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空を見たい


空を見たい
きみはつぶやく

ずっと見ていたい

空の大きさを
空の色彩を
刻々の変化を
空の物語を
降り注ぐ光のすべてを

どのように伝えたらいいのだろう
どうしたら伝えられるのだろう
空の記憶がないきみに

そもそも私は
空を見てきたのだろうか
空を知っているのだろうか

明るさが判るだけの視覚のきみは
空をどう感じ取ってきたのだろうか

早咲きの梅の花々のなかで
小鳥がさえずっている
樹の下にたたずむきみの
笑みがふわっと浮かぶ
花の香がほのかに風に運ばれてくる

ふいに小鳥が寒空へと飛翔し
梢の花が揺れる
みるみる遠ざかる羽ばたき

この空の光景をきみに
どう伝えようか











   △▼ ▲▽ △▼ ▲▽ △▼ ▲▽

1月中旬、歌うバイオリニスト・白井崇陽(たかあき)さんのコンサートがありました。
彼は幼くして視力を失っています。
「1日だけ見えるようになったとしたら、何が見たい?」
と問われたなら、
「地上のものは触ったり匂いをかいだりできる。
1日ずっと空を見ていたい」
演奏のあいだのトークでそう語っていました。
この詩はそこから生まれました。

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ねます。

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