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『一緒に働きたい人』4人目: ラストマンシップが染みついている人

ラストマンシップというのは、聞きなれない言葉である。

これから一般用語になっていく発展途上の言葉だと思うが、これが意味することをビジネスにおいて要求されるケースは多い。

「お前は、崖の端に立っている。お前の後ろには誰もいない。お前の前からはお客さまの要望が槍のように降ってくる。それをお前が受けなかったら、全ての要望は崖から落ちていく。そのうちに、私たち全員も崖から落ちる。」

結構怖いことを言っている。要は、お前が全部何とかしろということである。

私は外資系企業所属時、あるグローバル企業のお客さまを担当している時に、この洗礼を受けた。

とにかく色々な話が日々発生する。他の人にふれるものはどんどんふるが、それでもさばききれないご要望がやまづみになる。

それを聞かなかったことにできればいいが、その場合そのご要望は崖から落ちていく。

いつも崖の端にたっている自分の姿が思い出され、崖から落としちゃいけない、絶対に落としちゃいけないと、自分に言い聞かせて対応していた。

でもある日、お客さまに言われた。

「綾小路さん、いつもありがとうございます。私はほんとうに信頼しています。何をいっても絶対に何とかしてくれる。これからもよろしくお願いします」

こういうのずるいっすよね。こんなこと言われたら頑張らざるを得なくなってしまうじゃないか。でも結構つらいよ……

でもこういうラストマンシップを持っている経営者は多いと思う。

ずばり『ザ・ラストマン』(角川新書)で有名な日立の元社長の川村隆さんは言うに及ばず、他にもドン・キホーテ(PPIH)社長の吉田直樹さん。

彼らは自分はラストマンだと、明言している。

さすがにあれだけの企業を率いているだけあって、正直普通の人には理解できない、オリンピック級のラストマンシップだと思う。

ただ、ラストマンシップを自分がやるのはつらいとも思う。相当な覚悟がないとできないと思う。

一方、ラストマンシップを持った人がもし身近にいたら、これほど安心できることはない。(他力本願)

ラストマンシップを持った人と一緒に仕事したいな。


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