海外旅行慣れしていないふたりが、新婚旅行でニュージーランドに行った話#6
-Day5-
「おはよ」
7時前に起床。今日は少し早起きだ。
旅も半分を過ぎたものの、到着してからずっとありがたいことに天気に恵まれている。
そして今日もまた、天気が良い登山日和だ。
今日はワナカにある『Roys Peak Track』を歩く。
昨日歩いたHooker Valley Track と同じく、Roys Peakはガイドブックにも載っているほど人気な場所。
ビューポイントからはワナカの町と湖、そしてアスパイアリング国立公園の山々を見渡すことができる。
しかし登るにはちょっと気合が必要。
のんびりと準備をしてしまい朝8時半に駐車場に到着するも、なんと満車。
…え、まじか?!
どうするどうすると駐車場の前の道を何往復かしていたところ、運良く空きが。
急げ!!!と駐車場に入り、タイミング良く停めることができた。良かった。
ニュージーランドはキャンピングカーの他にも、普通車をカスタムしている人がとても多い。この場で食材を切りサンドイッチを作っている人、ソーセージを焼いている人、コーヒーを飲んでいる人、いろんな人がいた。
アウトドアがとても身近な存在なんだなぁ、と羨ましくも思った。
Roys Peak Track スタート
文句なしの青空が広がっている。快晴だ。そして駐車場からは今日目指す山頂が見える。
YAMAPを開き、活動開始のボタンを押す。
「よし、スタート。頑張ろう!」
登り始めは車がギリギリ1台通れそうな幅の道を、ジグザグと登っていく。道は整備されているので、とても歩きやすいがずっと登りだ。感覚としては富士山のような感じ。
序盤はコースの一角が牧草地なので、羊が至る所にいる。
そのため登山中のBGMは必然的に「メエエェェェェ‼︎」一択だ。しかも360度いろんな方向から聞こえる。
たまに「メ゛エエ゛ェェェ…‼︎」とおいおい大丈夫か?と言いたくなるような鳴き声も聞こえるので、思わず笑ってしまうほど。
ルートがいくつもあるわけではないので、常に同じ人に抜かされたり、抜かしたり。「Hello!」「Hi!」と挨拶してくれる人もいた。(日本での登山中の「こんにちは」と同じかな)
だらだらと登る道が続くも、休みながら進んでいく。
ちょっと待って
半分ほど歩いた頃、
…なんか、気持ち悪いかも。足が重たくて全然進まない。
普段の登山では、登りはいつも私が先に歩き旦那を置いていくことが多いのだが(待てよと言われる)、この時から私が遅れ始め、距離を離されていた。
旦那「強靭の脚、どうした?」
私「ちょっと待って。休みたいかも。」
やれやれどうしたものか。
と道の端に寄り岩に腰掛けながら考えるも、たぶんあれだ。と原因が浮かぶ。
そう。朝起きた時に食欲があまりなかったので、朝ごはんはりんご半分とヨーグルトのみしか食べていなかったのだ。
「シャリバテだわ。」
※登山用語。シャリ=飯が足りなくて、バテてしまうこと
ひとまず持ってきた行動食を食べ、エネルギーチャージをする。そしてこの時、シャリバテに加え、軽い熱中症だった可能性も。
ニュージーランドの紫外線は日本の約7倍もあると言われている。気温はそこまで高くなくても、ジリジリと照りつける日差しがとても暑くて、汗もかなりかいていた。
それなのにも関わらず、私はペットボトル1本500mlしか水を持ってきていなかったために、飲むのを控えていたのだ。これでは熱中症になりかねない。
水を多めに飲み(旦那が1.5L持ってきていたので本当に助かった)、少し時間が経つと回復してきた。
…よし、仕切り直しだ。と歩き始める。
あともう少し
見渡すと景色が牧草地から草原に変わった。
ここ一帯はニュージーランドではなく、なんとなくメキシコ感が漂う。(行ったことないけど)
同じ斜面を歩いているので、見える景色は変わらないと思いきや、標高が上がるごとに壮大さが増していった。
何より道が綺麗。昨日のフッカーバレートラックでもそうだったが、観光地であるのにも関わらずゴミ一つ落ちていない。悲しいけど、富士山とは大違い…。(入山数が桁違いだとは思うけど)
ピーク到着
そしてスタートからちょうど3時間。
ついに、Roys Peakに到着!
達成感とともに、絶景が飛び込んでくる。
「うおおおおおぉ」
昨日とはまた違った美しさ。壮大さ。
ニュージーランドの大自然にまたもや圧巻させられた。
綺麗だなぁと画面越しに見ていたこの景色が、
今自分の脚でここまで登りきり、目の前に広がっている。
やっぱり自然が大好きだなぁ。と改めて実感。
本当のピークへ
実はRoys Peakの本当の山頂は、このビューポイントからさらに上にある。
見たい景色も見たし、もうここでよくない?と言うも、
「せっかくここまで来たんだから、行くぞ!」とケツを叩かれる。
看板には山頂まで「30min」と書いてあったが、このラストスパートが結構キツく、50分くらいかかった。
最後の登り坂を越え、ようやく本当のピークへ到着だ。
「おつかれ!」と2人でぐーパンチ🤜🤛
ガッツリ登山は久しぶりだったけど、よくやった。とお互いを褒め称える。
せっかくのチャンスだったのに
一呼吸していると、2人組のハイカーからおつかれさま!頑張ったね!と声をかけられた。
「わ!Thank you.!!いやー…I am tired. very tired. 」
と小学生レベル以下の英語と、疲れたジェスチャーをすると「yeah. good job!!」と笑ってくれた、美男美女の2人組だった。
そして「Are you from?」と聞かれる。
「Japan. 」
そう答えた。
そしてその後のことは、今でも「勇気を出して話せば良かった」と、後悔をしている。
初日の飛行機で話しかけられた時と同じ、
…英語ができないから。
…会話ができないから。という感情が出てきて
「So I don’t speak much English. Sorry. 」
と言ってしまったのだ。
2人はyeah!yeah!ok!いいんだよ気にしないで!みたいなジェスチャーをしてくれたのだが、そのままバイバイ👋と2人は下山をしてしまった。
…せっかく話しかけてくれたのになぁ。
離れていた旦那に事の経緯と「あまり英語が話せません」って言っちゃった。と言うと、「それ、言わない方がいいんじゃない?話しかけてくれたんでしょ。」とド正論をぶつけられる。
…たしかに。
せっかく話しかけてくれたのに、話せませんってそりゃイヤだよなぁ。
よし。もう「 I don’t speak much English.」は封印しよう。
そう決めた。
日本人との出会い
山頂は広くはなかったので、先ほどのビューポイントまで戻りそこで昼食を取ることに。
山でのご飯といったら、やっぱりカップラーメンだ🍜
バーナーは使えるか分からなかったので、事前に保温ボトルにお湯を入れてきていた。
※後日調べたら、草などが燃えないような離れた場所であれば使用OKみたい
ズズズッとカップラーメンをすすっていると、
「あれ、こんなところでラーメン食べてるんだ」
と馴染みのある言語が聞こえた。
ー 振り返ると、日本の方だった。
ニュージーランドは割りかし日本人は多いと聞いていたものの、ワナカであったのはこの方1人だけ。
昨日もハーミテージのホテルには何組かいたが、Hooker Valley Trackでは誰1人日本人はいなかった。
…言葉が通じる。安堵感。そして嬉しい。涙
聞くところによるとこの方、仕事はもうお辞めになっており今は世界各国へ旅行しているとのこと。この間はスペイン、ポルトガルとその周辺の国を2か月くらいで回ってきたらしい。
ニュージーランドに来た理由を聞くと、ふとニュージーランド行ったことないから行ってみよう。で航空券を取ってきたと言っていた。
こちとら航空券だけでもヒーヒー💸なのに、とんでもねぇ人だな。と内心思いながら30分ほど長話を。
さっき山頂で会った2人なんか2.3言葉交わしただけで終わっちゃった(正確には私が終わらせてしまった)のに、言語が通じるだけでこんなにも話せるのか。
と、言葉の威力を感じる。
「それでは。お互い楽しみましょうね。」
と言い合い、この方とはこの場でお別れした。
下山開始
時刻は14時前。
思っていたよりも長居してしまったと、我々も早々に下山を開始した。
景色は変わらず絶景。
こうみると、湖のほとりにある街が美しくて絵画のよう。本当に住みたくなる。
休憩を挟みながらサクサクと進み、景色は草原から牧草地に戻ってきた。羊がまた現れてくる。
15時半に駐車場に到着。ゴールだ。
下山が早い旦那に付いて行ったのもあり、約1時間半で降りてくることができた。
疲れた…。ヘロヘロだ。
けど達成感と満足感。めちゃくちゃ楽しかった。
後から聞いた話だが、駐車場を歩いているときに山頂で話しかけてきてくれた2人が旦那に気がついて、車から手を振ってくれたらしい。(私は後から車に着いたので、全然気が付かなかった。涙)
話を聞いてとても嬉しかった。
街へ戻る
疲れていたので今日も夜ご飯はスーパーで食材を買って作ることに。
途中コンビニ的なお店に寄りアイスを買う。
ホテルに戻るなり、めんどくさいことは先にやろう。
と、お風呂に入り汗や土ぼこりを洗い流し、羊の💩がついているであろう山道具を全て洗い、そして、夜ご飯を。
「肉、うまー!!」
ラム肉がとっても美味しくて、つい微笑んでしまう。
鼻から抜けるラム独特の風味がたまらない。スーパーのお肉でも臭みがないのは、さすがニュージーランド🐏
そしてワインも負けじと美味しい。すっきりしていて飲みやすく、食事にも合う。
そんなこんなでたらふく食べた後、2人とも疲れていたのですぐ爆睡。
明日から少し天気が崩れるが、元々休暇日の予定なので安心。朝もゆっくりだ。
1日ずれていたら、あの景色は見れなかったと思うと本当に運が良く、天気に恵まれたんだなぁと思う。
ありがとう、ニュージーランド。
翌日
次の街、クイーンズタウンに向かう。
Day5 Fin.
next.
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