ジャパンFC理事長泉谷昇

国内外の映画・映像作品の撮影支援を行うフィルム・コミッションの全国組織『ジャパン・フィ…

ジャパンFC理事長泉谷昇

国内外の映画・映像作品の撮影支援を行うフィルム・コミッションの全国組織『ジャパン・フィルムコミッション』理事長。 今日もどこかで撮影快調! フィルム・コミッションや旅をメインに記します。

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  • ジャパン・フィルムコミッション(撮影支援機関の全国組織)

    全国各地で映画・映像作品の撮影支援を行っているフィルム・コミッション(FC)の全国組織が発信するFCだから書けるマガジンです。

最近の記事

神奈川大学での授業_その1

5月9日に神奈川大学の経営などを学ぶ120人超の学生へ、「フィルム・コミッションの可能性」について講義をしました。学生たちは7月まで「フィルム・コミッションの成果などを活用した地域活性策」を検討し、私たちへプレゼンテーションしてくれます。その第一回目でした。 フィルム・コミッションと言えば「国内外の映画・映像作品を地域へ誘致して撮影を支援する」ことが目的ですが、撮影支援に直接関係ない大学での授業をどうして引き受けたのか?その理由はFCを取り巻く現状にあります。 これまでF

    • フィルムコミッション通信79【理事会開催】

      しばらく、お休みしていたnoteですが再開します!引き続き、日本各地の撮影現場で奮闘しているフィルム・コミッションについて紹介します。 2023年4月19日にジャパンFCは理事会を行いました。 現在、JFCには130超の会員がいますが、理事は17名(北は北海道から南は沖縄までの各ブロック理事の他、日本映画監督協会、日本映画制作者連盟、日本映画製作者協会など)で構成しています。理事会は年に4回開催しています。 たった年4回の開催?と思われる方がいるもしれませんが、JFCでは

      • フィルム・コミッション直送便(78)【脱出する撮影】

        “一時的”に撮影相談が東京近郊を除く各地で増えているようです。私が暮らす愛媛県でも1日に数本の問い合わせが連日ありました。地方では珍しい現象が起きている背景には「オリンピック」があります。東京近郊では警備などで撮影ができず、地方へ撮影が“脱出”している感じでしょうか。
なので、普段では相談が“絶対にない(≒東京近郊で確実に撮影できる)”なんの変哲もない撮影(例:再現シーンの会議室、歩道を歩くシーン、車の走行シーンなど)まで多種多様な相談が来ています。 単純にオリンピックの影

        • フィルム・コミッション直送便(77)【支援も一つの物語】

          先日、一年半ほど撮影準備をしていた作品の愛媛ロケを逃しました。全編愛媛県ロケを敢行しようと昨年からロケハンを重ね、イメージづくりに県内を奔走し、シーンについて意見交換までし、作品公開後のプロモーション作戦まで描きました。それが昨夏にコロナウイルスの影響で撮影は一時中止、誰のせいでもなく悶々とした状況に意気消沈もしましたが、「また来年!」と気持ちが切り替わると、関係者一同“異様な盛り上がり”があったのを思い出します。 それから秋が過ぎ、冬が過ぎ、春になると関係者との連絡も再び

        神奈川大学での授業_その1

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        • ジャパン・フィルムコミッション(撮影支援機関の全国組織)
          81本

        記事

          フィルム・コミッション直送便(76)【JFCシンポジウム】

          7月15日、JFCは総会イベントを開催し、前号でご紹介した「JFCアウォード」の発表を行いました。他にも「東日本大震災から10年、復興と映像制作について」と題したシンポジウムも行い、福島県ご出身の映画監督、廣木隆一氏。プロデューサーの湊谷恭史氏(株式会社ザフール)、ザフール制作部の小沼秀剛氏にご登壇いただきました。 福島県郡山市出身の廣木監督は「幼少期から見慣れた景色、海岸などの“当たり前”に存在していたコトが無くなった・・・という事実は受け入れがたく、本当に衝撃的でした。

          フィルム・コミッション直送便(76)【JFCシンポジウム】

          フィルム・コミッション直送便(75)【第7回JFCアウォード開催】

          基本的にフィルム・コミッションは撮影誘致支援という業態なため、支援作品より表に出たり、表彰されることはありません。しかし、撮影誘致や支援は多くの協力者との賜物であり、支援ノウハウや実績は他のFCなどにも参考になること、また公開に合わせた創意工夫のPRや地域での盛り上げなどは、交流人口や関係人口が求められる中でFCだからできるという価値と定め、FCの認知度や存在意義などを発信しよう!と「JFCアウォード」が創設されました。 第7回はノミネートされた19団体から最優秀賞1団体、

          フィルム・コミッション直送便(75)【第7回JFCアウォード開催】

          フィルム・コミッション直送便(74)【令和3年度JFC認定研修】

          新任や経験の浅いFC担当者、制作関係者を対象に毎年行っている「JFC認定研修」。一昨年までは対面で実施、撮影所見学なども行いましたが、昨年はオンランで実施、今年はコロナウイルスの感染拡大防止策を万全にしての対面実施。とはいえ、昨年まで毎回100名超の人気研修でしたが、4度目の緊急事態宣言が出るとの報道もあり、60名超での実施。参加してくれたFC担当者や制作関係者の熱意に感謝するとともに、テキスト(165ページのボリューム!)には載っていない、対面だから話せることで(参加した甲

          フィルム・コミッション直送便(74)【令和3年度JFC認定研修】

          フィルム・コミッション直送便(73)【令和3年度通常総会開催】

          令和3年6月28日にNPO法人ジャパン・フィルムコミッションは、令和3年度の通常総会を行いました。コロナウイルスの影響を受けながらも、令和2年度は“踏ん張った”が個人的な感想です。これは会員や関係者、そして事務局の尽力による賜物で、ネットワーク組織という“繋がりによる強さ”を実感することができました。 昨年度を振り返ると令和3年3月31日現在、JFCの会員総数はFCや関係団体、企業や個人を合わせて147です。海外機関との連携も現地へ行けなくても、アジア・フィルムコミッション

          フィルム・コミッション直送便(73)【令和3年度通常総会開催】

          フィルム・コミッション直送便(72)【撮影界隈事件簿】

          最近、考えさせられる映画・映像系の報道が多いです。職業柄な私だけが思っていることでしょうか? 6月21日、東京地裁は有罪が確定した俳優のピエール瀧さんが出演した映画「宮本から君へ」への助成金(日本芸術文化振興から1000万円)の取り消しは「違法」との判断とする判決を言い渡しました。助成金の交付した日本芸術文化振興会はピエール瀧さんの刑事処分を理由に「公益性の観点から適当ではない」として助成金の交付を取り消しましたが、東京地裁は「原告は出演者の犯罪行為とは無関係」「出演させた

          フィルム・コミッション直送便(72)【撮影界隈事件簿】

          フィルム・コミッション直送便(71)【新しい視点】

          ワクチン接種も始まり、コロナウイルスへの対策も徐々に浸透し始め、街へ人が戻っている感じがします(ですが、油断は禁物です。くれぐれもお互いに気をつけましょう)。 旅で出たいと思いつつも、いきなり遠い外国というのも気が引けるので、もっぱらウェブを見ながら“旅気分”を味わっています。そんな中で【Osaka Metro NiNE】というサイトを大阪FCが紹介していたので、見てみると2020年12月に公開されたアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」の聖地巡礼の様子が掲載されていたので、見入っ

          フィルム・コミッション直送便(71)【新しい視点】

          フィルム・コミッション直送便(70)【あってはならないこと】

          コロナウイルスの影響は地域経済だけでなく、人の心にまで悪影響を及ぼすのか?という話です。「やはり県外から来ると地域から疎ましく思われるようです。」そんな話を聞いて思うのは「メディアリテラシー」が左右しているということです。リテラシーとは調べると「読解力、記述力」と訳されますが、意味は「目的に応じて適切に収集、取捨選択、発信する能力」です。それがメディアリテラシーになると「メディアから得る情報を鵜呑みにせず、見極める能力。根拠を確かめたりする力」となるそうです。一言で言えば「情

          フィルム・コミッション直送便(70)【あってはならないこと】

          フィルム・コミッション直送便(69)【日本映画批評家大賞プレゼンター】

          5月31日に【第30回日本映画批評家大賞授章式】が新宿文化センターで行われました。 日本映画批評家大賞は、「日本でも各種の賞がありますが、純粋に映画評論家だけが集まって催す賞はありませんでした。この日本映画批評家大賞は、映画界を励ます目的のもと、 現役の映画批評家が集まって実行するもので、1991年 水野晴郎 が発起人となり、淀川長治、小森和子等、当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した。 現代文化の一翼を担う映画を更に充実、そして向上させたい。そ

          フィルム・コミッション直送便(69)【日本映画批評家大賞プレゼンター】

          フィルム・コミッション直送便(68)【話題溢れた一週間】

          きっと2021年で今週ほど映画の話題に溢れた一週間はなかったのではないでしょうか。本来なら掲載予定の記事がありましたが、(んっ!?こんな一週間は、この先ないかも!)と思い急きょ、原稿を差し替えました。星野源さんと新垣結衣さんの結婚は先週でしたね(笑) 【鬼滅の刃】が5月23日付で興行収入400億1694万2050円、動員数2896万6806人と、日本映画史上初となる偉業を成し遂げました。昨年10月から公開が始まり7ヶ月間をかけての達成、コロナ禍で劇場が閉館を余儀なくされる中

          フィルム・コミッション直送便(68)【話題溢れた一週間】

          フィルム・コミッション直送便(67)【FCは変わり者かも・・・】

          前号からの続きです。 JFCが責任をもってご紹介できるFCの具体的な支援の流れについて映画を参考に紹介します。*あくまでも一例です。 撮影支援の相談依頼は、メールや電話で前触れなくやってきます。相談をしてくるのはプロデューサーや製作担当者が多いです。そこから連絡を取り合い、シナハンなのか?ロケハンなのかなどを聞き出して具体的にどんな支援を求めているのか?把握します。 そして状況の確認に企画書の提出を求めます。企画書にはロケ地のイメージやスケジュールなどが書いてあるので、脚本

          フィルム・コミッション直送便(67)【FCは変わり者かも・・・】

          フィルム・コミッション直送便(66)【中編:FCといっても・・・】

          前号で全国各地のFCは県庁や市役所、町役場、観光協会、商工会議所、コンベンション協会、NPOなどが設立、設置しているとお伝えしました。色々な組織を母体にしているので、同じFCという名でも目的や意義、期待する成果は異なります。 最も多いのは“観光系”でしょう。県や市、町の観光課、もしくは観光協会などです。観光系がFCを設置する狙い、期待する成果の一つは「観光誘客」と思います。作品を観た人が物語の追体験を求めてロケ地を訪れる。聖地巡礼という交流人口、関係人口の創出などを期待して

          フィルム・コミッション直送便(66)【中編:FCといっても・・・】

          フィルム・コミッション直送便(65)【前編:FCとは何か?】

          今年のゴールデンウィークも昨年と同様に“巣篭もり”の方が多いと思います。私も“巣篭もり”です。予定も特にないので普段通りに起きて仕事をしたり、ネットで映画を見たり、オンラインセミナーを聞いたりしています。先日は映画映像関係者が集まるclubhouseがあったので参加してみました。
 自己紹介の時です。「フィルム・コミッション」と名乗った時に発言者側にいた6-7名のうち、反応があったのは映画監督1名のみ。その後沈黙があり「フィルム・コミッションって何ですか?」と質問が出ました。

          フィルム・コミッション直送便(65)【前編:FCとは何か?】