ア～カイ　ベベキタ　カ～ワ～イイ　キンギョ
　
水槽を覗き込んでいた幼い子がにわかに唄いだした
今どきの子でもこのわらべ歌を唄うのか
ほほえましく聞いていた
　
オメメヲ　サマセバ　ゴチソウス～ル～ゾ
　
和金が１ぴき泳いでいる
何年か前には５ひきいたが
病気になってしまったのだ
　
ア～カイ　キンギョハ　ア～ブ～クヲ　ヒトツ
　
幼い子はまるで金魚に呼びかけているように
左右に体を揺すって唄い続けている
その声に合わせて金魚が回遊しているように見えてきた
　
ヒ～ルネ　ウトウト　ユメカラ　サ～メ～タ
　
１ぴきだけになった金魚に
寂しい思いをさせてきたのではないか
毎日のエサやりや毎週の水替えは欠かすことがないが
　
ア～カイ　ベベキタ　カ～ワ～イイ　キンギョ
　
幼い子は繰り返し唄っている
すっかり金魚と共鳴し合っている
私の中に罪悪感に似た気持ちがぽつんと湧いた
幼い子は唄い終えたあと私を見上げて訊ねた
　
キンギョサンノ　オナマエ　ナ～ニ？

名前はつけてない
私は「懺悔」した
アニミズム畏るべし