィーンの未亡人であるスーザン・H・マクスウィーンと結婚した。ビリー・ザ・キッドがどのような若者であったのかと私がバーバーに質問した時、彼は「キッドは、彼を追跡して殺そうと決めた者たちの半分も悪くない奴だった。私はキッドが牢獄から逃亡した日にリンカンにいた。彼が逃亡しようとベルとオリンジャーの2人の護衛を殺したという事実を知っても地域社会は完全に彼の味方だったと私はわかった。マーフィー＝ドーラン＝ライリーに追随するわずかな者たちを除いては。地域社会はキッドに同情していて、大多数は彼が逃れたと知って非常に喜んでいた。彼が公正な裁判を受けられたと信じている者はほとんどいなかった。もうすぐきつく締められそうであった絞首索から彼が機転と度胸で脱出することに成功したと知って喜んだ」と答えた。