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パット・ギャレットの生涯―第一二章

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「先制」の倫理

リボルバーが法である地方では、各人が事件の裁判官になる必要があり、たいてい「先制」が喧嘩における転換点となった。しかしながら、もし先手を打った者が確実に狙いをつけられなかったり、冷静さを保てなかったりすれば、先制で決着がつかないこともあった。すべての射撃手はそのことをわかっていて、何か揉め事が起きると、まず「鉄器[銃]」を手に取って有利な位置を占めようとした。威勢の良い南軍のフォレスト将軍は「先に到着」して敵を攻撃できるように計画した。それは軍事における先制戦略である。当然ながらそれは西部におけて初期の保安官の手法であった。というのは悪党たちが戦わずに降伏することはめったになかったからだ。ギャレットが登場する前に数人の保安官が殺害された。「ビリー・ザ・キッド」の場合と同じく先手を打たれながらも戦った無法者もいた。そして、先制を覆す機会をうかがったり、保安官が撃たないと思ったりして、ゆっくりと手を挙げる者もいた。それは余所者の「赤目の男」の場合もそうだった。

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