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8月が流れる


もわもわんもわもわん
川の中で
伸び上がる
入道雲
吞み込まれて
ぎらんぎらん
あぶらぎる
お日さま
 
橋の欄干から
少女が
爪先立ち
のぞきこんでいたら
水面に反射する
まばゆいきらめきが
ひとかけら
きいんと弾かれ
ひらひらひらひら
白い蝶になって
舞い上がった
風に吹かれ
漂いながら
てふてふてふてふ
高く高く
小さく小さく
大空に吸い込まれた
 
あの蝶は
おばあちゃんの
おばあちゃんかな
 
ミズヲクダサイ
 
八月の川には
涙が流れ
悲哀が宿る
 
ミズヲクダサイ
 
家を焼かれ
人が焼かれ
建物が壊され
人間も壊され
水辺に吸い寄せられ
 
ミズヲクダサイ
 
八月の川音には
祈りがこもっている
誓いが響いている
 





  ▲▽▲  ▽▲▽  ▲▽▲  ▽▲▽

まだまだ暑い日が続いています。
お元気でお暮しですか。

今回は戦争の体験を受け継ぐ、
ということを詩のテーマにしました。
メルヘン風に表現しましたが、
みなさんの胸に届いたでしょうか。

このページへの訪問、ありがとうございます。
毎週木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんを訪ねます。

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