海外旅行慣れしていないふたりが、新婚旅行でニュージーランドに行った話#9
世界遺産にあるミルフォード•サウンドへ
旅も7日目となり、観光できるのは今日を含めてあと2日。
今日は「ミルフォード・サウンド」へ行き、クルーズ周遊ツアーに参加をする。
ミルフォードサウンドはニュージーランド南島の南西部に位置しており、世界遺産フィヨルドランド国立公園の中に存在している。
氷河で削られた1,000m以上の岩山が海面から聳え立ち、はるか昔から変わらない手つかずの大自然を目の前にすることができる、ニュージーランドの人気観光地だ。
登山をしている方は『ミルフォード•トラック』の存在をご存知の方もいるはず。
ニュージーランド政府の自然保護省が定めた「最も景観が素晴らしいルート」いわば『グレートウォーク』と称されているルートが、北島南島合わせて10つある。
その中の一つがミルフォード•トラックであり、このミルフォード•サウンドのエリアにあるのだ。
海外トレッキングは詳しく無いけど、それでも「世界で最も美しい散歩道」と呼ばれるミルフォード•トラックの存在は知っていた。
日本で計画を決め始めた時、「行けるのかな?」と興味本位で思いホームページを見てみるも、無論空きなし。
そりゃそうだ。
毎年4月に今年分の予約が開始され、1日に出発できる人数も限られている。(ツアー50人+個人40人)
世界中のハイカーが憧れる場所なのだから、そんな簡単に取れるわけがない。奇跡的に取れたとしても、喉から手が出るほど行きたかった人に申し訳ない。
…だよね〜。
くらいの気持ちでこの時は終わった。
のだが、ミルフォード•サウンドの雰囲気だけでも圧巻されたので、そのエリアのトレイルを歩けるなんてどんな景色が見れるの??!(キラキラ)と、行きたい欲が高まったのは旅が終わってからだった。
と、長々と話が逸れてしまったが、今回は歩けるわけでも無いのでミルフォード•サウンドを訪れるほとんどの人がするクルーズ周遊ツアーを申し込んだ。
ミルフォードサウンドはクイーンズタウンからでも片道約4時間、往復だと8時間もかかる。マップ上でみると直線距離はさほど無いものの、「テ•アナウ」という街を経由する道路しかないために時間がかなりかかってしまうのだ。
そのため、運転疲れを考慮しレンタカーではなくツアーを選択した。
いざ出発
AM7:30。外は小雨が降っていた。
7日目にしてこの旅初めての雨、少し肌寒かった。
出発場所は”ホテル近くのバス停”との事だったが、なんと目の前。ラッキー!
市バスが停まるような小さなバス停なのに、いろんなツアー会社の大型バスがどんどんくるので乗り間違えないようによくよくチェック。
しばらくして予約していた会社のバスが到着。名前を確認し、乗車する際にお昼の引換券を渡された。(チキンかビーガンか選べたので、チキンにした🐓)
バスの中はいろんな国の方がいた。話してはいないけど、日本の方も1組いらっしゃった。
走行中は運転手の方が街や風景のことを説明してくれていたのだが(この湖はNZで2番目にでかい。とか、何千年前は〜とか)、英語でほとんど聞き取れずもはやBGM感覚。
「ほにゃららペラヘラ‼︎…フフブッ‼︎ペラペラ」
何か面白いことを言っていたのだろう。運転手が1人で喋って1人で笑ってる、なんてこともありそれに笑った。
朝も早かったのでバスの揺れですぐウトウト。途中で目を覚ますと、なんと青空が。
出発して2時間半ほど経ち、途中の「テ•アナウ」の街に着いた。ここで40分ほど休憩を挟む。
この街からもツアーバスに乗車することも可能。
私たちの後ろの座席は元々空席だったのだが、ここで大量のインド人が乗ってきて、車内に少しカレーの匂いと活気のスパイスが加わった。ナマステ~
ミルフォード•ロード
その後またバスを走らせる。
テ•アナウからミルフォード•サウンドまでの道路は『ミルフォード•ロード』と呼ばれており、各所に絶景ポイントもあるためドライブコースにもなっている。
しかし今日の天気は雨。
ミルフォード•サウンドは世界の中でも雨の多い地域で1年の2/3は雨なんてこともあるそう。
その後何箇所かポイントを経由。降りたい人は少し周辺を散策することができた。
奥地に進むにつれ、見上げるほど高い絶壁の岩肌が連なり、だんだんと険しい風景に変わっていった。
思わず「…すご」と言葉がもれる。
途中トンネル前で長い信号待ちとなった。
運転手がやたら「ホーマートンネル、ホーマートンネル」と言うのでなんだ?と思い調べると、このトンネルがミルフォード•サウンドを繋いでいる唯一の道とのこと。
開通には約20年を要したが、山を切り開きこのトンネルが出来たことでミルフォード•サウンドに行き来できるようになったそう。ありがたき。
そして13時前にミルフォード•サウンドに到着。
ポートセンターで少し待ち、すぐに船への乗車が始まった。
英語の案内が聞き取れないので、同じバスに乗車していた人の後に着いて行く。
出航、クルーズ周遊開始
ー ボーーーーー
出航の音が鳴る。
船内には私たちが乗っていたバスの乗客以外の方も乗っていたので、結構な人がいた。座る場所も限られているので、同じ座席内に相席で座っている方も多かった。
しばらくして船内の売店で昼食をもらう。
お腹がかなり空いていたのでペロリ。パイが熱々過ぎて舌を火傷した。
天気は変わらず、船の窓に雨がバシバシと打ちつける。
…これ天気大丈夫か。
周りの人も窓の外を見て苦笑い。
出航してから少し経った頃、初めは皆おとなしく席に座っていたのだが、段々と外に出入りする人が多くなってきた。
そしてみんなずぶ濡れで戻ってきて、とてもいい笑顔をしている。
…え、なんか楽しそう!せっかく来たし、一旦外出てみるか!
レインパンツを履き、濡れたくないからいいやと言った旦那を置いて1人で外に出てみる。
ババババババババババ!!!!!!!
息ができなかった。5秒外に出ただけで、雨と風で顔も髪もぐちゃぐちゃになった。写真を撮るのも、やっと。
でもめちゃくちゃ楽しい!!!(旅のテンションすご)
これは皆笑顔になって帰ってくるわけだ。と納得した。
見所ポイントに近づくとアナウンスで教えてくれるので、その度外に出る。で、びしょ濡れになる。を何回か繰り返した。(見所ポイントはほぼ見てない)
雨が止み始める
時間が経つにつれ、雨の音が弱まっていった。
ようやく外に出れるぞー!と、皆景色を撮ったり、記念写真を撮ったりと賑やかになる。
先程は雨と風で景色どころじゃなかったが、よくよく見渡すと、見上げる程高い岩壁からはいくつもの滝が流れ、前を見れば何千年と時間をかけて自然が作り出したフィヨルドが広がっている。
…こんな光景、日本じゃ見たことないなぁ。
そう思いながら、カメラのシャッターを切った。
折り返し地点に来たようだ。船が進路を変え進んでいく。
途中、滝のすぐ近くまで船を近づけてくれるサービスタイムみたいなものがあったのだが、ものすごい水しぶきで外はえらいこっちゃのお祭り騒ぎ。
船内も外にも、たくさんの笑い声が響く。
みんな雨であっても楽しもうとする雰囲気がとても良く、つられて私達も笑顔になった。
約2時間でクルーズ周遊は終了。
生憎の雨だったが、とても楽しむことができた。
岩壁を流れる沢山の滝も、雲があることで醸し出す独特の雰囲気も、皆でずぶ濡れになって笑い合うのも、雨のおかげということで。
next.
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