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恵みの島、奄美 13

結局、私たちの奄美ー鹿児島便は、変更になった出発時刻どおり午後6時半(当初の15分遅れ)に飛び立った。それどころか鹿児島羽田間は、欠航どころか5分遅れを取り返し、羽田への出発時刻がもともとの10分遅れにとどまった。空中でも遅れを取り返したのか、羽田には、当初の予定の5分遅れで到着した。
結果、予定していたシャトルバスに間に合い、らくらく羽田から家に帰ることができた。
家に帰ると心底ほっとした。鹿児島にもう一泊も悪くはないのだが、そのような予定ではなかったので、帰れるほうがやっぱりうれしい。

           *

私はこれを、奄美から帰った翌日に書いている。東京は憎たらしいくらいに晴れている。奄美もこんな天気だったら、海がどんなにか綺麗だったろうと思う。そしてこの日は、この時期の東京の気温としては全然寒くないが、奄美から帰ったあとだと、とても寒く感じる。
一週間仕事が休みなので、用事もあったので、昔住んでいた西荻窪に行ってみた。しばらく降りないうちに、駅北口に新しいおいしそうなパン屋ができていた。西荻窪で行ってみたいカレー屋があったので、用事を終えたのち行ってみたところ、あいにく休みだった。仕方ないので、お気に入りのエイミーズベイクショップで焼き菓子を購入して、別の店に向かって歩いていたら、道中にも素敵なお店がたくさんあった。カレーの代わりに食べたシウマイランチも、実に美味しかった。
仕事も含めて時々訪れるが、やっぱり西荻窪はいい街だと改めて思った。平日に行けたのも大きい。平日昼間にのんびりと街を歩ける幸せを満喫した。

東京は楽しい。そして便利だ。
奄美のヨガの先生は、奄美はのんびりしていて癒される、みたいなニュアンスのことを言っていた。ひっきりなしに消費を促される東京は疲れる、と。
でもたまに都会が恋しくなる、とも言っていた。奄美ではどこに行っても知り合いがいる。一人でのんびりお酒を飲むようなことは、不可能に近い、と。それでも先生は現に奄美に移住して、奄美を愛しているように見えた。
たぶん、自然に囲まれ、心安らぐ、時として自然が牙をむく恵みの島と、便利で快適な都会、どちらにも長所がある。どちらがよいとか悪いとか、そういうことではないのだ、たぶん。
だから私は、私たちは、旅に出る。まだ見たことのない新しい景色に出会うために。そして今いる居場所の素晴らしさを発見するために。

もしかすると奄美には、また行くことになるかもしれない、今はそう思っている。またご縁があるといいなと思う。
なかなか素敵な島だったので、みんなに行ってみてほしい気持ちと、あまりみんなに知られたくない、人気が出すぎてよさが失われるのはいやだなあという気持ちと、両方ある。
いずれにせよ今回私は、奄美で心の底からリラックスした。そしてそれは、とても幸せなことだった。(了)

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