吹き抜ける寒風が
噴水を煽っている
ぶるると身震いし
ベンチから腰を浮かせたとき
目の端に茶色い何かが映った
隣のベンチに無造作に置かれている

子どもの忘れ物かな
手のひらに載せてみると
小さな羽根を３枚くっつけたような形だ
風に乗れば
くるくる回りながら
遠くまで運ばれそうだ
おもちゃかな
裏はざらざらしている
素朴な造形だ
温かみがある
手彫り風の装飾品かな

帰宅後さっそく妻に見せた
椿の実の殻でしょ
子どもが幼いころ
公園で殻や種を拾って遊んでいた
逆さにすれば独楽にもなる
私もいっしょに遊んでいた
と聞くに及んでは
へええ
自分に驚いた
その記憶がどこかに埋もれてしまっている
初めて触れたものと同じ新鮮さだった

子どもたちと遊んだ公園に行ってみた
椿の大きな木
つやつやの葉のなかの
たくさんの赤い花たちが
私を見下ろした

樹木の下の草むらを探った
赤い花がぽちゃぽちゃ落ちている
あった　あった
殻にまだ種の付いているのもある
触れるとぽろりと一辺が取れてしまうのもある
どれもこれも一つとして同形はない
おもしろい
ウインドブレーカーのポケットに
次々に詰め込んだ
ボール遊びする親子連れが
背を丸めて地面を探る私を
オッサン何してんの
いぶかしそうな目で
ちらりちらり見ていた

▽▲▽　　▼△▼　　▽▲▽　　▼△▼　　▽▲▽

早々と菜種梅雨に入っています。
ぐずついた天候が続き、気持ちもすっきりしません。
みなさんはお元気ですか。

今回は、自然からの贈り物をテーマにしました。
出会い・出合いというのは、こちらが受け容れる準備ができていなければ、
成り立たないもののようですね。

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ねます。