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満喫、シンガポール6

シンガポールの地下鉄で、妹は入場できたのに私だけ入場できない。ただでさえフライトで疲れているのに、トラブルまで発生したならほとほと嫌になる。いっそのこと入場した妹を引きずり出そうかとさえ一瞬思うが、そこは冷静になってリンクカードを買うことにする。

ところが券売機を見ても、チャージ機能はあるが、チケットそのものは売っていないようだ。またもうんざりするが、よく見ると、改札機のところに駅員がいる。そこでカードが買えるのではないかと思って尋ねると、正解で、リンクカードの入手に成功する。駅員には、10シンガポールドル(以下は単にドルと表示する。1シンガポールドルは訪問時、約110円)の代金うち(5ドルはカード代なので)、運賃は5ドルぶんしか入っていない、と言われる。その説明はリンさんに聞いていた通りなので納得するが、それゆえに私はリンクカードを買いたくなかった。5ドルは使い終わっても返してくれないのだ。
しかしまあ5ドル、約550円のことなのであきらめる。旅にトラブルは付きもので、それが嫌なら旅行なんかしなけりゃいいのだ。
リンクカードを買って、ようやく私は入場できる。しかもこのリンクカード、クレジットカードでは買うことができないのだという。シンガポールドルの現金の、手持ちがあったことに感謝した。ちなみに昨年オーストラリアに行った際は、1円も両替しなかったので、今回もその調子で現金の持ち合わせがなかったら、万事休していた。

実はこのニュートンという駅には、地下鉄の路線が二つ通っているようだ。しかし先ほど駅の場所を教えてくれた男性が、オーチャードに行くには赤いラインの地下鉄に乗れば良いと教えてくれた。だから迷わずそちらに向かう。一度入ってしまえば、シンガポールの地下鉄は、東京のそれとよく似てわかりやすい。それに10年前に来た時も、地下鉄でオーチャードに行っているのだ。その時点ではまだリンクカードは導入されておらず、切符だったため、今回のようなトラブルは起きなかったが。

しかしまた別の、ちょっとした問題が発生する。よく見たら夕食に行こうとしている店は、オーチャードの次で降りたほうが近いのだ。
ホテルからニュートンの駅だって、それなりに距離があったように感じたので、一駅ぶん歩くとなると、結構遠いのではないか。
私はとっさに、オーチャードの次の駅まで行く、と妹に宣言する。妹はそれを聞いて、心底嫌そうな顔をする。それはそうだ。二人で相談して、まずオーチャードで降りて店をさっと見てから、食事に行くと決めたばかりだし、その順番を決めるのだって、すんなりとは決まらなかったのだから。ようやく決めたことをあっさり覆されたら、誰だって腹が立つ。
しかしともかく、オーチャードでは降りずに次まで強行突破するという、姉の強権を発動する。

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