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ふわっと 風


ふわっと
夏の風を孕んだ
レースのカーテンが
舞い上がって
だんだんふんわか
窓に収まる
ゆらゆらまばゆく
光の模様が
波立つ
また風が
ふわっと

「アッグ」
「ウッギ」
赤ちゃんたちが
手を振り
足をばたつかせ
笑って
風に応える

世に出て3か月
双子の兄弟は
育ちゆくからだを
まるごと用いて
驚きを
不思議を
渇望を
訴えようとする

おじいちゃんが目を合わせて
パポパポパペピプポ
へんちくりんな音声を発して
共鳴を求めようとしてくる
「アグウー」
おばあちゃんが歌をうたってくれる
兄弟それぞれにお気に入りの歌がある
「グギイー」
ひとつひとつに
歓喜の声を上げる

自分を守ってくれそうな
信頼できそうな
相手に(だけ)
思いを伝えたい
そんな芽生えが
表情に
声に
手足の動きに
現われる

それは
大人になっても
ずっと変わらない
自然な欲求だろう
ただし
屈折が多くなるけど……





▽▽▼▼  △△▲▲  ▽▽▼▼  △△▲▲

みなさん、ご機嫌いかがですか?
夕方から夜にかけて、秋の虫が快い音色を奏でるようになりました。
まだまだ昼間は暑い日が続いていますが、空には秋の雲が漂うことがあります。

今回の詩は、5年前に遡り、孫の誕生のころを扱いました。
わが子のときはせわしい中で子育てが進行していましたが、
孫の場合には余裕があり、あれこれと考え、感じることが多いような気がします。

来週は水曜日か木曜日に更新します。
また見に来てください。
私もみなさんを訪ねます。


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