佐藤省司

(さとうせいし)   フォトポエムのジャンルを探求しています。 文芸好き、写真好き、野…

佐藤省司

(さとうせいし)   フォトポエムのジャンルを探求しています。 文芸好き、写真好き、野山歩き好き。 気楽につきあってください。 自称、イメージトラベラー。

マガジン

  • 新たな戦前の時代に

    戦争への準備が強力に進められる今、平和のために何が大切なのだろう?

  • いたいけな輝き 2

    幼い子の放つ光のいろいろ

  • 光と影の律動

    光と影、陽と陰の世界へ

  • いたいけな輝き 1

    幼い子たちの放つ光のいろいろ

  • 宙に舞う

    空飛ぶいのちとの交感

最近の記事

ひらはららん

さくら ふる ふる ひらら はらら ひら はららん 夕暮れの 公園 水銀灯 花びら 吹かれ 舞い 舞い 舞う 「さくら もう おわりだね」 ゆうらら ゆうらり ゆうららん ぶらんこ 漕ぐ きみ 「これから はじまるのよ」 ひらら はらら ひら はららん さくら ふる ふる 「もう おわったのよ」 花びら 吹かれ 舞い 舞い 舞う 「・・・・・・ さようなら」 堤防 駆ける きみの 背に 吹きつける 花びら 取り残されて 茫然と 佇む ひらら はらら ひら はららん

    • 飛び跳ねよ

      いのち生む 水の血めぐる 古代魚よ 四方八方から 視線を浴びせられ 疲れないか その水槽は あまりに狭すぎやしないか 飼い慣らされ 馴らされて とうに野性を抜かれているのか ゆったりゆったり 水中を滑り 穏やかに目を合わせ しなやかに魚体を転回する ゆったりゆったり 水中を滑る 鈍い光をまとうアロワナよ 身にまとう ぎっしりの その鱗(うろこ)は いかにも硬そうだ 一枚一枚をくっきりと 太い筆先で 描きたくなる その落ち着きは 他との同化を拒む意思 安易な社交に走らず

      • サクラ メヘヘヘヘ

        花見の雑踏を避けて 桜並木のポケットに入った 川沿いの穴場だ 細長い空を蔽う花花花 小鳥の弾く枝 その揺らぎに はらりはらり 舞う花びらの陰影 せせらぎのきらめき 重力が半ば脱けてゆき ふんわかふんわか 淡い色空間に漂っていた 突然 汚れた軽トラが乗り込んできた 急いでよけると 軽トラはすぐ近くに停まった 姿を現したのは 手拭いで髪を被った年配の女性 「じゃまして悪いねぇ」 大きな声 日焼けした笑顔 思わずにっこり 手を挙げて応じた 春の草むらに屈んで なにかを採りはじ

        • 春の嵐に

          春の嵐に咲く花は ぴゅうぴゅう晒され ぐらんぐらん揺さぶられ ぐっしょりびっしょり 濡れそぼつ 花びら乱れ 反り返り 対称形に収まらず 歪みに歪み 乱舞する 嵐過ぎ去り 陽が差せば しなやかな茎を すっくと立てて 深呼吸 ぐわんと 胸反らし 陽に臨んで 花ひらく   △△△  ▲▲▲  △△△  ▲▲▲ 急に初夏の陽気がやってきたような日が続きます。 私は体温調節がうまくできずに困っています。 みなさんはお変わりありませんか。 今回は、庭のアネモネの花からヒントを得

        ひらはららん

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        • 新たな戦前の時代に
          6本
        • いたいけな輝き 2
          8本
        • 光と影の律動
          13本
        • いたいけな輝き 1
          10本
        • 宙に舞う
          10本
        • しののめ、たそがれ、刻々の彩り
          6本

        記事

          ハルリンドウのうた

          かれいろに ふんわり うかびあがる はるごころ うずうずもやもや あおいいろ ひをあびて さわさわ なでゆく はるのかぜ うとうともやもや ハルリンドウ みずぬるみ じわじわ はぐくむ めざめるだいち もぞもぞもやもや はるがすみ 撮影地  愛知県豊橋市 葦毛湿原(いもうしつげん) △▽▼▽△  ▲▼▽▼▲  △▽▼▽△ お彼岸が過ぎて、やっと春の暖かさを迎えられそうですね。 庭のチューリップも咲きだしました。 みなさん、いかがお過ごしですか。 今回のテーマは、湿

          ハルリンドウのうた

          乱れ咲き

          春風に 何回も揺さぶられ あああ と伸びをするように 赤紫の蕾が 翼をひろげる ピイッ キイッ 甲高い声を張り上げ パタパタパタパタ ヒヨドリが2羽 まだ緑のない 空の透ける モクレンから 飛び立った びよんと 枝が弾かれる 硬い蕾のうちから つつかれまくり 肉厚の花びらがいくつも 食い千切られて ぼろぼろになっている 寒風に耐えて やっと開花を迎えたというのに 痛々しい 美しく咲き誇りたいと願っただろうに などというのは 自然を囲い込んで庭としている 私の思いだ 晩秋

          彼女がうつむくのは

          彼女がうつむくのは しょげているからではない 気力を充たしたいからだ どっくんどっくん 大地に蓄えられた 生命の源泉とつながるためだ 彼女がうつむいているのは 孤独にうちひしがれているからではない 自己と向き合いたいからだ どっくんどっくん 地球に蓄えられた 先人たちの英知とつながるためだ 彼女がうつむくのは 未来を拒んでいるからではない 嘆き苦しみ彷徨う人々の救済を祈願するからだ 鐘の音が あちらこちらで 鳴りわたる さまざまな音色が 絡み合い溶け合い 彼女が顔を上

          彼女がうつむくのは

          coffee break

          コーヒーを淹れるとき マスクをつけるようになった 香りが芳しくなるからだ 最近それに気づいた 妻はマスクをつけても変わらないと言う 単なる思い込みかもしれない コーヒーを飲んでいて ふと りんくを思い出した 去年の4月に亡くなったうさぎだ コーヒー抽出後のかすは 消臭効果があるらしいので 乾燥させてペットシートに撒いていた たまにホカホカの水分で コーヒーの香りがぷんとくることがあった ある朝 いつもどおりに小屋から出してやると 待っていたかのようにトイレの金網に跳び乗

          早春の蜜

          寺院のモノクロ空間に 河津桜のピンクが 浮かんでいる 日ごろがらんとした 境内や空き地が 艶やかに彩られる 盛りの樹木の下に 腰を下ろした 早春の陽を浴びる花々が 水色の空に咲いている 絶え間なくアブの羽音が 花びらを小刻みに震わせる 不意のそよ風が 枝葉を揺らせた メジロの群れだ きょろきょろしつつも 花に嘴を差し入れ 一心に蜜を吸っている 下から見上げる私には気づかないのか これほどに貪欲なメジロたちを 間近に見たのは初めてだ 秋から春にかけて メジロはうちの庭にも

          from 椿

          吹き抜ける寒風が 噴水を煽っている ぶるると身震いし ベンチから腰を浮かせたとき 目の端に茶色い何かが映った 隣のベンチに無造作に置かれている 子どもの忘れ物かな 手のひらに載せてみると 小さな羽根を3枚くっつけたような形だ 風に乗れば くるくる回りながら 遠くまで運ばれそうだ おもちゃかな 裏はざらざらしている 素朴な造形だ 温かみがある 手彫り風の装飾品かな 帰宅後さっそく妻に見せた 椿の実の殻でしょ 子どもが幼いころ 公園で殻や種を拾って遊んでいた 逆さにすれば独楽

          隙(すき)

          隙(すき)のない人などいない 隙を見せないだけだ 隙が見えないだけだ 隙だらけの僕でも 相手の隙には敏く 彼女を引き付けるチャンスにする スポーツ競技では 隙を突くことが肝要だ 隙を突くことは 勝つための要点といえる 人が生きているというのは 時と場合に対応するということでもある 相手の状況を把握して行為するのは いかにも人間らしいではないか 似ている行為に 裏をかくというのがある 相手の出方や弱みを知った上での戦術で 頭脳プレイの感がある 格闘技などでは もっと正

          フィルター

          ほら、あの赤い鳥、情熱的じゃない? えっ、あの鳥が? 毒々しい! 不快だね。 うっそお、神の使者みたいで、神秘的! 価値観のフィルターって いろいろ だから 人とのかかわりも いろいろで おもしろい ホコリ、ゴミ、 ザツオン、アクシュウ…… 都合の悪いものを フィルターは取り除く 「快適な」暮らしに フィルターはなくてはならない 差別を当然視するフィルター 暴力的なフィルター 好戦的なフィルター 金権的なフィルター こんなフィルターには おもしろがっていられない

          フィルター

          空を見たい

          空を見たい きみはつぶやく ずっと見ていたい 空の大きさを 空の色彩を 刻々の変化を 空の物語を 降り注ぐ光のすべてを どのように伝えたらいいのだろう どうしたら伝えられるのだろう 空の記憶がないきみに そもそも私は 空を見てきたのだろうか 空を知っているのだろうか 明るさが判るだけの視覚のきみは 空をどう感じ取ってきたのだろうか 早咲きの梅の花々のなかで 小鳥がさえずっている 樹の下にたたずむきみの 笑みがふわっと浮かぶ 花の香がほのかに風に運ばれてくる ふい

          空を見たい

          枯淡の舞

          木枯らしが 居残る葉を素早くさらう 黒ずんだり 欠けたり 葉脈だけになったり それでも ひらひら舞う木の葉がある 若葉を 瑞々しい と形容するなら 厳冬に残る葉は 何と言おう 枯淡、か この冬はそんな木の葉が 妙に目に留まる 親近感、か 風霜に晒されて 枝にしがみ付く、のでもなく 捨て鉢になる、のでもなく 至極平然としている 風か雨か雪か 虫食まれるか いずれ枝から離れることになるだろう 新たに芽生える葉との交代 定めだ いまだ樹形の一隅を占めつつ いかにも当然のごと

          コウモリ唄

          年末お掃除窓拭きで 何か月ぶりかに がたぴしと 雨戸引き出す そのときに ぴょこりと 戸袋すき間から 茶っぽい布切れ 飛び出して ほわんと 床に転がった よくよく見れば コウモリくん 休眠なのか 衰弱なのか 呼吸せわしく 丸まったまま 小さな箱に移し入れ しばらく様子みましょうか 月夜の散歩の上空を ジッグザッグジッグザッグ 高速で飛び交う シルエット めったに出合えない 昼間の姿 どこか野性味漂う もふもふちゃん 惹かれる 拒みたい 奇妙な存在 黄金バットは 正義

          コウモリ唄

          まっ赤な蜂の巣

          まっ赤だよ 雲 蜂の巣みたい 5歳の子は 吸い寄せられるように 唐突に立ち上がり 夕暮れの空を指差した 私もサッシのそばに立って眺めた まっ赤な蜂の巣? オセロに夢中になっている間に いつしか陽は地平線に潜り 冷却した大海に似た夕空に 巨大に広がった雲が 赤々と焼けている 私なら 火炎のような と紋切り型の形容が 頭をかすめるくらいで スルーする場面だ 何せオセロの対戦が競(せ)っていた まっ赤な蜂の巣 黒い巣穴のでこぼこに せわしく出入りする蜂たち ぶうううん

          まっ赤な蜂の巣