鶏卵偽装で経験したこと 2 

鶏卵偽装で経験したこと 2 

「加藤さん、おはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、今日も監査チームの打ち合わせですか」
「はい、良かったら、店長も打ち合わせにはいりま
せんか」
 ヨコシマスーパーでは、仕入れ商品の工場を定期
的に監査するチームがあり、定期的に加藤さんと打
ち合わせをしていたのです。監査チームは、スーパ
ーに入社した人たちが、担当していたので、監査す
る力、目を養っていたのです。
 加藤さんの様に、養鶏場、屠畜場、さまざまな食
品工場を実務として経験してきた方は、少ないので、
必ず、監査の前に打ち合わせを行っていたのです。
 監査に行く方は、事前に納品先と約束した、書類
をもって、自分のノートに、工程フロー図を書いて、
何を監査してくればいいかを、行く前に打ち合わせ
を行っていたのです。
 鶏卵は、スーパーの考え方が一番に理解できる商
品だと思っています。
 アレルギーのある方を除けば、牛乳、卵は、必ず
買い物かごに入れ、家庭の冷蔵庫にも、必ず入って
いる物です。
 食パン、米は好みがあるので、必ず買うとは限ら
ない物です。
 特に、鶏卵、卵は、生産が自然に生産される物な
ので、土曜、日曜に多く産ませる事も出来ない物で
す。
 今回の監査は、養鶏場の監査の予定です。卵の洗
卵選別工場の視察は、どこでも行う事が出来るので
すが、養鶏場は、鶏インフルエンザなどの病気があ
るので、一般的には、監査目的で、養鶏場の中には、
入る事が出来ない物です。
 今回も、外観と、毎日の帳票の確認しか出来ない
約束になっています。
 卵の原価は、建物の価格、鶏の経費、餌代、人件
費が主な経費になります。
 建物の鶏舎は一度建ててしまうと、どう使うかが
ポイントになります。
 一般的には、60cm×40cmのケージ(網かご)の中に、
何羽入れるかが、ポイントです。
 EU等では、一羽あたり、750平米が必要とされ、
新しく建てる鶏舎は、ケージでの鶏舎は、禁止され
ています。一羽あたり750の大きさとすると、一つ
のケージに対して、3羽しか飼えない事になります。
一つの鶏舎あたりケージがいくつあるか、何羽飼っ
ているかを確認すれば、一羽あたりの大きさを計算
することが出来ます。
 ヨコシマスーパーとの約束上は、一ケージあたり、
6羽なのに、実際は、7羽飼っているかもしれません。
日本では、アニマルウエルフェア(Animal Welfare)
は、法律では、まだ無いため、なかなか考え方が浸
透しません。アメリカでは、大手スーパーのウオル
マート、マクドナルドでも、鶏卵について、アニマ
ルウエルフェアの考え方の卵を使用すると宣言して
います。
アニマルウエルフェアとは、感受性を持つ生き物と
しての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎える
までの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求
が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめ
ざす畜産のあり方です。欧州発の考え方で、日本で
は「動物福祉」や「家畜福祉」と言われています。
 ケージ飼いの卵をいつまで使用するのか、一羽あ
たりの大きさをいくつにするのかの、考え方を示す、
時期になっているとおもうのです。
 鶏は、なぜ卵を産むのか、鶏は、春を感じると卵
を産むのです。春は、昨日よりも、日中の時間が長
いと、春を感じます。すなわち、毎日、点灯して、
昼を長く感じさせる事が必要なのです、そうすると、
300日くらいは、卵を産み続けるのですが、そこで、
親鳥を処理するのか、もう一度冬を感じさせて、春
から始めるのかも決める必要があります。
 冬を感じさせるためには、水を切り、餌を切るこ
とで、鶏に冬を感じさせるのです。
 このことを強制換羽と言うのですが、餌を切り、
ストレスを与えることが、鶏にとって、本当に幸せ
かどうかと言うことです。
 鶏を二回、三回使用できれば、鶏のコストが下が
ります。
 しかし、ストレスを与えることが本当に、鶏にと
って幸せかどうか、また、ストレスを与えられた時
に、サルモネラなどの、危害が、鶏に入らないか等
の可能性が残ってしまいます。
 ヨコシマスーパーで使用する卵の親鳥は、産まれ
てから何日目までの親鳥から産まれたものかを事前
に打ち合わせを行い、記録を付ける事が必要になり
ます。
 一羽あたりの大きさ、何日目の親鳥かを打ち合わ
せ、さらに、餌の管理になります。
 餌は、殻の強さ、黄身の色に大きく現れてきます。
 殻の強さをいくつ以上にするか、殻の強さを計る
卵のサンプリング方法、どういう頻度で測定するか
を決めておく必要があります。
 黄身の色もどういった方法で測定し、どうサンプ
リングするかが必要になります。
 DHA、ヨードなどを添加した、特殊卵の場合は、添
加した餌を与えてから何日目で、黄身に必要な量が、
移行しているかを、どのように確認し、その後、黄
身の中に移行していることをどう確認しているかを、
監査する必要があります。
 日本もアニマルウエルフェアの考え方を前面に出
した、販売を行う必要があると思いませんか。




あくまでも架空のお店のお話です。

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