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ライカモノクローム専用カメラの衝撃

調べてみるとM型ライカモノクローム専用機は2012年に発売されたらしい。私はそれを発熱で伏せっているベッドの中で記事を読んだような気がする。その頃私は中古のライカM2とM6、それにRICOH GR Digital IIIあるいはIVと併用していた頃だった。新品のデジタルライカを遠い存在として見ていたので、さらに高価なMモノクロームにかなりの衝撃を受けたのだった。
 すでにデジタルカメラ全盛で、M型ライカでさえ2008年にはデジカメに変貌している。それがカラー写真が撮れないモノクローム専用機で、84万円だという。デジカメに変貌したライカを何となく、こんなのはライカではないなどと思っていた偏見を打ち壊された気分であった。
 それから11年経ち、幾分余裕ができる年齢になりM11モノクロームを手に入れた。その翌週、私はそれとズミクロン35mmを一本だけ選んでシンガポールの出張に赴いた。初めてのシンガポールで次にいつ来れるかも分からないけれども、割り切ってモノクロームだけで主に夜の風景を切り取った。
 そこから生まれ出てきた画像は十分に興奮するに値するものだった。そして色を排除して光と影のグラデーションだけで表現する手法と、撮影行為そのものに酔った数日間となった。

ズミクロン35mmを付けたM11モノクローム
街角のカフェで
低層の店と高層ビルが一つの視野に入る
ラッフルズホテル

 M11に比べて高感度になったこと、赤いライカマークが消えた事、ダイアル表示の文字も白とグレーになっており、プロのギア感が高まっている。どういう光の状態が美しく見えるのか、モノクロームが映える映像とは何かを考える機会になった。


ホテルに帰ってから、iPhoneに画像を取り込んでみたときに興奮が冷めやらず、なかなか寝付けなかった。
 年末年始はカラーの撮影を多用したので次週の出張はまたこいつと一緒に行こうかと思っている。そしてレンズは、旅とくれば軽いものが圧倒的に良いので、ズミクロン35mmかエルマリート28mmを考えている。

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