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お客様インタビュー・ 辻明宏さん(辻建材・ロハスウォール代表取締役) 1

昨日ご紹介したYouTubeですが
漆喰のメーカー ロハスウォール社長がインタビューを受ける前編
(15分ほど)
https://www.youtube.com/watch?v=5_nywlo2lI8

漆喰のメーカー ロハスウォール社長がインタビューを受ける・後編
(12分ほど)
https://www.youtube.com/watch?v=0Kb_P1PpXOQ

書き起こして記事にもしました。
動画は見やすく、理解しやすくするためにかなり編集して下さっていますが、こちらはその時のお話の内容をほぼ全部拾っており、動画にはないコンテンツを含んでいます。

記事は「女将との会話」ではなく「お客様同士のお話」という設定なので、少々テイストが異なりますが、その違いも含めて楽しんで頂けましたら幸いです(^▽^)/。

☆☆☆☆☆

塗り壁を日本の文化に!
ありまさの壁を塗るときも大変お世話になった、
自然素材100パーセントの漆喰と珪藻土を製造・販売するロハスウォールの辻明宏さんがご来店。
お皿を洗いながら耳を澄ましていると、お客様との楽しい会話が聞こえてきました。

お隣
建材屋さんの三代目?
生まれながらにして職業が決まっているというのは、抵抗はありませんでしたか?


きれいな言葉で言えば「英才教育」ですね。
おじいちゃん、おばあちゃんが「あなたは跡取り息子なんだから…」という感じで刷り込み、刷り込みです(笑)。
当時は土壁を作っていたのですけれど、当たり前のようにその配達についていくとか、
おやじがダンプカーで山の土を仕入れに行くのに横に乗っていくとか、
ユンボを操っている傍で計器盤にしがみついてその様子を一緒に体験するとか。

よく覚えているのが、中学生の頃、台風が来て工場のシャッターが壊れてしまいました。
夜寝てたらおじいちゃんに叩き起こされて
「おやじがシャッターを直しに行っているのに、お前寝てる場合じゃないだろう!」
と。
「手伝いに行け!」

警報か出るくらいの相当な風だったのですが、行ったら行ったでおやじに
「危ないから帰れ!」
と逆に怒られるという(笑)。

お隣
小さなころから当然のように家業の一員、当事者だったんですね。


だから「やりたくないなー」とかはなかったですね。

うちはもともと建材、建築資材を製造販売していたのですが、当時は漆喰はほぼ認識されていなくて、衰退産業というか、今でも言われてますけど(笑)、
自分の代になってこれは販路を変えなくては!! と強く思うようになりました。

漆喰は一般のファン層がいなかったんです。
有名な、テレビとかに出るカリスマ職人はいるけれど、スポーツで言う草野球、草サッカー、一般の人が楽しめる場がなくて、だから全然認知されていない。

お隣
裾野を広げないと…


そう、それならDIYだ!
で、DIYに本格的に取り組み始めたのが2009年くらい。

それまでは材料を売るだけで自分達で壁塗りする必要はなかったのですが、一般の方に塗って頂くなら私達も塗れないと。
それで師匠について漆喰の施工を習いはじめました。

お隣
3代目だけれど、新しいことにも挑戦するんですね。


必要に迫られてですね。
壁塗りはもともと職人技なので、奥が深いからやりはじめると楽しいんですよ。
ありまささんが開店準備のために講習会に来てくれたのは2014年ですから、私達が勉強し出して数年の頃ですね。

お隣
この壁、ご自分達で塗ったんですね。
でもこれだけのスペースを…正直大変そうだなあ。

女将
私もはじめはそう思いました。
ただ開店準備はとにかくお金がかかるので、職人さんにお願いする予算がなかったんです(笑)。

面倒でも、自分達でやらなくちゃ…。
そうすれば漆喰代だけですみますから。

辻さんのところは添加物のない安心な漆喰だし、塗り方も教えてもらえる。
店主と私で講習会や体験会に行って、短期集中で技を覚えました。鏝(こて)とか、道具もレンタルできるので、そこも有難かったです。


今は鏝の種類も増えて、オリジナルの鏝も作って、もっと便利になっていますよ。

店内の壁。
自分達で塗ったので突っ込み所満載ですが(笑)そこも味ということで…。
店主の従兄が作ってくれた手作りスピーカーに漆喰を塗りました(音響に詳しい従兄のすすめで)。 響きがより美しくなり、お客様からも好評です♪


DIYというと子供部屋の壁を一面塗るとか、その程度の認識の方も多いのですが、ありまささんは店舗内全部、人によっては新築するときに丸ごと一軒塗ることもあります。
実際、すごいですよね!!
一軒丸ごととか、大変なことです。

こういう人のところへは、出来るだけ話を聞きに行きました。
全国に10人くらいいらしたので、時間を作って旅みたいにまわって。
なんで自力で塗れたのか裏話を聞いたり、こんな鏝があると良かった、こういうサービスがあると良かった…という要望を聞いたり。

興味本位ではじめたことでしたが、結果的にマーケティングになっていました。

お隣
現場の生の声を集めるのは大事ですね。

コロナの時は多くの工事がストップしたと聞きます。
やはり大変でしたか?


実はコロナで緊急事態宣言が出た時、これまでで一番漆喰が売れました。
籠っている時に塗ろうとした方が多かった。
今まで躊躇していた人や、時間がなくて途中でストップしていた人が一気に作業しはじめたからです。

逆に言えばそういう機会でもないと、まとまった時間がないとやはりハードルが高いわけですね。

でもコロナだと人が集まる講習会は出来ない。
そのあとは売り上げがどんどん落ちて、今もギリギリのライン。
ただコロナが収束に向かっているので、だんだん人は動きはじめているし、DIY教室に来る人も増えてはいますが…。

お隣
やはり対面の教室が大事なんですね。


YouTubeの解説動画も作っていますが、力の加減とか微妙なところが伝わりにくい。
こればかりは実際体験してもらうのが手っ取り早いかなと。

塗るだけでなく下準備、例えば養生も大事ですが、やってみればすぐに要領が呑み込めます。
実は壁塗りの出来は「養生8割」という言葉があるくらい、養生に左右されるんですが、
それも実際やってみればすぐ納得できます。

女将
養生八割はすごい言葉ですね。本当に準備、仕込み、下ごしらえは大事。
これは私たちの座右の銘にもなりました。


講習会は何も分からない人が塗れるようになるまで手取り足取り教えるのですが、
最近の傾向としてはプロの方お見えになります
意識の高い左官職人さん、大工さんとか。

最近の左官職人さんはモルタルは塗るけれど漆喰は使う機会がない。
モルタルと漆喰は、塗り方も装備も立ち回りも違うんです。

昔は基本から教えてくれる徒弟制度があったと思うけれど、最近はそうではなく、
現地でそのまま…なので経験があることについては出来るけれど、やったことのない漆喰については分からない。
たから
「鏝も違うんだ、へー」みたいな(笑)。

住宅会社の方、不動産オーナーもお見えになります。
漆喰や珪藻土の壁にするとシックハウスの心配がなくて安心だし、付加価値がついて値段を上げられる。
家賃を上げるため、空き部屋を埋めるために習いに来るわけです。

プロの方たちは講習で一般の方と出会うことも出来て、交流する中で普通の人達のニーズを知ることもできるようです。(続く)

辻明宏さん
新宿御苑にショールームがある漆喰・珪藻土の専門店ロハスウォールの社長。岡山県産の原料を使った自然素材100%の漆喰と珪藻土を製造販売、施工、DIYサポートを行う。理念は「塗り壁を日本の文化に」

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