夜中の地震どう対応したらいいの

夜中の地震どう対応したらいいの     

 
「加藤さん、おはようございます。ちょっと相談に乗ってくれます」
「店長、どうしました、今日は」
「加藤さんは、外資系のスーパーで、ロスをなくする部門で働いていたんですよね」
「そうですけど」
「ロスは、食品事故だけでなく、天災対応も含まれるんですよね」
「はい」
「先日首都圏で起きた、大きな地震などの場合どうしたらいいのか再点検するように指示されたんだけど具体的に考えるの付き合ってもらえないかな」
「あら、高いですよ、店長」
「そう言わずに、先日、コーヒー奢ったじゃない」
「ははは」

 アメリカの大手スーパーでは、ロスプリベンション(loss prevention)とは、欧米の小売業、流通業、海上貨物保険業界において、よく使われる単語です。 ロス=損害、プリベンション=未然に防ぐ、つまりロスにつながることを事前に見つけて、それに対して手を打ち、被害を最小限に抑える手法のことを言います。
 スーパーで考えれば、食中毒事故、万引き、お客様の敷地内、店内の事故、従業員の労災、従業員による商品盗難、天災対応などが含まれます。すなわちあらゆるロスを考え、未然に防ぐことを考えます。
 先日、首都圏で発生した夜の地震などの場合、どのように対応すべきかを常に考えて、対応をとって置くことが必要です。
 天災が発生したときに、一番考えなければならない事は、従業員の安全です。
 特に、夜発生した場合の、従業員の安全をどう確認するかと言うことです。
 特に何時発生するかわからない地震の場合、震度5以上の時は、どう対応するか、事前に決めておくことが必要です。
 理想的には、震度5以上の地震が、スーパーのある地域で発生した場合、もしくは、従業員の通勤範囲で発生した場合は、自動的に安否確認のメールが従業員全員に流れ、そのメールに安否を返信することで、集計ができるシステムが必要です。
 安全確認の担当者には、安否の確認出来ない、従業員のリストが流れてきて、電話対応、訪問対応が必要な方がわかることが大切です。
 ブラックアウトが起きた、北海道の地震の時にも、安否確認ができない従業員を訪問したところ、家具に挟まって亡くなっていた事例がありました。
 東北の地震でも、連絡がつかない家族を訪問したところ、亡くなった事例もあります。
 安否確認は、安否確認が目的ではなく、従業員全員の安全を確認することが大切なのです。
 できれば、従業員だけでなく、従業員の家族の安全確認を行う事が必要です。
 ここで、考えて見てください。安否確認に訪問したとします。特に一人でアパートなどに住んでいる方の玄関の鍵はどうやって開けますか。電話をしても、ドアをたたいても鍵が開かないとき、どうしたらいいか、日常的に考えておくことが必要です。
 大家さんが、一階に住んでいればいいのですが、管理を委託されているアパートが増えているので、大家さんに期待することはできません。
 明らかに、アパートが倒壊していれば、消防、警察に通報することで対応出来ます。
 しかし、家具が倒れて、挟まっていた場合は、玄関の鍵を開けることが必要です。
 発生する前に、発生するかもしれないことを考えて、対策をとって置くことが必要です。
 従業員には、会社で労災があった時の緊急連絡先、安否確認が取れないときの対応方法について、日常的に確認しておく事が必要です。
 安否確認の対応の次に必要なことは、震災発生後の業務の対応についてどうするかの連絡です。
 特に停電、公共機関の交通が動かないなどの状況になったときに、従業員に対して、どのような行動をとるのかを連絡する必要があります。
 「明日、○日○月は、自宅待機にします」と連絡する必要があります。時給のパートさんの場合は、自宅待機の連絡だけでなく、自宅待機に対して、時給を払うのか、払わないのかまで、明確に連絡する必要があります。
 天災なので、時給を払う必要はないと思っている方が多いと思いますが、会社によっては、100%支給の有給、もしくは60%支給の有給で対応しているところが多いものです。
 社員の方などの、責任ある立場の方は、夜の地震発生時に、現場確認する必要があります。
 震度5以上の地震が発生したときにどうするか、誰が現場に駆けつけるべきか決めていますか。
 停電した場合、温度管理が必要な食材の取り扱いを決めて置くことが大切です。
 停電し、一時間後に復活した場合、長時間停電が続く可能性がある場合、何を確認して、商品をどう取り扱ったらいいか決めていますか。
 商品が、地震で破損した場合、例えば、ワインが、割れてしまった場合片付けるだけでなく、保険の申請のために、どのように処理したらいいか、理解している方がどのくらいいますか。
大切な点は、訓練、練習が大切なことです。本番は思わないことが発生します。
 停電し、携帯電話が通じなくなってしまたらどうするか、自動で発信されるはずのシステムが稼働しなかったらどうするか、安否確認の担当者が、お酒に酔っていて、対応出来なかったらどうするかなど、あらゆることを事前に考えておくことが必要です。
 まず、一度「訓練」の安否確認を行ってみませんか。

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