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満喫、シンガポール12

この日の夕食は、シンガポールの中心地、オーチャードにあるヒルトンホテルの中の、チャッターボックスという店で、チキンライスを食べることになっていた。リンさんによれば、屋台などとは違う、高級チキンライスだそうである。ツアーに付いていた昼食も美味しかったし、とても楽しみだ。

席はふた手に分かれて、私たちは8人がけのテーブルのほうに着く。ハッピーアワーで、飲み物は2杯で24ドル(約2640円)というサービスをやっている。ここがヒルトンであることを考えると、そう高くはない。私たち姉妹はビールを注文して、1杯ずつシェアした。
そこで判明したことは、そのテーブルに居たのは、1人参加者2名を除くと、あとは全員、姉妹2人組だということだった。姉妹というのはとかく、一緒に旅行しがちなのである。

私は妹に、この日もマリーナベイサンズのナイトショー(スペクトラ)は見に行かない、と宣言していた。10年前にも見たショーを再度見に行くには、疲れすぎていたのである。だから妹は、一人でショーを見に行くべく、地下鉄の最寄り駅などを事細かに確認していた。
ところがこのテーブルの姉妹1組が、これからショーを見に行くというので、それならうちの妹も一緒に連れて行ってほしい、と私は申し出た。すると、こちらこそご一緒したい、と言ってもらえたので、安心して妹を任せることができた。いくらシンガポールの治安がいいとは言っても、一人で行かせるのには、全く不安がないわけではない。すると、1人参加していた女性も、一緒に行きたいと言うので、4人でショーに向かうことになった。
チキンライスは、鶏肉がしっとりしていてとても美味しかった。前菜もデザートも付いて、確かにリンさんが言うように、お上品なチキンライスだった。

一人になった私は、オーチャードをぶらついてから、地下鉄で帰ることにした。夫の土産を買うために店を覗いたり、前夜行かなかった伊勢丹にも行ってみたりした。そろそろ帰ろうかと思ったら、妹から、もうホテルに戻った、というLINEが来る。4人で往復タクシーで移動した上に、ショーは15分間しかないので、私より早かったらしい。疲れているからショーに行かないと断ったのに、私だけいつまでも遊び歩いているみたいになってしまった。本来なら気まずい場面だが、そこは妹なので気にしないことにする。

翌朝は10時集合だった。ただ、夜の飛行機で日本に帰るので、荷物をパッキングしないといけない。
ただ、前もって荷造りしておけば、10時までどこかに出かけられないこともない。翌日の観光では、アラブ人街と、中華街には行く予定になっている。しかしインド人街には行かないという。インド人街には24時間営業の店もあるらしいから、朝でも行こうと思えば行けるし、ホテル近くのニュートン駅から、インド人街はひと駅だ。
妹に行きたいかと尋ねてみたら、別に行かなくていい、と断られる。マリーナベイサンズのナイトショーに行かなかった報いだろうか。
1人で行くことも考えたが、私はホテルでのんびりするのも好きだし、諦めることにした。

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