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【暗号ではありません!】ROEって何でしょう?

 株式投資には企業の財務状況分析が大切ですが、PBRにBPSなどアイドルグループ名のような横文字がいくつもあります。かと言って日本語にしても、それはそれで初見では意味がわからないものばかりですね…

 一見似ていますが、どれも意味がわかると心強い味方になるのでぜひ活用しましょう!

ROEとは?

ROEは、株主から預かった資本の何%の利益を一年で得られたかを表しています。

 これまでのように株価が割安か否かの判断材料にはなりませんが、事業の効率を知ることができます。

 ROEは当期利益を自己資本で割ることで求められます。これまでの指標とは異なり株価は関係ありません。

 これまた算数っぽい式に変えてみますね。

 ROE=当期純利益÷自己資本

 ROEの目安は10%以上とされ、それ以上あれば良いとされています。さらに20%以上あれば投資する価値のある優良企業といえます。

ROEから見える日本企業の実情

 ROEが高ければ資本の割に利益が高い、つまり運用利回りがいいということで投資先として魅力が高いということになります。すると投資家の需要が上がり株価も上昇します。

さて、ROEの目安は10%とお伝えしましたが、日本企業はどうなのでしょう?

 結論をお伝えしますと、先進国と呼ばれるいくつかの国(米国や英や仏や独)は11%以上であり米国に関しては18%前後ですが、日本の平均は9%前後のことが多く、日本の平均ROEの方が低いのです。

 なぜ日本企業はROEが低いのでしょう?

 日本企業には高い人件費や高い地価、エネルギーコストの高さなど複数の要因が重なり利益が出にくい体質になっているのです。

 それでも利益を出すためには生産性を上げるしかありません。

 そのため近年では日本企業もよりコストの安い国外に生産拠点を持つように変化していますよね!(感染症や地政学リスクなどでその流れも少し鈍感してきていますが)

 海外に拠点を持てるほどの世界規模の大手企業ならばそれも可能ですが、日本企業のほとんどは中小企業ですから、生産性を上げるためには現場が頑張るしかありません。
 最近は「ブラック企業」という言葉をよく聞くと思いますが、生産性を上げるために現場の負担が増えてしまうわけですね…

 また、日本企業は国内で企業数が多く、競争相手が多いことも理由としてあげられます。実際、米国のニューヨーク証券取引所の規模は時価総額約20兆ドルに対して東京証券取引所は約5兆ドルと4分の1にも関わらず、上場企業の数は米国が約2,300社なのに対して日本は約3,700社と多いのです。
 限られた市場の中で沢山のライバルと競えば一社ごとの利益は小さくなってしまうのは仕方がないことです。

 日本企業は厳しい環境下でありながら、頑張っているのです!

ROEが低いのは性格のせい?

 ここまでは、ROEを高めるには「利益を上げるべき」ということで利益に焦点を絞ってお伝えしてきました。

 しかし、ROEを高めるには別の方法もあります。

 それは、割られる数を大きくするのではなく、割る数である「自己資本」を小さくしてしまうのです。

 例えば、重工業や生産業は工場などの大きな資産を持たなければいけませんから、資本は大きくなりがちです。逆にインターネット関連などIT企業であれば資本は小さくて済みますから、ROEが高くなりがちなのです。

 また、他から借金をしていれば、持っているお金の内訳で自己資本比率は下がります。

 また、企業がたくさん利益を稼いで、その利益を資本に入れてしまうとROEの式の割る数が大きくなり数字が小さくなります。

 もちろん、出た利益を配当に回したり使ってしまえば、資本は下がりますからROEは高いままとなります。

 しかし、日本企業は何かあった時のためにお金を貯めがちで、利益の多くを内部留保へ回してしまうためROEが低くなりがちなのです。

 意図的にROEを上げても企業価値が上がるわけではないので、それはそれでいいのですが…

 ROEが低くなってしまうのは、日本企業の性格が出ているとも言えますね。

 いかがでしょうか?日本企業はROEが低くなりがちですが、一概に投資先として魅力的ではないということではないのです!

 指標も中身の数字を分解してみるとなかなか面白いですね!

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