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突然、大地讃頌弾いてみた

 春休み、自由に参加できるオープンピアノに足を向けてみた。よく考えたら自分も弾けるじゃん、ということに気づく。

 去年の秋の合唱コンクールで大地讃頌の伴奏をした私。普通、私は発表会やコンクールのために必死に練習した曲ですら本番が過ぎたら弾けなくなっているのだが、大地讃頌だけは、受験勉強でピアノをやめたあとでもそこそこ弾けた。自分でもその時は驚いた。

 つい最近にも大地讃頌は楽譜無しで一度弾いた。少し失敗もしたが、その失敗はいつものと言ってもいいようなもので、止まらずには弾けていた気がする。

 弾こうかな、受付に参加申込してみようかな、と思ったが、しかしできるかどうか。受験が終わったあとに弾いたのはその1回だけ。できない可能性があるし、やめておこう。そう思ってこの話は終わらすことにした。

 しかし、しばらく他の人の発表を見ていると、母が申し込まないかと誘ってきた。不安もあった。でも、さっきやりたいと思ったのも事実だった。それに、こんな機会も、なかなかない。私は流れに任せることにした。

 だが。ここで問題が発生する。手を膝の上で動かすが、音が思い出せない。何度もスマホを開き、画像検索して見れる楽譜を探すが、見れるのは一部だけ。見ないでやってみてもやっぱり忘れる。ヤバい、やっぱり無理だ、そう思った。

 その時、私はもう一度楽譜を見た。私はちゃんと音を見て楽譜を確認していなかった。なんとなく注意もせず見ているだけだった。そこで、しっかり1個1個の和音を確認するつもりで、しっかり楽譜を見ながら手を動かした。

 そして、楽譜を見ずに手を動かす。できた。これで、ピアノソロの部分はなんとかなった。

 しかし、その続きの「おんちょうの〜」からの伴奏から、またあやふやである。最後の部分だけ画像検索で楽譜が出てきたが、しかし、ぼやけていて音をしっかり把握できない。

 実際、いつも突然弾いて弾けているのだから、大丈夫だ、そう自分に言い聞かせ、流れに乗って弾くことにした。

 そして、自分の番が来た。座り、最初の音の鍵盤に手を置く。最初の部分は心配ないだろうから。

 弾き始めた。弾ける、弾ける、弾ける。観客席から、大地讃頌を歌う歌声が聞こえてくる。ピアノソロに入るまでの部分も少し心配だったが、弾けた。そのままソロに入る。しっかりとした音が出ていないところもあったが、しっかり手が動く。弾ける、これ、弾けるよ、大丈夫、そう思い始めた。ソロの終わりだけ完全に音をミスったが、なんとか次に進んだ。

 ソロの次はゆったりとした部分である。ここは簡単。とはいっても、音忘れてないかなという心配が少しあったけど。

 そして、あの、音が心配だった「おんちょうの〜」に入る。1音目が弾けた。安心したい。手が動く。手に任せる。問題なく弾けた。

 そして、一度声を弱める部分、「母なる大地の〜」の所。ここが、本当に音がわからない。手がここだというのでそこに指を命中させることに私は集中する。そして弾くと、合っている。そんな感じでなんとかこの部分も弾ききった。

 あとは自信のあるところだ。最後まで弾き、「あー」のところの伴奏でかっこよさを出せるようできる限り強い音を出そうと努力する。そして、かっこよくなるようにしながら手を鍵盤から離した。

 拍手が起こる。何とか弾ききったと安心して、私はすぐに母のところに行った。

 結果、今回は、頭が忘れていても、いざ弾けば手が覚えている、ということだった。ピアノって、頭は忘れてても手が覚えていて弾けるっていうのは結構ある気がする。ただ、この大地讃頌のように、たまにしかひかない曲でこうなるっていうのは、大地讃頌だけなのではなかったのかなと思う。大地讃頌が私のいつでも弾ける曲になってきた、そんな気がした。


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