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エッセイー塩味(えんみ)ってなに味?

    最近気になることがある。料理番組や、芸能人が出演するグルメ番組などで使われる日本語についてだ。
    「この焼き魚、塩味(えんみ)がちょうどいい」。「チーズケーキの塩味(えんみ)が申し分ない」。など、「えんみ」のオンパレードがその筆頭だ。
    確かに、言葉としては間違っていないが、どうもひっかかる。塩味(しおあじ)や塩気(しおけ)など、従来の言葉で十分ではないか。特にお笑い芸人が、流行り言葉のように「塩味(えんみ)」をまき散らしている。
    その言葉の響き、語感がどうにもなじめず、違和感を覚えてしまうのは、わたしだけではないはず。
    さらに、頻繁に使われるのが、「肉肉(にくにく)しい」なる言葉。肉がたっぷり使われている料理や、肉汁あふれるメニューなど、肉料理の食感を伝えるワードとして、テレビなどで引っ張りだこだ。
    芸能人がこぞって用いるが、肉肉しいーなる形容詞は、そもそも日本語として存在しない。こちらも一種の流行語らしいが、その表現はあまり的を射ているとは言い難く、耳障りでよろしくない。
    一方、こちらはもっと前から使われている、不自然な表現。「このお魚を、三枚に下ろしてあげて」。「お肉に塩コショウを振ってあげて」。など、料理人が話す、不必要な敬語の数々。一体、誰に敬語を使っているのか?肉や魚に敬語など必要ないのは明白だ。
    ~してあげて、と表現することで、場の空気を和らげる意図も見えるが、わたしが知る限り、ほとんどの料理人が使っている、間違った日本語だ。番組プロデューサーには、料理人から即刻発言を控えるよう、注意してもらいたいものだが、こんな不自然な表現が蔓延している現状を鑑みると、制作サイドが意図的に使用しているとも受け取れる。
    「塩味(えんみ)」や「肉肉しい」とともに、違和感を覚える日本語の典型として、挙げさせてもらった。
    

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