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【背景も知っておこう⁈】金融緩和と円安の仕組み!

 前回のブログでは日本銀行(以降日銀)の役割について書きました。

 ニュースでも報じられているように日銀は金融緩和を行っており、まだその方針を変更する見込みがないようです。連日報じられている円安もこの金融緩和の影響によるものです。

 金融緩和とはいったい何なのでしょう?

金融緩和とは?

 金融緩和とは、市場に出回るお金の供給量を増やして経済を活発化させ、景気回復を図る金融政策のことです。

 景気が悪いときには、政策金利の引き下げや資産の買い上げなどで資金の供給量を増やす金融緩和を行います。そうすると企業や個人はお金を借りやすくなりますから、経済活動が活発になり、景気の上昇が期待できるのです。

 一方で景気が良すぎると過度なインフレが生じることがあります。インフレとは、モノやサービスの値段が継続的に上がることで、相対的にお金の価値が下がることです。インフレが過度になった場合には、緩和とは逆に政策金利の引き上げ・資金の供給量の縮小等、お金を借りにくくする金融引き締めを行うことで、経済活動を抑制するのです。

金融緩和で経済がどうなるの?

 金融緩和の方法には、大きく分けて政策金利の引き下げ国債等の資産買い上げの2つがあります。政策金利とは、中央銀行が一般の金融機関にお金を貸し出す際の金利です。

 政策金利が下がれば金融機関の貸出金利も下がり、企業や個人がお金を借りやすくなります。
 「今なら金利低いから大金を投じて買ってしまおう!」となりやすいですよね?

 企業は大規模な設備購入のための借入れ、個人は家を買うための住宅ローン等が組みやすくなるため、事業投資や個人消費等の経済活動が活発になりますね。その結果、物価上昇や景気回復が期待できるのです。

 しかし、金利の引き下げは無限ではありません。どんどん下げていってこれ以上下げられないところまで来てしまった場合に有効な施策が、金融機関の保有する国債などを買い上げる「量的緩和」です。

 中央銀行が金融機関から国債等を買い入れると、金融機関の保有するお金が増えます。金融機関は国債でも資金を運用していますが、国債を買い上げられると、お金を貸し出さなければ利益を得られません。

 銀行の立場からすればお金をたくさん持っているだけでは何も利益になりません。そこで、企業や個人にお金を借りてもらうために、金融機関は貸出金利を下げるようになります。そのため、政策金利引き下げと同様の経済効果が期待できるのです。

なぜ円安に?

 冒頭で、金融緩和により円安になっていることを書きました。なぜ金融緩和によって円安になってしまったのでしょう?それは日本とアメリカの政策の違いです。

 日本はデフレ対策のために金融緩和を実施しています。デフレとは、インフレとは反対にモノやサービスの値段が継続的に下がることで、相対的にお金の価値が上がることをいいます。デフレが続くと、個人は「もっと値段が下がってから購入しよう」と消費を先送りにする心理が働くため、モノが売れなくなり、長期的に経済状態の悪化を招く恐れがあります。
 また、個人の消費が停滞すると、企業の生産活動も停滞してしまう悪循環(デフレスパイラル)に陥るでしょう。
 現在も需要とそれにともなって上がるべき商品やサービス等の値段が期待する水準になっていないため、日本はマイナス金利をはじめとした金融緩和でデフレ脱却を目指しています。

 ではアメリカはどうなのでしょう?アメリカでも、リーマン・ショック以降利下げと量的緩和が実施され、2008年12月からはアメリカ史上初のゼロ金利政策が取られました。

 しかし、景気回復の兆しが見えるようになり、2014年10月で量的緩和を終了、2015年12月にはゼロ金利を解除し利上げに踏み切っています。

 コロナ禍の2020年3月からは、再びゼロ金利政策と量的緩和を実施しましたが、2021年11月の会合で資産購入縮小(テーパリング)を決定し、2022年3月に資産購入を終了、利上げに転向しました。

 これによって、金利の低い円を売って金利の高いドル等の外貨が買われるようになるため、円の価値が下がってドルなどの外貨の価値が上がる円安が今現在も進行している…ということなのです。

日銀の政策発表は要注目!

 ということで、金融緩和によって円安になっている背景について説明しました。

 日銀はまだ金融緩和の方針転換するつもりはなさそうです。が、転換するような様子が見られればすぐに世界中の投資家が反応して市場にも動きが出てくるでしょう。

 先のことは誰にもわかりませんが、いつかは金融緩和も終わりにしなければならない時がきます。

 市場が動くタイミングがこれから来るのは間違いありませんから、今後も日銀の発表は要注目です!

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